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書評
—樋口義治 著—循環器研修テクニカルノート—心不全—臨床を上手に行うための「頭と実地」のテクニック
著者: 大西勝也1
所属機関: 1大西内科ハートクリニック
ページ範囲:P.32 - P.32
文献購入ページに移動 高齢化に伴う高血圧,心房細動,虚血性心疾患の増加に伴い,心不全患者は著しい増加傾向にあり,いわゆるパンデミックな状態に陥ると危惧されている.心不全を専門としない循環器内科医,心臓外科医あるいは一般内科医も,心不全を治療しなければいけない時代に突入している.心不全の研究分野は,分子生物学的な手法で飛躍的に発展しているが,まだまだ未解決な部分が多い.その理由として,心不全の病態の多面性が挙げられる.実際,臨床現場では,いろいろな顔を持った心不全患者と遭遇する.それゆえに,しっかりとした心不全患者に対するアプローチを各自習得しておく必要がある.
著者は,豊富な臨床経験から,心不全の診療の“いろは”をこの本で教えてくれている.特別な病気ではなく,普通にみかける心不全に対する基本的な情報が網羅されている.特に,診察のアプローチなどは,心不全患者に初めて接する,あるいは不慣れな研修医の先生には参考になると思われる.どのように問診するか,どのように診察するかから,基本的な検査の意味,読み方をひとつひとつ,短い文章で説明しており,理解しやすいと思われる.後半では,急性期から慢性期につなぐ治療法も,わかりやすく記してあり,心不全に不慣れな医師にとっては,まとまった理解が得られやすい.心不全に対する病態生理に関しては,未確立なところにも言及しているため議論の余地は残るが,まだまだわかっていない分野に対して,著者の考えをうまく届けている.後半では,具体的な症例を提示し,それに対するアプローチを実践的に解説しており,著者の経験してきた臨床現場を垣間見るようで興味深い.
著者は,豊富な臨床経験から,心不全の診療の“いろは”をこの本で教えてくれている.特別な病気ではなく,普通にみかける心不全に対する基本的な情報が網羅されている.特に,診察のアプローチなどは,心不全患者に初めて接する,あるいは不慣れな研修医の先生には参考になると思われる.どのように問診するか,どのように診察するかから,基本的な検査の意味,読み方をひとつひとつ,短い文章で説明しており,理解しやすいと思われる.後半では,急性期から慢性期につなぐ治療法も,わかりやすく記してあり,心不全に不慣れな医師にとっては,まとまった理解が得られやすい.心不全に対する病態生理に関しては,未確立なところにも言及しているため議論の余地は残るが,まだまだわかっていない分野に対して,著者の考えをうまく届けている.後半では,具体的な症例を提示し,それに対するアプローチを実践的に解説しており,著者の経験してきた臨床現場を垣間見るようで興味深い.
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