icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina54巻1号

2017年01月発行

文献概要

連載 いま知りたい 胃炎の診かた・3

胃癌のリスクを考えた胃炎の診断

著者: 井上和彦12 久本信實2 春間賢3

所属機関: 1淳風会健康管理センター 2淳風会旭ヶ丘病院 3川崎医科大学総合医療センター総合内科2

ページ範囲:P.162 - P.166

文献購入ページに移動
 わが国の胃癌の年齢調整死亡率は低下してきているが,胃癌罹患数や胃癌死亡数は決して減少しておらず,横ばい状態が続いている.現在,悪性新生物のなかで罹患数は2位,死亡数は年間約5万人と3位であり,今後20〜30年間の胃癌対策は重要である.胃癌発生において,Helicobacter pyloriH. pylori)感染は必要条件と位置づけられ,それに伴う進展した胃粘膜萎縮や高度の胃粘膜炎症は高リスクと考えられる.従来,胃X線検査による胃癌検診は胃癌を疑う直接所見や間接所見があるかどうかだけを見ていたが,最近ではH. pylori感染胃炎の有無も含め判断するように変化してきた.
 本稿では,胃癌発生リスクを考慮した胃炎診断について内視鏡所見と血清診断について概説する.

参考文献

infection and the development of gastric cancer. N Engl J Med 345:784-789, 2001
-negative gastric cancer among Japanese. Helicobacter 16:415-419, 2011
3)井上和彦,他:胃癌発生の背景胃粘膜─人間ドックにおける内視鏡検査からの検討.胃と腸44:1367-1373, 2009
4)Masuyama H, et al:Relationship between the degree of endoscopic atrophy of the gastric mucosa and carcinogenic risk. Digestion 91:30-36, 2015
5)Kamada T, et al:Nodular gastritis and gastric cancer. Dig Endosc 18:79-83, 2006
-induced enlarged-fold gastritis is associated with increased mutagenicity of gastric juice, increased oxidative DNA damage, and an increased risk of gastric carcinoma. J Gastroenterol Hepatol 18:1384-1391, 2003
7)春間 賢(監),加藤元嗣,他(編):胃炎の京都分類.日本メディカルセンター,2014
8)井上和彦:ペプシノゲン法の近年の研究動向・ヘリコバクターピロリ菌とペプシノゲン法─総合健診での検討.三木一正(編):ペプシノゲン法,pp196-200,医学書院,1998
9)井上和彦,他:血清ペプシノゲン法とヘリコバクターピロリ抗体価を用いた胃の‘健康度'評価─同日に行った内視鏡検査を基準として.日消集検誌43:332-339, 2005
antibodies. Int J Biol Markers 25:207-212, 2010
seropositivity in Eastern Asians;A systematic review and meta-analysis. PLoS One, Oct 14;9(10):e109783, 2014
12)国立がん研究センターがん予防・検診センター:有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版http://can-screen.ncc.go.jp/pdf/iganguide150331.pdf(2016年10月閲覧)
除菌後例の表記に関する提案.日ヘリコバクター会誌14;18-23, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?