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雑誌目次

雑誌文献

medicina54巻4号

2017年04月発行

雑誌目次

増刊号 総合内科医の必修臨床問題182問 総合内科

Question1 74歳の女性.主訴「体重減少」

著者: 東光久

ページ範囲:P.7 - P.9

74歳の女性.
現病歴 半年前から特に誘因なく食欲が低下し,それに合わせて体重が50kgから42kgに減少した.ウエストも細くなり,周囲から痩せたと言われたため,心配になって来院した.腹痛,嘔吐,下痢および咳嗽はない.便の性状も変化はない.がん検診は受けていない.

Question2 25歳の男性.主訴「血尿」

著者: 東光久

ページ範囲:P.11 - P.12

25歳の男性.
現病歴 以前から学校や会社の健康診断で血尿・蛋白尿を指摘されていたが,そのままにしていた.3日前に発熱と咽頭痛とがあり,その後自然軽快した.今朝,排尿時に肉眼的血尿に気づき来院した.発熱,排尿時痛・排尿困難および腹痛・背部痛はない.皮疹,乏尿および浮腫は認めない.

Question3 82歳の女性.主訴「発熱」

著者: 東光久

ページ範囲:P.13 - P.15

82歳の女性.
現病歴 5日前に誤嚥性肺炎で入院し,抗菌薬加療中であった.解熱し喀痰の量も減少し改善していたが,脳梗塞後遺症による左片麻痺のため離床は困難であった.2日前から38℃を超える発熱がみられるようになった.下痢はない.

Question4 48歳の女性.主訴「発熱と皮疹」

著者: 東光久

ページ範囲:P.17 - P.18

48歳の女性.
現病歴 生来健康.3日前に悪寒と戦慄とを自覚し,体温を測ると39℃であった.解熱薬で様子をみていたが改善せず,昨日になって全身の瘙痒感がない皮疹に気づいて来院した.四肢の関節痛と筋痛とがある.咳と咽頭痛とはない.

Question5 30歳の女性.主訴「頭痛と右手の違和感」

著者: 橋本忠幸

ページ範囲:P.19 - P.20

30歳の女性.
現病歴 10年前頃から,月に1度程度の頭痛を自覚していた.その都度市販の頭痛薬で様子をみていたが,3か月前頃から頻度が週に1回程度にまで増した.頭痛は締めつけられるような痛みで悪心を伴っており,2日程度で消失する.頭痛がひどいときは仕事ができずに休むほどである.右側が痛いこともあれば両側性のこともある.閃輝暗点を疑わせるような前兆はない.また時折,左手にピリピリとするような違和感や左手首に巻いている腕時計が痛いような感覚がある.かかりつけ医を受診したところ,脳梗塞の疑いがあると診断され,紹介され来院した.

Question6 85歳の男性.主訴「失神」

著者: 橋本忠幸

ページ範囲:P.21 - P.23

85歳の男性.
現病歴 以前から洞不全症候群にて失神を2回繰り返しているが,ペースメーカーは本人の希望で埋め込みしていなかった.同居中の妻が買い物から帰宅してきた際に居間で倒れていた.呼びかけにはすぐに反応するが,いつもと比較すると受け答えが緩慢であった.30分程度様子をみていたが,意識状態は改善傾向にはあるものの,依然様子がおかしいため救急要請し,搬入された.

Question7 85歳の男性.主訴「不穏」

著者: 橋本忠幸

ページ範囲:P.25 - P.27

85歳の男性.
現病歴 5年前に心筋梗塞を発症し,ステント術施行後であった.かかりつけ医にてフォローアップされていたが,数日前から倦怠感を訴えることが多く,夜間も寝苦しいとの訴えがあった.今朝から肩で息をしていることが家族から指摘されていたが,正午頃から反応が乏しくなり,家族が救急車を要請した.救急隊が現場到着した際に血圧を測定したところ,80/45mmHgであった.

Question8 70歳の女性.主訴「下腿浮腫」

著者: 橋本忠幸

ページ範囲:P.29 - P.30

70歳の女性.
現病歴 下腿浮腫を主訴に来院した.特に今まで病院にも行ったことがなかったが,来院2か月前から両側下腿浮腫を認めるようになった.浮腫は下腿に強く,徐々に悪化している.周囲から「顔面も腫れている」と指摘されている.上記以外に,最近歩行などの軽い運動ですぐに息が切れる,食欲がないことも訴えている.咳嗽はなく,尿の異常も特に自覚していない.

Question9 68歳の女性.主訴「咽頭痛」

著者: 下谷陽子

ページ範囲:P.31 - P.32

68歳の女性.
現病歴 数日前からの咽頭痛,頸部痛および発熱を主訴にかかりつけ医を受診した.内服抗菌薬とアセトアミノフェンとの投与で経過をみられていたが改善なく,3日後に紹介され独歩で来院した.咽頭痛発症時から咳嗽と喀痰とは認めなかった.嚥下時にも疼痛を自覚していた.動悸はなかったが,発汗が多いことは気になっていた.

Question10 78歳の男性.主訴「発熱,意識障害および不随意運動」

著者: 濱口杉大

ページ範囲:P.33 - P.34

78歳の男性.
現病歴 誤嚥性肺炎にて入院した.ピペラシリン/タゾバクタム(ゾシン®)による抗菌薬治療を開始したが,入院時からせん妄が強く,点滴ラインの自己抜去,診療介護への抵抗があったため,精神科コンサルトにてハロペリドール(セレネース®)の点滴静注を行い,鎮静を図っていた.肺炎は改善していたが,入院1週後から39℃台の発熱と意識レベルの低下とが生じ,四肢のこわばりによって体が思うように動かなくなった.

Question11 63歳の女性.主訴「嚥下困難」

著者: 濱口杉大

ページ範囲:P.35 - P.36

63歳の女性.
現病歴 19年前(44歳時)に市販の胃薬を誤嚥し,それ以来,嚥下時の違和感を自覚するようになった.神経内科,耳鼻科にて精査を受けたが異常を認めず,精神的な原因であると考えられ精神科にて不定期に経過観察されていた.しかし嚥下時の違和感は徐々に嚥下困難となり,約3年前から液体の摂取は可能であったが固形物摂取が困難となり,3年間で約10kgの体重減少を認めた.数日前から発熱,咳嗽および喀痰が出現し,かかりつけ医で肺炎と診断,紹介されて来院した.

Question12 23歳の女性.主訴「発熱とリンパ節腫脹」

著者: 近藤統 ,   濱口杉大

ページ範囲:P.37 - P.38

23歳の女性.
現病歴 2週前から軽度の咽頭痛と咳嗽を伴う39℃までの弛張熱があり,手持ちのロキソプロフェンを内服していた.1週前に40℃の発熱があり,右頸部に有痛性のしこりを自覚したため近医を受診した.急性上気道炎の診断で,鎮咳薬,抗ヒスタミン薬およびレボフロキサシンを1週間内服したが.弛張熱や右頸部の症状も軽快せず,3日前から顔面に皮疹が出現したため来院した.

消化器

Question13 42歳の男性.主訴「のどのつかえ感と胸痛」

著者: 五味邦代

ページ範囲:P.41 - P.42

42歳の男性.
現病歴 3か月前から,ときどきのどのつかえ感があり,1か月前から月2〜3回程度,食後の胸痛発作が出現したため来院した.食欲不振と嘔吐とはない.

Question14 58歳の男性.来院理由「上部消化管造影検査異常の精査目的」

著者: 五味邦代

ページ範囲:P.43 - P.44

58歳の男性.
現病歴 初めて受けた上部消化管造影検査で慢性胃炎を疑われ,またABC検診でC判定のため紹介され来院した.自覚症状はない.

Question15 38歳の女性.主訴「胃もたれ感」

著者: 五味邦代

ページ範囲:P.45 - P.46

38歳の女性.
現病歴 以前から胃の調子が悪くなることはときどきあった.転職1か月後から食欲低下,食後の胃もたれ感,むかつき及び腹部膨満感が出現したため,かかりつけ医を受診した.ヒスタミンH2受容体拮抗薬を処方され,1か月間内服するも症状は改善せず,紹介され来院した.上下部消化管造影検査・内視鏡検査は受けたことはない.

Question16 36歳の男性.主訴「心窩部痛」

著者: 藤本愛

ページ範囲:P.47 - P.48

36歳の男性.
現病歴 前日夕食に寿司を食べた.午前3時に突然,激しい心窩部痛が出現し,朝まで持続した.我慢できないほどの強い痛みで改善しないため来院した.

Question17 65歳の男性.主訴「吐血」

著者: 藤本愛

ページ範囲:P.49 - P.50

65歳の男性.
現病歴 健康診断の上部消化管造影検査で異常を指摘された.自覚症状はない.その後,1回吐血したため心配になり来院した.

Question18 67歳の男性.来院理由「上部消化管造影検査異常の精査目的」

著者: 藤本愛

ページ範囲:P.51 - P.52

67歳の男性.
現病歴 健康診断の上部消化管造影検査で異常を指摘され来院した.自覚症状はない.

Question19 56歳の男性.主訴「下痢と血便」

著者: 黒木優一郎 ,   上原なつみ ,   中西徹

ページ範囲:P.53 - P.54

56歳の男性.
現病歴 2か月前から1日数行の下痢としぶり腹とが出現した.発熱や食欲低下はなく様子をみていたが,3週前からときどき血便が混じるため来院した.

Question20 66歳の女性.主訴「腹痛と血便」

著者: 黒木優一郎 ,   上原なつみ ,   中西徹

ページ範囲:P.55 - P.56

66歳の女性.
現病歴 糖尿病と高血圧症でかかりつけ医に通院中であった.昨夜,就寝後に突然の下腹部痛と水様下痢とが出現した.しばらく様子をみていたが,その後に血便が出現したため来院した.

Question21 21歳の女性.主訴「腹痛と体重減少」

著者: 黒木優一郎 ,   上原なつみ ,   中西徹

ページ範囲:P.57 - P.58

21歳の女性.
現病歴 数年前から時々腹痛が出現していた.体重が3か月で5kg減少し,1か月前から腹痛に加え,悪心が出現したため来院した.

Question22 72歳の女性.主訴「下痢と腹痛」

著者: 三澤将史

ページ範囲:P.59 - P.60

72歳の女性.
現病歴 下痢と腹痛とを主訴に来院した.1か月前に泌尿器科で膀胱脱の手術を受けた際に,セファメジンの投薬を受けた.1週前から水溶性下痢と腹痛とが出現し,経口摂取が徐々にできなくなった.

Question23 18歳の男子.主訴「嚥下障害」

著者: 三澤将史

ページ範囲:P.61 - P.62

18歳の男子.
現病歴 約2か月前から食事のつかえ感を自覚していた.徐々に症状が悪化し,経口摂取が困難となったため来院した.

Question24 66歳の男性.来院理由「下部消化管内視鏡検査異常の精査目的」

著者: 三澤将史

ページ範囲:P.63 - P.64

66歳の男性.
現病歴 便潜血反応陽性のため施行した下部消化管内視鏡検査〈CS〉で直腸に病変を指摘され来院した.

Question25 55歳の女性.来院理由「肝障害の精査目的」

著者: 野村憲弘

ページ範囲:P.65 - P.66

55歳の女性.
現病歴 健康診断で肝障害を指摘され来院した.

Question26 67歳の男性.来院理由「腹部超音波検査異常の精査目的」

著者: 野村憲弘

ページ範囲:P.67 - P.68

67歳の男性.
現病歴 20年前から,かかりつけ医にて2型糖尿病と高血圧症とで通院中である.1か月前の腹部超音波検査で脂肪肝と4cm大の肝腫瘍とを指摘され来院した.

Question27 70歳の女性.来院理由「肝障害の精査目的」

著者: 野村憲弘

ページ範囲:P.69 - P.70

70歳の女性.
現病歴 3年前よりHCV抗体陽性を指摘されていたが,放置していた.3か月前の健康診断で肝障害が認められたため来院した.

Question28 75歳の男性.主訴「眼の黄染」

著者: 佐藤雅

ページ範囲:P.71 - P.72

75歳の男性.
現病歴 眼の黄染を家族に指摘され来院した.

Question29 58歳の男性.主訴「上腹部痛」

著者: 佐藤雅

ページ範囲:P.73 - P.74

58歳の男性.
現病歴 上腹部痛のため救急車で搬入された.

Question30 72歳の男性.主訴「背部痛」

著者: 佐藤雅

ページ範囲:P.75 - P.76

72歳の男性.
現病歴 背部痛が持続するため来院した.

Question31 85歳の女性.主訴「右上腹部痛」

著者: 佐久間大

ページ範囲:P.77 - P.78

85歳の女性.
現病歴 右上腹部痛を主訴に来院した.2日前から右上腹部痛が出現し持続している.

Question32 60歳の女性.主訴「腹痛と発熱」

著者: 佐久間大

ページ範囲:P.79 - P.80

60歳の女性.
現病歴 夕食後2時間で突然に腹痛があり嘔吐した.その後38℃の発熱があったため,腹痛と発熱とを主訴に来院した.

Question33 76歳の男性.来院理由「血液生化学検査異常の精査」

著者: 佐久間大

ページ範囲:P.81 - P.82

76歳の男性.
現病歴 脂質異常症の通院加療中に,血液生化学所見の異常を指摘され来院した.腹痛はない.

Question34 55歳の男性.主訴「悪心,嘔吐および腹痛」

著者: 山下聡

ページ範囲:P.83 - P.84

55歳の男性.
現病歴 2日前に過食し,その後から下腹部痛をときどき自覚していた.前日から悪心と腹痛との増悪があり来院した.排便と排ガスとは前日から認めていない.来院後も腹痛が持続し,数回嘔吐している.

Question35 67歳の男性.主訴「腹痛」

著者: 山下聡

ページ範囲:P.85 - P.86

67歳の男性.
現病歴 昨夜から断続的に腹痛を自覚していた.腹痛が朝になっても改善せず,増悪してきたため来院した.

Question36 62歳の男性.主訴「腹部膨満」

著者: 山下聡

ページ範囲:P.87 - P.88

62歳の男性.
現病歴 半年前から体重減少と食欲低下とを認め,1か月前から腹部膨満を自覚したため来院した.

循環器

Question37 56歳の女性.主訴「胸痛」

著者: 中川義久

ページ範囲:P.91 - P.92

56歳の女性.
現病歴 1か月前から早朝睡眠中に胸痛で覚醒することが続いた.痛みは5分間ほど持続し,その後に徐々に治まるという.このためかかりつけ医を受診するも心電図検査を含め異常なしと説明された.朝5時に激しい胸痛が起こり改善しないため救急車で搬入された.

Question38 62歳の男性.主訴「胸痛」

著者: 中川義久

ページ範囲:P.93 - P.94

62歳の男性.
現病歴 下血のために入院中である.2か月前に他院で薬剤溶出性ステントを用いた冠動脈インターベンション〈PCI〉を受けている.消化管出血のコントロールが困難で,絶食のうえですべての内服薬を中止している.激しい胸痛のためナースコールがあり,さらに当直医が呼ばれた.

Question39 84歳の女性.主訴「胸痛」

著者: 中川義久

ページ範囲:P.95 - P.96

84歳の女性.
現病歴 3日前からの胸痛を主訴に来院した.

Question40 45歳の男性.来院理由「血圧のコントロール目的」

著者: 中川直樹 ,   長谷部直幸

ページ範囲:P.97 - P.98

45歳の男性.
現病歴 血圧のコントロール目的に紹介され来院した.高血圧症で5年前から近くの診療所へ通院し,カルシウム拮抗薬を朝食後に内服中である.診察時の血圧は130〜136/80〜88mmHgである.自宅に血圧計があり家庭血圧を測定しており,外来受診時に血圧手帳を持参しているが,それをみると夜は122〜134/74〜80mmHg,朝は132〜156/76〜92mmHgである.

Question41 75歳の女性.来院理由「高血圧の精査加療目的」

著者: 中川直樹 ,   長谷部直幸

ページ範囲:P.99 - P.100

75歳の女性.
現病歴 44歳時に健康診断で高血圧を指摘された.降圧薬を投与されるもアドヒアランス不良のため血圧のコントロール不良であった.59歳時に心筋梗塞にて入院した.その後は,血圧は130/90mmHg前後にコントロールされていた.今回,血圧が190/110mmHg以上と急激に上昇し,血清Crも上昇(0.76mg/dL→2.05mg/dL)を認めたため,高血圧精査加療目的にて当科に入院した.

Question42 24歳の女性.主訴「動悸,めまい及び意識消失」

著者: 中川直樹 ,   長谷部直幸

ページ範囲:P.101 - P.102

24歳の女性.
現病歴 本日電車で通勤中に動悸とめまいを自覚,その後意識を消失し,救急搬送された.小中学校時,朝礼で長時間立っているとふらついて倒れてしまうことがあった.最近残業が続いており,睡眠不足であった.

Question43 32歳の女性.主訴「動悸と脈拍異常」

著者: 池田隆徳

ページ範囲:P.103 - P.104

32歳の女性.
現病歴 脈拍の異常を指摘され来院した.生来健康であり,毎年行われる会社の健康診断においても異常を指摘されたことはなかった.感冒でかかりつけ医を受診した際に,身体所見で脈拍の異常を指摘された.これまで症状を自覚することはなかったが,最近になって夜間就寝前に時々軽い動悸を自覚することがあった.心配になり,脈拍異常の精査のため総合病院の内科外来を受診した.

Question44 77歳の女性.来院理由「心電図異常の精査目的」

著者: 池田隆徳

ページ範囲:P.105 - P.106

77歳の女性.
現病歴 今年度の健康診断の心電図で異常を指摘された.高血圧症の診断で月1回,かかりつけ医の外来を定期通院している.降圧薬としてカルシウム拮抗薬を朝1回服用している.年1回の健康診断で,これまで心電図で異常を指摘されたことはない.特に自覚症状はなく,日々の清掃ボランティア活動にも支障をきたしていない.後日,施行された心電図では特に異常はなかった.

Question45 64歳の男性.主訴「動悸」

著者: 池田隆徳

ページ範囲:P.107 - P.108

64歳の男性.
現病歴 動悸症状をきたし来院した.2年前に循環器専門病院で拡張型心筋症と診断されたが,β遮断薬と利尿薬とによる薬物治療で心機能がほぼ正常に改善されたことから,1年前から近くの一般総合病院でフォローアップされていた.朝,通勤のため自宅を出てしばらく歩いたところ,急に強い動悸症状が出現した.冷汗とめまいとはない.10分ほど様子をみていたが改善しないため,自家用車でかかりつけの病院を受診した.

Question46 73歳の女性.主訴「動悸と意識消失」

著者: 清水渉

ページ範囲:P.109 - P.110

73歳の女性.
現病歴 数年前から時々1分以内の短い動悸発作を自覚することがあり,かかりつけ医で心電図検査を受けるも明らかな異常所見は指摘されず,放置していた.午前中から動悸を自覚しており,午後2時頃,自宅で掃除中に突然意識を消失し,前のめりに倒れこみ顔面を打撲した.すぐに意識は回復したが,救急車で搬入された.

Question47 16歳の男子.主訴「意識消失と転倒」

著者: 清水渉

ページ範囲:P.111 - P.112

16歳の男子.
現病歴 高校の体育祭のリレー競争の練習中に突然倒れこんだ.教師がすぐに発見し,脈拍を触知しないため直ちに心臓マッサージを開始したところ,間もなく意識は回復したが,救急車で搬入された.

Question48 52歳の男性.主訴「眼球上転と痙攣」

著者: 清水渉

ページ範囲:P.113 - P.114

52歳の男性.
現病歴 生来健康.最近仕事が忙しかった.午前2時頃,突然うめき声をあげて眼球上転,口から泡を吹いて痙攣を起こしているのに妻が気付き,救急隊を要請し6分後に到着した.AEDで心室細動が確認され,電気的除細動にて意識が回復したが,搬入された.

Question49 56歳の女性.主訴「動悸と息切れ」

著者: 恒任章

ページ範囲:P.115 - P.116

56歳の女性.
現病歴 動悸と息切れとを主訴に来院した.50歳頃から健康診断の胸部X線写真で心拡大を指摘されていたが,そのままにしていた.約3か月前から労作時に動悸が出現し,最近では買い物程度の軽労作時にも息切れを感じる.

Question50 60歳の男性.主訴「動悸」

著者: 恒任章

ページ範囲:P.117 - P.118

60歳の男性.
現病歴 弁膜症と不整脈の治療目的に紹介された.50歳から不整脈を指摘されかかりつけ医を受診し,心臓弁膜症を指摘された.半年前から突然始まり徐々に治まる動悸発作が出現,次第に回数や持続時間が増悪している.

Question51 79歳の男性.主訴「労作時呼吸困難」

著者: 恒任章

ページ範囲:P.119 - P.120

79歳の男性.
現病歴 労作時呼吸困難と心雑音の精査目的に紹介され来院した.60歳から高血圧症と気管支喘息とでかかりつけ医へ通院してきたが,数か月前から労作時の呼吸困難が出現している.

Question52 63歳の女性.主訴「労作時呼吸困難」

著者: 松本賢亮

ページ範囲:P.121 - P.122

63歳の女性.
現病歴 労作時呼吸困難の精査目的に紹介され来院した.10年前から高血圧症にてかかりつけ医内科で内服加療されていた.2011年10月から時々労作時呼吸困難感を自覚するようになり,2013年3月から20m程の平地歩行でも息切れが出現するほどに症状が増悪した.趣味で続けているフラダンスを楽しむことが困難となってきたため,精査目的に紹介された.血液検査で血清BNP 505pg/mL(基準 18.4>)と上昇を認める.

Question53 43歳の女性.主訴「労作時呼吸困難」

著者: 松本賢亮

ページ範囲:P.123 - P.124

43歳の女性.
現病歴 労作時呼吸困難の精査加療目的に紹介され来院した.幼少時から心雑音を指摘され,成人後も職場の健康診断で異常を指摘されていたがそのままにしていた.40歳時から階段を上る際に息切れを自覚するようになり,下肢浮腫も出現するようになった.42歳時から浮腫が顔面に及ぶなど症状がさらに増悪したため,精査加療目的に紹介された.

Question54 30歳の女性.主訴「易疲労感,息切れ」

著者: 松本賢亮

ページ範囲:P.125 - P.126

30歳の女性.
現病歴 生後3か月の健康診断にて心雑音を指摘されていたが,精査は行われていなかった.7歳時に感冒のため近くの総合病院を受診した際にチアノーゼを指摘され,動脈管開存症と肺高血圧症とを指摘された.このときすでに肺血管抵抗は高度に上昇しており,手術適応はないと判断され経過観察となっていた.29歳時から徐々に易疲労感と息切れとを自覚するようになりかかりつけ医を受診した.肝うっ血と下腿浮腫とを認めたため精査加療目的に紹介された.

Question55 75歳の男性.主訴「意識混濁,倦怠感,食思不振および微熱」

著者: 大門雅夫

ページ範囲:P.127 - P.129

75歳の男性.
現病歴 今朝から意識が混濁しているため,家族に連れられ来院した.10日前から全身の倦怠感と食思不振とが出現した.7日前から37℃台の微熱が生じるようになり,3日前から食事が摂れなくなっていた.特に痛みの訴えはない.

Question56 60歳の男性.主訴「食思不振と倦怠感」

著者: 大門雅夫

ページ範囲:P.131 - P.132

60歳の男性.
現病歴 7日前から食思不振と倦怠感とを自覚していた.昨日から息切れも伴うようになり来院した.

Question57 75歳の男性.主訴「下腿浮腫と息切れ」

著者: 大門雅夫

ページ範囲:P.133 - P.134

75歳の男性.
現病歴 下腿浮腫と息切れとを主訴に来院した.5年前に労作性狭心症のために冠動脈バイパス術を施行された.狭心症は以後消失したが,術後から下腿浮腫を認めていた.冠動脈バイパス術1年後に施行された冠動脈造影では,バイパスグラフトはすべて開存しており,左室収縮能は保たれていた.1か月前から下腿浮腫が増悪し,食思不振と息切れとも出現したために来院した.

Question58 28歳の男性.主訴「失神」

著者: 北岡裕章

ページ範囲:P.135 - P.136

28歳の男性.
現病歴 失神を主訴に来院した.生来健康で,体育の授業も普通に受けていた.数年前から坂道を上るときに息切れを自覚し始めた.半年前から時に目の前が暗くなる感じがあり,昨日サッカーの試合中に急に意識を失い倒れた.数十秒で意識は回復したが,心配になり来院した.

Question59 55歳の女性.主訴「ふらつきとめまい」

著者: 北岡裕章

ページ範囲:P.137 - P.138

55歳の女性.
現病歴 今朝からふらつきと気が遠くなるようなめまいとを自覚したために来院した.

Question60 75歳の男性.主訴「息切れと下腿浮腫」

著者: 北岡裕章

ページ範囲:P.139 - P.140

75歳の男性.
現病歴 息切れと下腿浮腫とを主訴に来院した.3か月前から坂道を上ったときに息切れを自覚し始めた.その後,症状は次第に増悪し,平地を歩くときにも息切れが出現するとともに,下腿の浮腫が出現してきた.

Question61 24歳の女性.主訴「労作時の息切れ」

著者: 池田聡司 ,   前村浩二

ページ範囲:P.141 - P.142

24歳の女性.
現病歴 労作時の息切れを自覚するようになり来院した.生来健康で中学では陸上部に所属していた.高校では授業で運動をする程度で,その後,特に激しい運動をする機会はなかった.1年前から,徐々に坂道や階段を昇ったりする際に息切れを自覚するようになった.1か月前からは,平地でも同年齢の女性よりも歩くのが遅くなってきたと感じるようになった.

Question62 68歳の女性.主訴「突然の胸痛と呼吸困難」

著者: 池田聡司 ,   前村浩二

ページ範囲:P.143 - P.144

68歳の女性.
現病歴 かかりつけ医にて左変形性膝関節症に対して膝関節骨切り術を施行された.術後5日目,トイレへ車椅子で行った後,突然,前胸部痛と呼吸困難とが出現して緊急受診となった.

Question63 56歳の女性.主訴「左下肢の腫脹」

著者: 池田聡司 ,   前村浩二

ページ範囲:P.145 - P.146

56歳の女性.
現病歴 左下肢の腫脹が出現し来院した.大腸癌にて抗癌化学療法[FOLFIRI(5-FU+LV+CPT-11)+BV]を施行中であった.2週前から徐々に左下肢が腫脹してきた.下肢腫脹以外には,特に症状に変化はない.

Question64 40歳の女性.主訴「労作時呼吸困難と心雑音」

著者: 今井靖 ,   神崎綱

ページ範囲:P.147 - P.149

40歳の女性.
現病歴 1年前から労作時呼吸困難が増悪,最近では平地歩行も休みながら歩くようになった.かかりつけ医にて心雑音を指摘されたため紹介され来院した.

Question65 68歳の男性.主訴「右下肢疼痛と冷感」

著者: 神崎綱 ,   今井靖

ページ範囲:P.151 - P.152

68歳の男性.
現病歴 胆石症に対して消化器内科にて内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉を行う予定であった.入院予定日前日の5時ころ,突然の右下肢疼痛とともに冷感を認めた.我慢していたが疼痛は改善せず,右下肢を動かすことができなくなったため,翌日9時に来院した.

Question66 45歳の男性.主訴「左下腿の安静時痛」

著者: 神崎綱 ,   今井靖

ページ範囲:P.153 - P.155

45歳の男性.
現病歴 左下腿の安静時痛を主訴に来院した.9か月前から1〜2kmほど歩行した際,疼痛を自覚していたが,休息にて軽快するためそのままにしていた.1,2か月前から100〜200m程度の歩行でも症状が出現するようになり,安静時にも疼痛を認めるようになった.糖尿病は指摘されておらず,高血圧症の既往はない.

内分泌

Question67 40歳の女性.主訴「多飲多尿」

著者: 横田健一

ページ範囲:P.159 - P.160

40歳の女性.
現病歴 多飲多尿をきたし来院した.3か月前から突然に急激な口渇感が出現し,6L/日程度の飲水をするようになり,日中のみならず夜間も排尿のために数回覚醒するようになった.かかりつけ医にて糖尿病の有無について検査を受けたが異常は指摘されなかった.その後も多飲多尿が持続していたため当科を受診し精査加療目的で入院した.

Question68 40歳の女性.主訴「手足の増大,顔貌変化および頭痛」

著者: 横田健一

ページ範囲:P.161 - P.162

40歳の女性.
現病歴 手足の増大,顔貌変化および頭痛の精査目的に来院した.10年程前から指輪が入らなくなり,指が太くなったことを自覚していた.また同時期から発汗過多,頭痛,口唇の肥大および月経異常も自覚していた.今回これらの異常の精査目的に当科に入院した.

Question69 54歳の男性.来院理由「高血圧,ホルモン異常の精査加療目的」

著者: 横田健一

ページ範囲:P.163 - P.164

54歳の男性.
現病歴 高血圧とホルモン異常との精査加療目的で来院した.9年前から高血圧症でかかりつけ医に通院〔カンデサルタン(ブロプレス®)12mg/日,アムロジピン(アムロジン®)10mg/日〕をしていたがコントロール不良であった.今年,会社の健康管理センターの採血で血漿レニン活性〈PRA〉低値(0.2ng/mL/hr),血漿アルドステロン濃度〈PAC〉上昇(250pg/mL),低K血症(2.9mEq/L)を認めたため精査加療目的で当科に紹介され受診した.

Question70 32歳の女性.入院理由「副腎腫瘍精査目的」

著者: 横田健一

ページ範囲:P.165 - P.166

32歳の女性.
現病歴 副腎腫瘍精査目的で入院した.昨年の健康診断で白血球の上昇を指摘され,精査目的にかかりつけ医を受診した.1年間で4回受診し採血施行し経過をみたが,明らかな異常を認めなかった.4か月前から不眠,倦怠感および不安感が出現したためかかりつけ医を受診したところ,不安神経症と診断された.1か月前に下痢と嘔吐症状とを認めた際に過呼吸を起こし,不安になり人間ドックを受けた.その際に腹部超音波検査で左副腎腫瘍(4cm)を指摘されたため,かかりつけ医を受診した.精査目的にCTを施行したところ左副腎腫瘍を指摘されたため精査目的に紹介され入院した.

Question71 50歳の女性.主訴「咽頭痛と発熱」

著者: 芦原順也

ページ範囲:P.167 - P.168

50歳の女性.
現病歴 2週前から咽頭痛と発熱を自覚.かかりつけ医を受診し,解熱鎮痛薬処方されたが,改善しないため来院した.

Question72 28歳の女性.主訴「体重減少,動悸および手指振戦」

著者: 芦原順也

ページ範囲:P.169 - P.170

28歳の女性.
現病歴 2か月前から8kgの体重減少,動悸および手指振戦を自覚し来院した.今後,妊娠を希望している.

Question73 72歳の男性.来院理由「甲状腺結節を指摘された」

著者: 芦原順也

ページ範囲:P.171 - P.172

72歳の男性.
現病歴 頸動脈超音波検査にて2cm大の甲状腺結節を指摘され来院した.

Question74 60歳の女性.来院理由「骨粗鬆症の精査目的」

著者: 伊東伸朗

ページ範囲:P.173 - P.174

60歳の女性.
現病歴 人間ドックの骨密度検査で骨粗鬆症を指摘されたため来院した.

Question75 24歳の女性.主訴「両手の痛み,しびれを伴う硬直および呼吸困難」

著者: 伊東伸朗

ページ範囲:P.175 - P.176

24歳の女性.
現病歴 18歳時に階段で転倒した際に腰椎圧迫骨折を発症した.その時に病院で骨粗鬆症と診断されている.同時期から月経が停止した.2か月前から月に1回,30分から2時間程度両手が硬直するのを自覚するようになった.昨夜から痛みとしびれとを伴う両手の硬直を認め,呼吸困難も出現したため当日4時に救急車で搬入された.

代謝

Question76 22歳の女性.主訴「嘔吐」

著者: 村田敬

ページ範囲:P.179 - P.180

22歳の女性.
現病歴 嘔吐を主訴に来院した.14歳時に学校検尿を契機として1型糖尿病と診断され,1日4回のインスリン自己注射を開始した.糖尿病多発末梢神経障害がある.糖尿病網膜症と糖尿病腎症との合併はない.19歳頃から痩せ願望が強くなり,故意にインスリンを減量する傾向がみられていた.

Question77 42歳の女性.主訴「連日,低血糖で午前3時に目が覚める」

著者: 村田敬

ページ範囲:P.181 - P.182

42歳の女性.
現病歴 生来健康であったが,41歳時に突然の糖尿病ケトアシドーシスを契機として劇症1型糖尿病と診断された.糖尿病ケトアシドーシスから回復後,1日4回のインスリン自己注射を開始した.定期受診の際,連日のように午前3時頃,低血糖症状で目が覚めると訴えている.

Question78 35歳の男性.来院理由「交通事故のため搬入された」

著者: 村田敬

ページ範囲:P.183 - P.184

35歳の男性.
現病歴 自動車運転中に交通事故を起こし搬入された.19歳時に多飲多尿の症状を契機として1型糖尿病と診断され,1日4回のインスリン自己注射を開始した.糖尿病多発末梢神経障害,糖尿病網膜症および糖尿病腎症の合併はない.主治医からは1日4回以上の血糖自己測定を指示されていたが,面倒との理由でまったく血糖自己測定を行っていなかった.

Question79 83歳の男性.主訴「意識障害」

著者: 川浪大治

ページ範囲:P.185 - P.186

83歳の男性.
現病歴 昏睡のため搬入された.数日前から感冒症状があり食事の摂取量が低下していた.血圧は110/70mmHgと保たれているものの,意識状態が悪く失禁していたため,家族が救急車を要請した.

Question80 42歳の男性.主訴「口渇,多飲および多尿」

著者: 川浪大治

ページ範囲:P.187 - P.188

42歳の男性.
現病歴 口渇,多飲および多尿を主訴に来院した.6年前に健康診断で2型糖尿病と診断された.かかりつけ医でビグアナイド薬とDPP-4阻害薬の投与を受けている.1か月前に受診した際には随時血糖218mg/dLであり,HbA1c 7.8%であった.夏の暑い時期であり,熱中症を予防しようとスポーツドリンクを1日あたり2L以上飲んでいたという.簡易血糖測定器にて血糖値を測定したところ,600mg/dLであった.

Question81 45歳の男性.来院理由「血糖高値の指摘」

著者: 川浪大治

ページ範囲:P.189 - P.190

45歳の男性.
現病歴 健康診断で血糖高値を指摘され来院した.

Question82 42歳の男性.主訴「全身倦怠感と口渇」

著者: 阿部恵

ページ範囲:P.191 - P.192

42歳の男性.
現病歴 20歳時の体重は100kgであり,徐々に体重が増加した.39歳時から健康診断にて高血糖を指摘されたが,医療機関は受診しなかった.41歳時の体重が最大で138kg,以後徐々に減少していた.3週前から咽頭痛,全身の筋肉痛および関節痛を自覚し,市販の風邪薬で軽快するもスポーツ飲料を1日に3〜4Lは飲んでいた.全身倦怠感を主訴に来院し,入院した.

Question83 51歳の男性.主訴「左拇指の疼痛」

著者: 阿部恵

ページ範囲:P.193 - P.194

51歳の男性.
現病歴 昨日,起床時に左脚と左中足趾節〈MTP〉関節とに強い疼痛を自覚し,市販の鎮痛薬を内服した.痛みはやや軽快したものの,疼痛と腫脹とが持続するため来院した.以前から内痔核を指摘されており,排便時に時々便器が赤くなる程度の出血があるが特に治療はしていない.昨年の健康診断にてHbA1c 6.2%,尿酸7.8%,中性脂肪201mg/dLを指摘されている.

Question84 52歳の男性.来院理由「高血糖,脂質異常を指摘された」

著者: 阿部恵

ページ範囲:P.196 - P.199

52歳の男性.
現病歴 健康診断にてHbA1c 6.2%,空腹時血糖値116mg/dL,TC 213mg/dL,中性脂肪165mg/dL,HDL-C 41mg/dL,Cr 0.72を指摘された.
 冠動脈疾患,脳梗塞および末梢動脈疾患の既往はない.これまで糖尿病と診断されたことはない.

腎臓

Question85 39歳の男性.主訴「視力低下」

著者: 成瀬友彦

ページ範囲:P.203 - P.204

39歳の男性.
現病歴 5年前から夜間頻尿が気になっていたが,仕事が忙しくこれまで一度も医者にかかったことがない.1か月前から視力低下があり,仕事に差し支えが出てきたため眼科を受診した.その際,高血圧症と腎機能障害とを指摘され,同日腎臓内科を紹介され来院した.

Question86 62歳の女性.主訴「発熱,血尿および全身倦怠感」

著者: 成瀬友彦

ページ範囲:P.205 - P.206

62歳の女性.
現病歴 2週前から微熱を自覚していたが「軽い風邪かな」と自宅で様子をみていた.1週前に解熱しないことに加え,肉眼的血尿もみられたためかかりつけ医を受診した.このときの検査では尿蛋白+,尿潜血3+,BUN 15.9mg/dL,Cr 1.1mg/dLで,抗菌薬が処方され外来で経過をみることになった.本日かかりつけ医を再診時,発熱と肉眼的血尿の持続とに加え,全身倦怠感も出現した.血液検査にてBUN 38.2mg/dL,Cr 4.6mg/dLと急激な腎機能の低下がみられ,同日腎臓内科を紹介され来院した.

Question87 76歳の女性.主訴「易疲労感」

著者: 成瀬友彦

ページ範囲:P.207 - P.208

76歳の女性.
現病歴 慢性腎不全にて外来通院中であった.60歳時から高血圧症で加療していた.70歳台に入り徐々に腎機能の低下がみられるようになり,昨年に,BUN 42.1mg/dL,Cr 3.1mg/dLに上昇し,腎臓内科を紹介された.その後,血圧管理・食事指導などで外来加療していたが,今年,赤血球285万/μL,Hb 9.2g/dL,Ht 28%,BUN 58.0mg/dL,Cr 3.5mg/dLと貧血の進行を認めた.本人は少し疲れやすい程度で明らかな自覚症状は認めず,下血などの症状もみられない.

Question88 42歳の女性.来院理由「健康診断で指摘された蛋白尿と血尿」

著者: 髙橋和男

ページ範囲:P.209 - P.211

42歳の女性.
現病歴 約10年前から健康診断時に血尿を指摘され,かかりつけ医にて経過観察していた.血尿だけでなく蛋白尿も認めたため,精査目的で紹介され来院した.かかりつけ医での腹部超音波検査では,腎形態に異常はなく,尿路結石もなく,膀胱壁にも異常はない.

Question89 75歳の女性.来院理由「蛋白尿を指摘された」

著者: 髙橋和男

ページ範囲:P.213 - P.215

75歳の女性.
現病歴 昨年から下肢の浮腫を自覚したが軽度であり放置していた.今年の健康診断で尿蛋白2+,TP 5.8mg/dLと低蛋白血症を認めた.かかりつけ医を受診し尿蛋白3+であったため紹介された.

Question90 23歳の女性.主訴「下腿浮腫を伴う全身倦怠感と呼吸困難感」

著者: 髙橋和男

ページ範囲:P.217 - P.219

23歳の女性.
現病歴 2か月前から下肢浮腫を伴う全身倦怠感を自覚したが仕事が忙しくてそのままにしていた.臥床時に呼吸困難感が増強したため来院した.両側胸水を認めたため緊急入院となった.

Question91 50歳の男性.主訴「両側下腿浮腫と検尿異常」

著者: 藤本美香

ページ範囲:P.221 - P.222

50歳の男性.
現病歴 かかりつけ医で2年前から糖尿病の指摘をされ,食事療法・運動療法でHbA1c 6.5%前後であった.2か月頃前から徐々に下腿浮腫が出現し,検尿異常を指摘され当院を紹介され来院した.半年前の尿定性検査に異常は認めず,糖尿病網膜症も認めなかった.

Question92 75歳の男性.主訴「両側下腿浮腫」

著者: 藤本美香

ページ範囲:P.223 - P.224

75歳の男性.
現病歴 かかりつけ医で高血圧症と脂質異常症との治療中であった.2年前から尿蛋白の指摘があり,1か月前から下腿浮腫が悪化し来院した.

Question93 80歳の男性.主訴「発熱」

著者: 藤本美香

ページ範囲:P.225 - P.226

80歳の男性.
現病歴 高血圧症の加療中であった.1か月前から37℃台の微熱が持続した.かかりつけ医で抗菌薬の処方を受けたが改善せず,腎機能障害と検尿異常との指摘があり紹介され来院した.半年前の健康診断で検尿に異常はなかった.

Question94 41歳の男性.主訴「倦怠感」

著者: 谷澤雅彦

ページ範囲:P.227 - P.229

41歳の男性.
現病歴 高血圧症にて2年前からβ遮断薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬〈ARB〉を内服していた.また,腰痛のために不定期に非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉を内服していた.もともと腎機能は血清Cr 0.97mg/dL程度であった.来院2週前に歯科で齲歯の治療を行い,その際に抗菌薬(レボフロキサシン)とNSAIDsとが処方された.その後,倦怠感で救急外来を受診した際に血清Cr 3.0mg/dLを認め,腎機能障害で腎臓内科に紹介された.

Question95 37歳の女性.主訴「呼吸困難」

著者: 谷澤雅彦

ページ範囲:P.231 - P.234

37歳の女性.
現病歴 2年前までかかりつけ医で高血圧症の内服加療を受けていたが自己中断していた.1か月前から倦怠感や頭痛などの体調不良を訴えていたがそのままにしていた.3日前に呼吸困難と咳とを自覚したためかかりつけ医(内科)を受診したところ,感冒の診断にて内服処方された.その後,症状は改善せず,再びかかりつけ医を受診した.胸部X線上でうっ血性心不全,低酸素血症および高血圧(220/100mmHg)を認めたため紹介され入院した.

Question96 42歳の男性.主訴「腹痛」

著者: 志水英明

ページ範囲:P.235 - P.237

42歳の男性.
現病歴 今朝からの腹痛を主訴に来院した.アルコールの多飲がある.内服薬はない.

Question97 80歳の女性.主訴「発熱,腰背部痛および悪心・嘔吐」

著者: 志水英明

ページ範囲:P.239 - P.241

80歳の女性.
現病歴 高血圧症と脳梗塞とでかかりつけ医に通院中であった.来院2日前から発熱,腰背部痛および悪寒があり,歩いて来院した.尿白血球多数と尿染色でGram陰性桿菌を多数認めたため,急性腎盂腎炎としてセフトリアキソンで治療開始し入院となった.入院後72時間経過するも治療の反応は乏しく高熱が持続している.

Question98 44歳の男性.主訴「左腰背部痛」

著者: 志水英明

ページ範囲:P.243 - P.245

44歳の男性.
現病歴 夕方に突然の左腰背部痛が出現した.間欠的な痛みが持続するため来院した.

呼吸器

Question99 86歳の男性.主訴「発熱,咳痰および呼吸困難」

著者: 武藤義和 ,   森野英里子

ページ範囲:P.249 - P.250

86歳の男性.
現病歴 3日前から咳嗽,喀痰および鼻汁が出現し,その後倦怠感と呼吸困難の悪化により歩行困難となってきたために救急を受診した.救急外来ではインフルエンザ迅速診断キットにてA型インフルエンザ陽性と診断を受け,ラニナミビルの吸入薬を処方されて帰宅となった.その後,解熱し体調はやや改善したが,5日後から再度38℃台の発熱,咳嗽,喀痰および呼吸困難を自覚し来院した.

Question100 66歳の男性.主訴「発熱,咳嗽および喀痰」

著者: 武藤義和 ,   森野英里子

ページ範囲:P.251 - P.252

66歳の男性.
現病歴 急性リンパ球性白血病にて入院し抗悪性腫瘍化学療法を施行中に,発熱,倦怠感,咳嗽および喀痰の増加をきたしたため,胸部X線と胸部CT検査を施行したところ浸潤影を認めた.好中球減少中の発熱として,直ちにカルバペネム系抗菌薬を開始したが,治療反応が悪く改善を認めなかったため,気管支内視鏡検査にて経気管支肺生検を施行した.

Question101 62歳の男性.主訴「左胸痛と労作時の息切れ」

著者: 武藤義和 ,   森野英里子

ページ範囲:P.253 - P.254

62歳の男性.
現病歴 胃癌にて胃全摘術を20年前に施行し,以降はむせこむことが多かった.来院5日前から発熱,労作時の息切れおよび咳嗽を自覚するようになっていた.徐々に症状が増悪し,市販の解熱薬を使用するも改善せず,倦怠感と左胸痛が増悪してきたために来院した.

Question102 80歳の男性.主訴「労作時呼吸困難」

著者: 早田宏

ページ範囲:P.255 - P.256

80歳の男性.
現病歴 労作時呼吸困難を主訴に来院した.2年前から徐々に坂道歩行での息切れが増悪している.

Question103 40歳の女性.主訴「喀痰,咳嗽および労作時呼吸困難」

著者: 早田宏 ,   福田雄一

ページ範囲:P.257 - P.258

40歳の女性.
現病歴 1年前から咳嗽と膿性痰とが持続し,最近,労作時呼吸困難を感じるようになった.

Question104 60歳の男性.主訴「血痰」

著者: 早田宏

ページ範囲:P.259 - P.260

60歳の男性.
現病歴 数週前から喀痰に血線が混じるため来院した.

Question105 72歳の男性.主訴「労作時呼吸困難」

著者: 関谷潔史

ページ範囲:P.261 - P.262

72歳の男性.
現病歴 3年前から健康診断の胸部X線写真で両側網状影を指摘されたが,精密検査は受けていなかった.1年前から呼吸困難感が出現し,次第に増悪したため精査加療目的で来院した.

Question106 30歳の女性.主訴「咳嗽と喘鳴」

著者: 関谷潔史

ページ範囲:P.263 - P.264

30歳の女性.
現病歴 1か月前から,夜間から明け方にかけての咳嗽と喘鳴とを自覚するようになった.症状はほぼ毎日出現し,日中になると症状は軽減した.感冒後や季節の変わり目に同様の症状を認めたことはあったが,自然に軽快していたため特に精密検査は受けていなかった.今回症状が持続するため精査加療目的で来院した.

Question107 28歳の男性.来院理由「健康診断で指摘された胸部X線異常陰影」

著者: 関谷潔史

ページ範囲:P.265 - P.266

28歳の男性.
現病歴 1か月前から両眼の霧視を自覚するようになったが市販の点眼薬で様子をみていた.今回健康診断の胸部X線で異常陰影を指摘されたため来院した.

Question108 72歳の男性.来院理由「胸部X線検査で異常を指摘された」

著者: 竹村知容

ページ範囲:P.267 - P.268

72歳の男性.
現病歴 2か月前から易疲労感を自覚していた.食欲は低下していないが,最近1か月で5kgの体重減少があった.健康診断の胸部X線写真で異常を指摘され来院した.

Question109 45歳の男性.主訴「呼吸困難」

著者: 竹村知容

ページ範囲:P.269 - P.270

45歳の男性.
現病歴 バイクにはねられ,右大腿骨の疼痛を主訴に搬入された.右大腿骨頸部内側骨折に対して人工骨頭挿入術を行った.術後4日間はベッド上安静とし,4日目から歩行訓練を開始した.ベッドサイドで車椅子に移動したときに突然呼吸困難を訴え,低酸素血症で紹介された.

Question110 64歳の女性.主訴「呼吸困難」

著者: 竹村知容

ページ範囲:P.271 - P.272

64歳の女性.
現病歴 3か月前から呼吸困難があり,徐々に増悪したため来院した.

Question111 42歳の女性.主訴「心窩部痛」

著者: 谷口浩和

ページ範囲:P.273 - P.274

42歳の女性.
現病歴 半年前から心窩部痛が断続的にあり,かかりつけ医にて上部消化管内視鏡を受けたが異常所見は認められなかった.制酸薬を処方されたが改善しなかったため来院した.

Question112 55歳の男性.主訴「顔の浮腫」

著者: 谷口浩和

ページ範囲:P.275 - P.276

55歳の男性.
現病歴 1か月前から顔が丸くなり首も太くなった.徐々に悪化してくるため来院した.

Question113 60歳の男性.主訴「傾眠」

著者: 谷口浩和

ページ範囲:P.277 - P.278

60歳の男性.
現病歴 以前から「いびきがうるさい」と家族に言われていた.また,ここ数年体重が徐々に増加している.2年前から夜間の覚醒が多くなったり,日中に時間を問わずうとうとしたり眠ってしまうため来院した.

血液疾患

Question114 38歳の女性.主訴「貧血」

著者: 横山泰久

ページ範囲:P.281 - P.282

38歳の女性.
現病歴 職場健診を毎年受けており,6年前からHb 9g/dL程度,2年前からHb 7g/dL程度の貧血を指摘されていたが,そのままにしていた.今回,友人の勧めがあり,来院した.仕事は事務作業が中心で,職場へは電車通勤をしている.多少のだるさや立ちくらみを経験する日が月に数日あるものの,通勤その他の日常生活に特に不自由は感じていないという.また,家庭の冷凍庫で作製した氷や,喫茶店のドリンクに入っている氷をよく食べるという.

Question115 33歳の男性.主訴「動悸」

著者: 横山泰久

ページ範囲:P.283 - P.284

33歳の男性.
現病歴 2日前から労作時の動悸が出現したため来院した.健康診断を毎年受診しており,2年前から軽度の貧血を指摘されていたが,自覚症状はなく,医療機関は受診していなかった.

Question116 70歳の女性.主訴「頸部リンパ節腫脹」

著者: 奥田慎也

ページ範囲:P.285 - P.286

70歳の女性.
現病歴 3年前に慢性リンパ性白血病と診断され,治療適応がないため外来で経過観察している.有意なリンパ節腫脹はなく,肝脾腫も認めない.前回外来時の血液所見は赤血球468万/μL,Hb 13.6g/dL,白血球17,400/μL(好中球18%,好酸球2%,好塩基球1%,単球2%,リンパ球75%),血小板27.3万/μLであった.1か月前に咽頭痛と発熱とがあり,耳鼻科で内服加療されて改善したが,左右頸部リンパ節が最大直径15mmまで腫脹したので来院した.

Question117 24歳の男性.来院理由「白血球・血小板増多と貧血の精査目的」

著者: 奥田慎也

ページ範囲:P.287 - P.288

24歳の男性.
現病歴 生来健康であったが,健康診断で白血球・血小板増多と貧血とを指摘され来院した.自覚症状の訴えはなかったが,よく聞いてみると1か月前から食後に上腹部の張りを自覚し,胃が小さくなったと感じている.

Question118 65歳の男性.来院理由「汎血球減少の精査目的」

著者: 奥田慎也

ページ範囲:P.289 - P.290

65歳の男性.
現病歴 糖尿病と診断されインスリンで治療している.糖尿病外来で定期的に採血検査を行い,前回採血で赤血球398万/μL,Hb 11.8g/dL,白血球2,730/μL,血小板17.8万/μLと軽度の貧血と白血球減少とを認めていた.1か月前に再検査したところ,赤血球234万/μL,Hb 7.9g/dL,白血球840/μL,血小板4.3万/μLと汎血球減少が進行したために紹介され来院した.2週前から動作時の息切れを自覚し,インスリン注射部位の皮膚が青くなった.

Question119 69歳の女性.主訴「貧血」

著者: 奥田慎也

ページ範囲:P.291 - P.292

69歳の女性.
現病歴 高血圧症と脂質異常症との加療のため通院している.貧血が進行したので血液内科のある病院へ紹介したところ,骨髄異形成症候群(不応性貧血)と診断された.治療を要さないため逆紹介され,定期的に採血検査をしている.症状の訴えはない.

Question120 54歳の男性.主訴「腰背部痛と蛋白尿」

著者: 髙松博幸

ページ範囲:P.293 - P.294

54歳の男性.
現病歴 半年前から腰背部痛が出現し,かかりつけ医で胸腰椎圧迫骨折を指摘され鎮痛薬内服で経過観察となっていた.同時期の尿検査で蛋白尿を指摘され,精査目的で総合病院にて腎生検を施行したが有意な所見はなく,紹介され来院した.

Question121 70歳の男性.主訴「視野のぼやけ」

著者: 髙松博幸

ページ範囲:P.295 - P.296

70歳の男性.
現病歴 半年前から全身倦怠感を自覚し,1か月前から頭痛,眩暈および手足のしびれ感があり,昨日から視野のぼやけ感を自覚したため来院した.

Question122 75歳の男性.主訴「下腹部痛」

著者: 髙松博幸

ページ範囲:P.297 - P.298

75歳の男性.
現病歴 3か月前から下腹部痛が出現し,かかりつけ医を受診し便潜血が陽性であった.大腸内視鏡検査が施行され,S状結腸と直腸とにポリープが散在しているのが認められた.精査・加療目的に当院血液内科に紹介され来院した.

Question123 70歳の女性.主訴「下肢の紫斑」

著者: 髙蓋寿朗

ページ範囲:P.299 - P.300

70歳の女性.
現病歴 高血圧症と慢性胃炎とでかかりつけ医にて治療中であった.2か月前から特にぶつけた記憶はないのに両下肢に青あざが出現し,同院を受診した.出血傾向を疑われスクリーニング検査を施行したところ,血小板の著明な減少を指摘され,紹介され来院した.

Question124 82歳の女性.主訴「意識障害と血小板減少」

著者: 髙蓋寿朗

ページ範囲:P.301 - P.302

82歳の女性.
現病歴 高血圧症のためかかりつけ医にて治療中であった.2週前から呼びかけに反応しないなどの意識障害を認め,次第に増悪したため1週前にかかりつけ医を受診し,血小板減少を指摘された.下肢の点状出血など出血傾向を認めたため,2日前からは血小板輸血を計2回施行されたが改善せず,紹介され来院した.

Question125 78歳の女性.主訴「皮下血腫と貧血」

著者: 髙蓋寿朗

ページ範囲:P.303 - P.305

78歳の女性.
現病歴 当院受診1か月前から左大腿部に疼痛を伴う皮下血腫が出現した.血腫が増大するため近くの病院に入院した.貧血も進行するため赤血球輸血を行ったが,血腫の改善もなく,APTTの著明な延長を指摘され,精査加療のため紹介され来院した.

神経疾患

Question126 45歳の男性.主訴「頭痛」

著者: 滋賀健介

ページ範囲:P.309 - P.310

45歳の男性.
現病歴 2週前のある日,ジムでトレーニング中に突然両こめかみから前頭部にかけて,割れるような頭痛が出現した.これまで経験したことのない強い頭痛で,悪心もあった.安静にしていると痛みは治まってきたため帰宅したが,その後も,体動時やトレーニング時に頭痛が悪化した.頭痛が2週間持続するため来院した.

Question127 76歳の男性.主訴「動悸」

著者: 滋賀健介

ページ範囲:P.311 - P.312

76歳の男性.
現病歴 最近動悸がするので来院した.

Question128 37歳の女性.主訴「頭痛と左半身のしびれ」

著者: 滋賀健介

ページ範囲:P.313 - P.314

37歳の女性.
現病歴 3日前に突然右後頭部に痛みが生じた.翌日になると痛みは少し改善したが,持続していた.昨日午後10時頃テレビを観ていたときに突然左半身のしびれが出現し,同時にめまいを生じた.2時間ほど安静にしていたところ,めまいは消失したが,翌朝になっても後頭部痛が残っていたため来院した.

Question129 69歳の男性.主訴「異常な言動・行動」

著者: 岩崎靖

ページ範囲:P.315 - P.316

69歳の男性.
現病歴 2週前から急に落ち着きがなくなり,昼夜を問わず家のなかを歩き回るようになった.次第に会話が困難となり,意味不明の独り言を繰り返すようになった.数日前からは,着替えや食事などの日常生活動作も困難となり,ふらついて頻回に転倒するようになった.このように異常な行動や言動を呈するため,家族に連れられて来院した.

Question130 72歳の男性.主訴「右眼が閉じづらい,食事をこぼす」

著者: 岩崎靖

ページ範囲:P.317 - P.318

72歳の男性.
現病歴 昨日の夕方から右頰部にしびれ感を自覚していた.今朝起床すると,家族から「顔が左に歪んでいる」と指摘された.右眼が閉じづらく,右口角から食事がこぼれるため来院した.

Question131 28歳の男性.主訴「歩行困難」

著者: 岩崎靖

ページ範囲:P.319 - P.320

28歳の男性.
現病歴 2週ほど前に下痢,微熱および感冒症状があったが,数日で自然軽快した.昨日の夜から四肢末梢のしびれ感を自覚していた.今朝から四肢に力が入りにくく,歩行困難となり来院した.

Question132 53歳の女性.主訴「意識障害,ふらつき及び歩行困難」

著者: 鈴木秀和

ページ範囲:P.321 - P.322

53歳の女性.
現病歴 2週前から発熱,咳の上気道炎症状があったが10日ほどで改善した.起床時から意識障害,ふらつき及び歩行困難を自覚し来院した.

Question133 63歳の男性.主訴「眼瞼下垂,複視,呼吸困難および嚥下障害」

著者: 鈴木秀和

ページ範囲:P.323 - P.324

63歳の男性.
現病歴 2か月前から右眼瞼下垂と複視とが出現した.いずれの症状も夕方に増悪し,休息により改善を示した.2週前から睡眠時に呼吸が苦しくなり,たびたび覚醒することがあった.1週前から飲水の際に咳き込み,むせることが多くなった.本日症状が増悪したため来院した.

Question134 46歳の男性.主訴「両上肢の筋力低下」

著者: 鈴木秀和

ページ範囲:P.325 - P.326

46歳の男性.
現病歴 1年前から右手の筋力低下を認め,1か月前から左手の筋力低下も加わったため来院した.

Question135 38歳の男性.主訴「不随意運動」

著者: 林祐一

ページ範囲:P.327 - P.328

38歳の男性.
現病歴 30歳頃から周囲の人に「落ち着きがない」と言われるようになった.家族からみると,歩行時に余分な動きが多く,倒れそうになることも多い.1年前から顔を繰り返ししかめるようになったが,本人は「どこも悪くない」と言い張っていた.心配した家族に連れられ来院した.

Question136 72歳の女性.主訴「幻視」

著者: 林祐一

ページ範囲:P.329 - P.330

72歳の女性.
現病歴 70歳頃から,「布団に虫が見える」と頻繁に言うようになった.夕方から夜間にかけて「虫が見える」「壁に水が流れている」と訴えるようになった.その半年後から右手に軽いふるえがみられ,だんだん起居動作に時間がかかるようになったため家族に連れられ来院した.

Question137 70歳の男性.主訴「手のふるえ」

著者: 林祐一

ページ範囲:P.331 - P.332

70歳の男性.
現病歴 若い頃から緊張しやすい性格で,手がふるえることも時々みられた.10年ほど前に友人の葬式で自分の名前を書こうとしたところ手がふるえてうまく書けなかった.緊張すると手がふるえる程度だったが,最近ではコップを持ったときや,自宅の玄関の鍵穴に鍵を差し込もうとしたときに,よく手がふるえるようになった.心配になり自ら来院した.

アレルギー

Question138 54歳の女性.来院理由「気管支喘息のコントロール」

著者: 西山理

ページ範囲:P.335 - P.337

54歳の女性.
現病歴 48歳時に気管支喘息と診断され治療を受けている.高用量の吸入ステロイド薬〈ICS〉と吸入長時間作動性吸入β2刺激薬〈LABA〉の合剤(フルチカゾンプロピオン500μg+サルメテロール50μg,分2)と内服ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト10mg,分1)を使用しているが,週に1〜2回の喘鳴は出現している.さらに,週1回程度の夜間の喘鳴があり睡眠が妨げられている.その都度,別に処方されている短時間作動性吸入β2刺激薬〈SABA〉(サルブタモール200μg)を吸入し症状は治まっている.

Question139 72歳の男性.主訴「労作時呼吸困難」

著者: 西山理

ページ範囲:P.339 - P.341

72歳の男性.
現病歴 2年前から階段や登り坂で労作時の呼吸困難を自覚していた.最近徐々に増悪し,平らな道路でも呼吸困難を感じるようになってきた.それに加えて,毎日朝方と労作時に喘鳴を自覚するようになっているという.以前からアレルギー性鼻炎と診断されている.

Question140 44歳の女性.主訴「顔面腫脹,皮疹および一過性の意識消失」

著者: 西山理

ページ範囲:P.343 - P.344

44歳の女性.
現病歴 生来食物アレルギーの既往はない.2か月前にパンケーキを食し,直後に30分程散歩をしたところ四肢に蕁麻疹が出現したが自然に消退した.1か月前にパンを食し,その後仕事で物品の陳列業務を行っていたところ,顔面と四肢とに蕁麻疹が出現.かかりつけ医を受診し,蕁麻疹と診断され抗ヒスタミン薬内服で改善した.昨日パンを食し,その後早足で歩いて帰宅途中に顔面の腫脹,全身の熱感および発赤が出現した.その後,気分不良を自覚し直後に意識消失した.1分程で意識消失は回復し症状も消失した.

Question141 24歳の女性.主訴「悪心と下痢」

著者: 陶山恭博 ,   岡田正人

ページ範囲:P.345 - P.347

24歳の女性.
現病歴 悪心と下痢とをきたし搬入された.小学生のころから生卵の白身を食べると咽頭違和感や蕁麻疹が出現するため避けていた.加熱した卵は問題なく摂取できていた.歓迎会後に友人宅にて天津飯を摂取したところ,摂取5分後から悪心が出現し,下痢を繰り返したため救急車を要請した.天津飯はとろみを出そうと,わざわざ半生で仕上げてあった.

Question142 34歳の男性.来院理由「エピペン®継続処方希望」

著者: 陶山恭博 ,   岡田正人

ページ範囲:P.349 - P.350

34歳の男性.
現病歴 3年前に仕事中にハチに刺されて全身の発赤と呼吸困難とが出現したために救急搬送された.アドレナリンの投与がされアドレナリン自己注射薬(エピペン®)が処方されていた.今回,転居に伴いエピペン®の継続処方を希望し来院した.かかりつけ医からの紹介状もあり,本人は処方されたエピペン®を携帯もしていた.

Question143 42歳の男性.主訴「全身麻酔後のショック」

著者: 陶山恭博 ,   岡田正人

ページ範囲:P.351 - P.352

42歳の男性.
現病歴 風船を膨らませると口の中がいがいがする感じがあったため控えていた.最近サラダを食べると蕁麻疹が出現するようにもなっていた.今回は虫垂炎にて救急外来を受診し,緊急手術となった.全身麻酔で手術を開始したところ,数分後に突然血圧が低下しショックとなった.

膠原病

Question144 68歳の男性.主訴「全身痛」

著者: 陶山恭博

ページ範囲:P.355 - P.357

68歳の男性.
現病歴 1か月前から頸部と背中との張りの症状が徐々に強くなり寝返りが困難となった.大腿も痛むため立ち上がることも難しくなったため,全身の筋肉痛を主訴に来院した.

Question145 24歳の女性.来院理由「右腕の血圧が測定しづらいことを指摘された」

著者: 陶山恭博

ページ範囲:P.359 - P.360

24歳の女性.
現病歴 5年前から立ちくらみを,3か月前から微熱を自覚していた.胸痛の自覚もあり,かかりつけ医を受診したところ右腕にて血圧が測定しづらいことを指摘され,精査目的に紹介され来院した.

Question146 65歳の男性.主訴「紫色の指先」

著者: 陶山恭博

ページ範囲:P.361 - P.363

65歳の男性.
現病歴 5年前から秋になると指先の色が変わるようになっていた.3年前から腎機能障害を指摘されていたが,特に内服薬はなかった.冬のある日,指先の色が紫色になり改善に乏しいため来院した.

Question147 34歳の女性.主訴「SLE治療中の両側股関節痛」

著者: 滝澤直歩 ,   野村篤史

ページ範囲:P.365 - P.367

34歳の女性.
現病歴 17歳時に顔面紅斑,血球減少および抗核抗体陽性・抗dsDNA抗体陽性などから全身性エリテマトーデス〈SLE〉と診断された.19歳時に全身浮腫と口内炎とが多発したためメチルプレドニゾロンパルス療法,その後プレドニゾロンの内服を開始し,漸減された.33歳時(4か月前)に汎血球減少,腎機能増悪および尿蛋白を認め腎生検施行されループス腎炎Ⅳ型(A/C:活動性および慢性化病変)の診断となり,メチルプレドニゾロンパルス療法後にプレドニゾロン内服と,ミゾリビン及びタクロリムスが開始された.骨密度低下も認め,同時にビスホスホネート製剤,活性型ビタミンD製剤が開始された.その後状態は安定していたが,緩徐発症の両側股関節痛を認めたため来院した.

Question148 81歳の男性.主訴「口腔・口唇のびらんと出血,両側下腿の点状出血」

著者: 滝澤直歩 ,   野村篤史

ページ範囲:P.369 - P.370

81歳の男性.
現病歴 60歳で多関節炎を発症し,関節リウマチと診断されメトトレキサート〈MTX〉 6mg/週で治療をされていた.内服は自己管理であった.1週前から口腔・口唇のびらんと出血,両側下腿の点状出血を認めたため,家族とともに来院した.

Question149 59歳の男性.来院理由「間質性肺炎と関節炎との評価・治療目的」

著者: 滝澤直歩 ,   野村篤史

ページ範囲:P.371 - P.372

59歳の男性.
現病歴 1年前に咳嗽と呼吸困難とを主訴に近くの総合病院を受診し,間質性肺炎の診断で副腎皮質ステロイドを開始された.約半年間かけて副腎皮質ステロイドは減量・中止となった.その後,症状は安定していたが間質性肺炎が再燃し,さらには両側手指を中心とした関節痛と関節腫脹とを認めたため,評価・治療目的で当院紹介となった.

Question150 81歳の女性.主訴「多発関節痛と皮疹」

著者: 狩野俊和

ページ範囲:P.373 - P.374

81歳の女性.
現病歴 8か月前に頸部痛,手指関節痛および両膝関節痛が出現した.4か月前に両手と前腕とに皮疹が出現した.皮膚科でステロイド軟膏が処方された.整形外科を来院しX線検査を行ったところ異常はなかったが,CRP 6.5mg/dLと炎症反応を認めた.関節リウマチが疑われ紹介され来院した.

Question151 77歳の男性.主訴「全身の疼痛」

著者: 狩野俊和

ページ範囲:P.375 - P.376

77歳の男性.
現病歴 3日前から突然両膝が痛くなった.その後,次々と両足,手および肩も痛くなり身動きが取れなくなった.3日間水も食事も取れず,ベッドで倒れていたため搬送された.

Question152 68歳の女性.主訴「手指の関節腫脹と疼痛」

著者: 狩野俊和

ページ範囲:P.377 - P.378

68歳の女性.
現病歴 約2か月前から左第3近位指節間関節〈PIP関節〉の腫脹と疼痛とが出現した.改善しないため,2週前にかかりつけ医を受診した.超音波検査で滑膜炎を認めたため,関節リウマチ疑いとしてブシラミンが投与された.しかし改善せず,さらに膝の痛みも出現したため,紹介され来院した.朝のこわばりが約15分あると言う.

感染症

Question153 80歳の男性.主訴「発熱」

著者: 関川喜之 ,   丹羽一貴

ページ範囲:P.381 - P.382

80歳の男性.
現病歴 10日前に家族と山菜を採っていた.5日前から知人に顔の紅潮を指摘された.3日前から寒気と倦怠感とを認め自宅で療養していた.本日,発熱と全身の皮疹とを認めたため,家族に勧められ来院した.

Question154 38歳の女性.主訴「発熱と咳嗽」

著者: 丹羽一貴

ページ範囲:P.383 - P.385

38歳の女性.
現病歴 2日前から38℃台の発熱と乾性咳嗽とが出現した.呼吸困難感は乏しく,喀痰も少量のみであるが,夜眠れないくらいの咳嗽を認めたため来院した.

Question155 25歳の女性.主訴「上腹部痛」

著者: 丹羽一貴

ページ範囲:P.387 - P.388

25歳の女性.
現病歴 2日前の夜に右上腹部痛が出現した.腹痛以外に39℃台の発熱を認めたが,悪心・嘔吐,下痢,排尿時痛および残尿感は認めなかった.今朝,上腹部痛が改善しないため搬入された.腹痛は差し込まれるような強い痛みで,波はあるが持続していた.3日前にしめ鯖を食べていた.最終月経は10日前から5日前までの6日間で,これまで月経困難はなかった.

Question156 33歳の男性.主訴「頭痛」

著者: 谷口俊文

ページ範囲:P.389 - P.391

33歳の男性.
現病歴 頭痛を主訴に来院した.3週前から感冒様症状が出現し,次第に増悪した.発熱,易疲労感,項部痛,頭痛,全身の関節痛,咽頭痛および頸部リンパ節の腫脹を訴えていた.嘔吐,腹痛,下痢および咳などはなかった.熱が出始めた頃に淡い発疹を胸部と上腹部に認めたが,数日で消失したと言う.

Question157 38歳の男性.主訴「腹痛,下痢および発熱」

著者: 谷口俊文

ページ範囲:P.393 - P.395

38歳の男性.
現病歴 1週前からの腹痛,下痢および37℃台の発熱を主訴に来院した.悪心・嘔吐はなく,嚥下に問題はなかった.下血(新鮮血や黒色便など)はなく,発疹なども認めなかった.

Question158 68歳の女性.主訴「発熱と呼吸困難」

著者: 谷口俊文

ページ範囲:P.397 - P.398

85歳の女性.
現病歴 季節性インフルエンザ予防接種は「かかったことがない」ことを理由に受けたことがなかった.しかし,3週前に高熱,感冒様症状および節々の痛みが発症し,次第に呼吸困難と咳嗽とが出現したためかかりつけ医を受診し,インフルエンザ肺炎と診断された.入院を勧められたが,自宅での治療を希望し,オセルタミビルを服用して徐々に改善してきたところだった.しかしながら呼吸困難がだんだん悪くなり,灰色の痰をたくさん出すようになった.発熱も再びみられるようになったため来院した.

Question159 83歳の男性.来院理由「低血糖」

著者: 岸田直樹

ページ範囲:P.399 - P.401

83歳の男性.
現病歴 5か月前に肺癌の宣告を受けてからうつ状態だった.もともと食事は1/3程度しか食べなかったが,宣告後は1/10くらいしか食べない日々だった.1か月前に意識障害でかかりつけの脳外科に搬送され,低血糖があり内科の病院に転院するも原因不明として,点滴のみで低血糖は起こらず数日で退院となった.その後も摂食はほとんどなくなり,体重が5kg減少し37kgとなった.衰弱がひどいため1週前から3日前までかかりつけ医に点滴のみで入院していた.退院後,家族が37℃台の微熱に気付いた.2日前に再度意識が悪くなりかかりつけの脳外科に搬送され,低血糖としてブドウ糖点滴のみで帰宅した.今朝から意識が悪くなり,妻の血糖測定器で測るとlowであったため,砂糖を舐めさせながら来院した.

Question160 68歳の女性.主訴「咳,痰および発熱」

著者: 岸田直樹

ページ範囲:P.402 - P.405

68歳の女性.
現病歴 1週前に咳,鼻汁および咽頭痛があり,2〜3日で軽快傾向だったが咳だけが続いていた.前日の夜に悪寒戦慄を伴う発熱があり,咳も悪化したため来院した.

Question161 80歳の女性.主訴「発熱と悪寒戦慄」

著者: 岸田直樹

ページ範囲:P.407 - P.409

80歳の女性.
現病歴 高血圧症,脂質異常症,糖尿病および脳梗塞後遺症にて左不全麻痺で尿バルーン留置中であった.軽度認知症があるがコミュニケーションは可能である.2日前から尿量減少と尿の混濁とを認めていたが,本日昼から悪心・嘔吐と1時間続く悪寒戦慄を伴う発熱とがあり,家族に連れられて来院した.

Question162 70歳の男性.主訴「悪寒戦慄と発熱」

著者: 藤田崇宏

ページ範囲:P.411 - P.412

70歳の男性.
現病歴 左肺扁平上皮癌に対する放射線抗癌化学療法のため入院している.経口摂取量の低下があり,末梢からの補液が持続的に行われていた.第28病日に突然悪寒戦慄を伴う発熱がみられた.

Question163 68歳の男性.主訴「下痢」

著者: 藤田崇宏

ページ範囲:P.413 - P.414

68歳の男性.
現病歴 右下腿の蜂窩織炎の治療のため入院し,10日間のセファゾリンの点滴を受けた.血糖コントロールのため入院を継続していたが,入院第13病日に,1日数回の水様下痢便が出現した.

Question164 69歳の男性.主訴「咳と痰」

著者: 藤田崇宏

ページ範囲:P.415 - P.416

69歳の男性.
現病歴 1か月前から続く咳と痰とのため来院した.食思不振と倦怠感とが強いため入院した.これまでに結核と非結核性抗酸菌症とを指摘された既往はない.

Question165 68歳の男性.主訴「胃癌術後の発熱」

著者: 羽山ブライアン

ページ範囲:P.417 - P.418

68歳の男性.
現病歴 食思不振と心窩部違和感との精査から胃癌が発見された.通過障害があるためすぐ入院となり,絶食+中心静脈〈CV〉カテーテルを挿入のうえで完全静脈栄養〈TPN〉管理下に術前精査などが行われた.入院の2週後に腹腔鏡下幽門側胃切除術が行われ,術後経過は当初良好に思われたが,術後4日目に38.4℃の発熱があった.腹部の症状や所見には乏しいもののCTの結果から微小な縫合不全が疑われた.血液培養2セット採取のうえ,メロペネム1gを8時間ごとの投与が開始された.翌朝の回診時には熱は37.5℃とやや下がっており,患者本人も「いくらか楽になった」と言っていたが,昼前に血液培養陽性の報告があった.

Question166 34歳の女性.主訴「発熱,頭痛および意識変容」

著者: 羽山ブライアン

ページ範囲:P.419 - P.420

34歳の女性.
現病歴 3年前に発熱や関節痛などの精査で判明した全身性エリテマトーデス〈SLE〉に対して,プレドニゾロン10mg/日を長期内服中であった.2週前頃から徐々に増悪する頭痛と37℃台前半の微熱とがあり,2日前から会話の辻褄が合いにくいなどの症状がみられたため夫に連れられて来院し,緊急入院となった.

Question167 43歳の女性.主訴「乳癌に対する抗癌化学療法中の発熱,咳および労作時呼吸困難」

著者: 羽山ブライアン

ページ範囲:P.421 - P.422

43歳の女性.
現病歴 健康診断のマンモグラフィで異常を指摘され,精査で左乳癌と判明した.術前抗癌化学療法の適応と判断され,weeklyパクリタキセル(80mg/m2,3週投与1週休,パクリタキセル投与日には制吐目的にデキサメタゾン6.6mg点滴静注)を開始された.順調に治療継続していたが,8クール目開始予定の日に来院した際,待合室で「ハアハア」と息が荒く具合が悪そうにしているのを発見された.病歴では1週前からの乾性咳嗽,5日前からの38℃前後の熱,ここ2日の労作時呼吸困難を訴えた.

Question168 28歳の男性.主訴「発熱」

著者: 山元佳 ,   竹下望

ページ範囲:P.423 - P.424

28歳の男性.
現病歴 来院3日前,突然の悪寒戦慄を伴う39℃台の発熱と頭痛とが出現した.発熱当日にかかりつけ医を受診しロキソニンなどを処方されたが,症状が改善しないため来院した.消化器症状は明らかではないが,1日前から軟便である.

Question169 38歳の女性.主訴「下痢」

著者: 山元佳 ,   竹下望

ページ範囲:P.425 - P.426

38歳の女性.
現病歴 3週前にインドネシアに渡航し,帰国4日後から10回/日ほどの水様便を認め,かかりつけ医でホスホマイシンと整腸剤とを処方された.症状は徐々に改善してきたが,2週以上が経過した今でも3〜4回/日ほどの水様便が残存するため来院した.2週で1kg弱の体重減少あり.発熱と盗汗とはない.咳嗽はない.飲水や食事は通常通り可能であった.

Question170 35歳の男性.主訴「1週以上続く軟便」

著者: 山元佳 ,   竹下望

ページ範囲:P.427 - P.428

35歳の男性.
現病歴 10日ほど前から2〜3回/日ほどの軟便と軽度の腹痛とを自覚していた.かかりつけ医にて整腸薬を処方されたが症状改善せず来院した.時に便に血液が混じることがあったが,痔核の既往がありそのためと思っていた.

Question171 39歳の男性.主訴「発熱と皮疹」

著者: 相野田祐介

ページ範囲:P.429 - P.430

39歳の男性.
現病歴 1週前から37℃台の発熱と全身倦怠感とを認めるようになった.かかりつけ医を受診し,ウイルス性上気道炎と診断されてアセトアミノフェンを処方され,内服していたが軽快しなかった.3日前から体幹部に皮疹を認めるようになり,その後全身に拡がったため来院した.

Question172 32歳の男性.来院理由「便の中に白い紐のようなものがある」

著者: 相野田祐介

ページ範囲:P.431 - P.432

32歳の男性.
現病歴 特に症状はないが,便の中に10cm程度の白い紐のようなものが複数検出された.その後しばらくは何もなかったが,2週経過した後,再度同じような紐のようなものを便中に認めたため来院した.

Question173 53歳の男性.主訴「発熱,頭痛および倦怠感」

著者: 相野田祐介

ページ範囲:P.433 - P.435

53歳の男性.
現病歴 フィリピンに5日間滞在した.帰国後7日目から発熱,頭痛および倦怠感が出現し5日間自宅で安静にしていたが軽快しないため来院した.呼吸困難はない.嘔吐はない.下痢はない.頭痛と筋肉痛とを認める.咽頭痛はない.悪心が軽度ある.

救急

Question174 62歳の女性.主訴「右腰背部痛と悪寒戦慄」

著者: 宮本恭兵 ,   加藤正哉

ページ範囲:P.439 - P.440

62歳の女性.
現病歴 昨日,右腰背部痛が出現し,かかりつけ医を受診し右尿管結石と診断され鎮痛薬を投与され帰宅した.8時間前に悪寒戦慄が出現し,右腰背部痛が増悪した.意識がもうろうとしてきたため救急要請し,搬入された.

Question175 24歳の女性.主訴「咳嗽,血痰および呼吸困難」

著者: 宮本恭兵 ,   加藤正哉

ページ範囲:P.441 - P.442

24歳の女性.産後1週間の褥婦.
現病歴 2週前に乾性咳嗽が出現したが数日で改善した.瘢痕子宮のため1週前に予定帝王切開で第2子を出産(妊娠週数39週0日).母児ともに合併症なく経過した.4日前から咳嗽が再度出現した.昨日から血痰と呼吸困難とが出現し,臥位になると呼吸困難は増悪した.胸痛はない.入院中の産科医院で施行した胸部X線写真で両肺野透過性低下を認め,肺炎の疑いで転院した.

Question176 46歳の男性.主訴「胸痛」

著者: 宮本恭兵 ,   加藤正哉

ページ範囲:P.443 - P.444

46歳の男性.
症例経過① ある小規模病院の当直中で,医師は自分1人である.胸痛を訴える患者が独歩受診し,待合室で看護師が病歴聴取中に意識消失したために対応を開始した.
 呼びかけにも応じない昏睡状態であったため応援を要請し,呼吸,脈拍を確認した.呼吸と脈拍を認めなかったため,まず人工呼吸でなく胸骨圧迫を開始した.胸骨圧迫:人工呼吸は30:2で行い,胸骨圧迫のペースは110回/分とし,胸骨圧迫の中断時間が10秒以内になるように心がけた.

Question177 50歳の男性.主訴「下血」

著者: 東秀律

ページ範囲:P.445 - P.446

50歳の男性.
現病歴 自宅で排便時に多量の血液混じりの暗赤色便が出たため心配になり,家族が救急要請して搬入された.過去に同様の症状はない.

Question178 70歳の女性.主訴「意識障害」

著者: 東秀律

ページ範囲:P.447 - P.448

70歳の女性(独居).
現病歴 8月某日,連絡が取れなくなったため家族が自宅を訪ねたところ,室内で倒れているのを発見し,救急要請して搬入された.

Question179 50歳の女性.主訴「意識障害」

著者: 東秀律

ページ範囲:P.449 - P.450

50歳の女性.
現病歴 統合失調症の既往があり,精神科通院中である.昨日から意識障害が進行したため,家族が救急要請し,搬入された.

Question180 68歳の男性.主訴「意識消失」

著者: 宮下淳

ページ範囲:P.451 - P.452

68歳の男性.
現病歴 Parkinson病で上肢の振戦,固縮および寡動があるが,生活は自立しており,普段の食事で明らかな誤嚥のエピソードはなかった.夕食におでんを食べた直後に約1分間の意識消失があり搬入された.

Question181 35歳の女性.主訴「意識障害」

著者: 宮下淳

ページ範囲:P.453 - P.455

35歳の女性.
現病歴 今朝,夫と口喧嘩になり,夫はそのまま仕事に出かけた.夕方帰宅したところ,ソファで意識なく倒れている患者を発見したため搬入された.なお,倒れていた患者の周りには空の薬包が多数散らばっていた.

Question182 80歳の女性.主訴「意識障害」

著者: 宮下淳

ページ範囲:P.457 - P.458

80歳の女性.
現病歴 軽度の認知症があるが,なんとか室内の日常生活動作を維持しながら独居生活を送っていた.7月下旬の蒸し暑い日の正午頃,近くに住む娘が電話をかけても電話に出ないことを不審に思い,訪ねてみたところ,締め切った部屋のなかで倒れていたため搬入された.

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索引

ページ範囲:P.460 - P.461

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出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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