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雑誌目次

雑誌文献

medicina55巻11号

2018年10月発行

雑誌目次

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

著者: 柏木秀行

ページ範囲:P.1715 - P.1715

 エンド・オブ・ライフと聞いて,どのような印象を受けるだろうか? 日夜,診断と治療に取り組む内科医にとって,エンド・オブ・ライフが話題となる患者に対しては,できることが少なく感じてしまいがちである.であれば,自分以外の誰かに任せて,自分は医学に専念すればよいのだろうか? 私はこれからの内科医はエンド・オブ・ライフに無関心ではいられないし,むしろやりがいを感じながら取り組んで欲しいと考える.
 総務省の報告によると,2016年10月時点で65歳以上の高齢者人口は3,459万人となり,総人口に占める割合(高齢化率)も27.3%となった.そのなかで厚生労働省の死亡数の推計は,2015年時点で120万人強であったものが,2040年には160万人を超えるとされる.医療は社会システムを支えるインフラとしての役割があり,医療者の役割はますます大きくなると考える.これまで経験したことのない多死社会において,医療者に求められることは何なのだろうか? そして,医療者側の準備は果たして十分なのであろうか?

特集の理解を深めるための30題

ページ範囲:P.1854 - P.1858

座談会

エンド・オブ・ライフケア これからの医療者に求められること

著者: 有賀悦子 ,   柏木秀行 ,   平原佐斗司

ページ範囲:P.1716 - P.1723

平成28年10月時点で日本の65歳以上の高齢者人口は3,459万人となり,高齢化率も27.3%となりました.診断と治療に取り組む内科医にとっても,エンド・オブ・ライフ(EOL)ケアに無関心ではいられない状況になっています.今回は,EOLに長く関わり,先進的に取り組んでこられた有賀先生と平原先生のお二人に,今後のEOLにおける課題やこの領域を担う人材に期待することをテーマに,思いの丈を語っていただきました.(柏木)

エンド・オブ・ライフを支える身体症状への対応

痛み

著者: 田上恵太

ページ範囲:P.1724 - P.1731

Point
◎がん患者に限らず,終末期を迎えた患者の痛みの有症率は高い.
◎終末期には病気による痛みのほかに,廃用症候群に関連するさまざまな痛みも生じる.
◎認知機能低下やせん妄がある場合,疼痛閾値が低下し苦痛が増大することや苦痛を適切に表現できないことがある.
◎終末期であっても痛みの原因と病態をアセスメントし,対処を多職種で検討することが重要である.
◎痛みの原因を共有したうえで,症状緩和の方法を協働して意思決定する.

呼吸困難・咳嗽

著者: 大屋清文

ページ範囲:P.1732 - P.1734

Point
◎呼吸困難は主観的なものである.
◎「呼吸困難」と「呼吸不全」は治療方針が変わるため,分けて考える.
◎オピオイドが有効な呼吸困難を見極める.
◎咳嗽は「湿性咳嗽」と「乾性咳嗽」に分けて考える.

便秘・消化管閉塞・腹水

著者: 江川健一郎

ページ範囲:P.1736 - P.1742

Point
◎便秘は入院患者で多く,エンド・オブ・ライフ(EOL)期には複合的な要因により長期化しやすい.
◎悪性腸閉塞は予後不良で,手術は予後60日以上が見込まれる場合に適応となる.除圧のための短期間のドレナージと薬物療法が基本である.
◎腹水にはがん・非がんを問わずさまざまな原因があり,血清-腹水アルブミン勾配(SAAG)および腹水中総蛋白質値による分類が診断・治療に有用である.
◎EOL期の腸閉塞および腹水貯留では,500〜1,000mL/日への輸液の減量が苦痛の除去につながる.

悪液質・栄養

著者: 神谷浩平

ページ範囲:P.1744 - P.1747

Point
◎悪液質はエンド・オブ・ライフの活動性やQOLに影響する重要な症候である.
◎悪液質の進行度(前悪液質,悪液質,不可逆的悪液質)の診断が重要である.
◎不可逆的な悪液質の時期には,経静脈的な栄養投与の対象にはならない.
◎口から栄養が摂れないことへの患者・家族の不安や,輸液・栄養についての思い・気がかりに十分配慮した説明と対応が有用である.

在宅(自宅・施設)での症状緩和

著者: 河原正典

ページ範囲:P.1748 - P.1750

Point
◎患者・家族の病状やどう病気を捉えているのかを確認する.
◎医師として,医療以外の「患者さんの生活を支えていく」視点をもつ.
◎終末期の点滴の意味について,患者・家族がどう捉えているのか,医療的な意味について知っておく.
◎予測できる病態に対して,あらかじめ準備しておく.
◎施設では,施設の方針やどの程度まで対応できるのかを把握しておく.

エンド・オブ・ライフを支える精神・心理・スピリチュアリティへの対応

不眠

著者: 天津透彦

ページ範囲:P.1752 - P.1755

Point
◎不眠は緩和ケアでは高率に問題となり,他の苦痛を増悪させ,ケアの質にまで影響する.
◎不眠は心理・身体・物質・環境因子などが原因となるため,その原因の検索と対処が重要である.
◎病勢進行に伴い薬物療法による有害事象が問題となりやすいため、非薬物的な対応が優先される.
◎不眠の治療にはさまざまなものが影響するため,定型的な対応ではなく,個別の対応が推奨される.

うつ病・適応障害

著者: 小川朝生

ページ範囲:P.1756 - P.1758

Point
◎うつ病・適応障害は,がん医療においてしばしば認められる病態であり,「がんという深刻な事態になったら落ち込むのは当然だろう」とみなして放置してはならない.
◎抑うつ状態を積極的に評価しその軽減を図ることは,患者の療養生活の質を高めることが確認されている.
◎治療方針の変更など,治療上,大きな変化があった場合には,改めて評価・確認する.評価方法には,PHQ-9などがある.
◎抗うつ薬を使用する場合には,悪心など有害事象の忍容性を考慮して選択する.

不安

著者: 木附康

ページ範囲:P.1760 - P.1761

Point
◎エンド・オブ・ライフケアにおける不安にはアセスメントが最も重要である.
◎対処の必要のない場合や,しないほうがよい場合もある.
◎対処の必要な場合には,まずはチームでのサポートを行う.

スピリチュアルな苦痛

著者: 藤澤大介

ページ範囲:P.1762 - P.1764

Point
◎スピリチュアルな苦痛は,身体・精神・社会的苦痛と相互に関連し合っている.
◎多職種で対応し,患者さんの苦痛に配慮したコミュニケーションやケアを日々の臨床のなかで体現する.
◎Meaning-centered psychotherapy,dignity therapy,マインドフルネスなどの心理療法の概略の理解は,スピリチュアル・ケアに有益である.

臨死期の対応

終末期のせん妄

著者: 山川宣

ページ範囲:P.1766 - P.1769

Point
◎終末期せん妄であっても,原因の改善や増悪因子(環境・身体症状)へのケアは継続する必要がある.
◎薬物療法は,抗精神病薬の過量使用に注意し,催眠作用の有無に着目して選択する.
◎持続的な鎮静は,鎮静ガイドラインを参考に,本人・家族・複数の医療者間でゴールを設定する.

死前喘鳴

著者: 松本弥一郎

ページ範囲:P.1770 - P.1772

Point
◎死前喘鳴は死亡直前にみられる徴候である.
◎死亡直前にみられる喘鳴か,他の原因でみられる喘鳴かを鑑別する.
◎薬物療法では抗コリン薬などが用いられることが多く,使用例を確認しておく.
◎非薬物療法では体位ドレナージや用手的排痰補助法が推奨される.
◎家族とのコミュニケーションを大事にする.

緩和的鎮静

著者: 橋本法修

ページ範囲:P.1774 - P.1776

Point
◎緩和的鎮静は治療抵抗性の苦痛を軽減させる手段である.
◎緩和的鎮静の適応は,主治医1人で判断する必要はなく専門家とともに判断していく.
◎患者家族の気持ちや不安を確認しながら,緩和的鎮静について説明を行う.
◎緩和的鎮静実施時は薬剤を少量ずつ投与し,苦痛軽減もしくは呼吸抑制の出現時に用量調整を中止する.

看取り

著者: 田中雅之

ページ範囲:P.1778 - P.1781

Point
◎医療者が看取りを行うことは,日本で今後20年間増え続けることが予想されている.
◎看取りに関して,教育を受ける機会が日本にはあまりない.
◎死亡診断時の医師の立ち振る舞いは,遺族の悲嘆に大きく影響を及ぼすと言われている.
◎家族の看取りの辛さと満足度を決定する因子は,「患者の苦痛を気にかける」「患者への接し方をコーチする」「患者に意識があるように接する」「家族が十分悲観できる時間がある」である.

エンド・オブ・ライフを支えるための疾患の知識

予後予測とその役割—悪性疾患を中心に

著者: 小杉和博

ページ範囲:P.1782 - P.1787

Point
◎予後を予測する方法として,「医師の経験に基づく主観によるもの」と「客観的な指標に基づくもの」があるが,前者は楽観的に見積もることが多い.
◎客観的な指標として,PaP Score,PPI,PiPS modelsがある.ルーチンではPPIを,より高い精度を求める場合はPiPS modelsを用いるとよい.
◎患者は「知る権利」だけでなく,「知らない権利」ももっている.予後を伝える際は,患者・家族にとって望ましい予後の伝え方を心得ておく.

可逆性の判断

著者: 世戸博之

ページ範囲:P.1788 - P.1791

Point
◎エンド・オブ・ライフに生じた病態の可逆性を判断するための一般化されたツールやエビデンスは現時点ではない.
◎疾患トラジェクトリーなどで患者の予後に影響する主な疾患の一般的な経過を押さえる.
◎患者が疾患トラジェクトリーのどの位置にいるか,そして直近の変化や経過を把握する.
◎最も影響しそうな予後規定因子を把握し,起こりうる経過の仮説を立て,評価を繰り返し行う.
◎治療方針について患者・家族や他のメディカルスタッフとshared decision makingを行う.

がん

著者: 石山雄太

ページ範囲:P.1792 - P.1795

Point
◎「治療のゴール」を明確にし,それをメンバーと共有しよう.
◎全身状態が悪化した時は,化学療法を中止する1つのタイミングである.
◎「化学療法をしないこと」=「治療をしないこと」ではない.
◎進行がん治療で治療医とタッグを組むのはプライマリ・ケア医かもしれない.

心不全

著者: 大森崇史

ページ範囲:P.1796 - P.1798

Point
◎心不全パンデミックの到来が予見されており,非循環器専門家であっても心不全診療の担い手になることが期待されている.
◎心不全の予後予測は困難で,経過・経験・リスクスコアを統合して目の前の患者に適応する必要がある.
◎心不全のエンド・オブ・ライフを支えるにあたり,多職種連携の重要性を意識したチームメイキングが重要である.

慢性呼吸器疾患

著者: 靏野広介 ,   飛野和則

ページ範囲:P.1800 - P.1805

Point
◎COPDや間質性肺炎(特に特発性肺線維症)はともに進行性で予後不良の疾患であるが,一般的な認知度が低く,医療者と患者・家族の間で疾患経過に関する認識の差が大きくなりやすい.
◎COPDと間質性肺炎はともに「急性増悪」をきたし,急激な経過で終末期に移行することがある.
◎予後不良因子を把握し,予想される大まかな自然経過と急性増悪についての共通理解を構築していく必要がある.
◎慢性呼吸器疾患の終末期における呼吸困難に対し,モルヒネ製剤や鎮静薬が症状を緩和しうる.
◎障害者医療費助成制度や難病医療費助成の申請も忘れずに行う.

肝不全・腎不全

著者: 松尾裕一郎 ,   坂井正弘

ページ範囲:P.1806 - P.1810

Point
◎肝不全患者の予後予測に必要な知識を整理し,適切な時期に緩和ケアを提供できるようにする.
◎腎不全患者の終末期像を理解し,終末期における透析の役割を理解する.
◎維持透析の導入・中止を決定するに当たって考慮すべき倫理的問題を理解する.

神経難病

著者: 徳田英弘

ページ範囲:P.1812 - P.1816

Point
◎エンド・オブ・ライフという視点でみたときの神経難病の特徴として,ADLや嚥下機能,呼吸機能などが低下した状態で,長期間過ごす場合が多いことが挙げられる.
◎症状緩和を目的として,胃瘻造設,補助換気,気管切開などを行う意義は大きく,これらに対する意思決定支援が重要になる.また,呼吸苦に対してはモルヒネの使用も有用である.
◎急変が予測される場合として,嚥下障害,呼吸障害,自律神経障害などの進行,重症感染症などがある.
◎急変に備えて,患者・家族に予想される状況についての理解を図り,急変時の連絡先や,心肺蘇生の要否などについて協議しておく.
◎在宅でも人工呼吸など多くの医療処置が可能であり,難病医療費助成制度,介護保険,身体障害者総合支援法などの制度を利用し,多職種と連携することで,在宅復帰の可能性が高まる.

高齢者の衰弱/認知症

著者: 山口健也

ページ範囲:P.1817 - P.1819

Point
◎高齢者の経過は緩徐な機能低下が特徴で,それゆえに患者・家族と医療者間で認識のギャップが生じやすい.
◎十分なアドバンス・ケア・プランニングにより,認識のギャップを防ぎうる.
◎「天寿を全う」できた場合,患者本人のみならず関わったすべての人にとって誇るべき経過で,家族ケアにも繋がりうる.

突然の死別

著者: 安藤裕貴

ページ範囲:P.1820 - P.1823

Point
◎患者家族にとって死別は1回きりという認識のズレを,まずは医療者側が認識する必要がある.
◎デブリーフィングで振り返ることは家族にもスタッフにも有効である.
◎自分の価値観ではなく,患者や家族の価値観や意思決定によって対応を変化させる柔軟さが必要である.

エンド・オブ・ライフを支える支援のスキル

コミュニケーションスキル

著者: 木村衣里

ページ範囲:P.1824 - P.1827

Point
◎医師と患者間には認識にギャップがあることを知る.
◎予後告知の前には,患者・家族がどこまで知りたいのかを確認する.
◎SHAREプロトコールを使用したコミュニケーションスキルを磨く.

アドバンス・ケア・プランニング

著者: 岡村知直

ページ範囲:P.1828 - P.1831

Point
◎アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは何かを決めることではなく,「価値観を共有するプロセス」である.
◎ACPを行うタイミングは,患者の状況に合わせる.一度ACPを行った後も繰り返して話し合うことが必要である.
◎重要な質問に対する回答を聞いたうえで,さらにその理由を聞くことが大切である.

療養の場について検討する

著者: 廣橋猛

ページ範囲:P.1832 - P.1834

Point
◎がん患者の療養の場には,一般病院のほかに,緩和ケア病棟と在宅がある.
◎緩和ケア病棟も長期入院が難しくなり,在宅医療との連携が重要となっている.
◎在宅で可能な医療について知る必要がある.医療者が自宅退院のバリアになってはならない.
◎特にがん患者ではエンド・オブ・ライフに希望する療養の場について,早めの準備が求められる.

家族ケア

著者: 宮崎万友子

ページ範囲:P.1836 - P.1838

Point
◎医療者が気づかないうちに家族の悲しみを助長させてしまう可能性がある.
◎最良の家族ケアよりも最悪の光景を生み出さないよう訓練しよう.

ビリーブメント

著者: 坂口幸弘

ページ範囲:P.1840 - P.1842

Point
◎死別に伴う悲嘆は正常な反応であり,悲嘆反応の種類や強さには個人差が大きい.
◎死別は,精神疾患や身体疾患への罹患,自殺,死亡につながる危険性を孕んでいる.
◎遺族のリスクやニーズは多様で,すべての遺族に同様のケアが必要というわけではない.
◎自分を気にかけてくれる人の存在は,遺族にとって心の拠り所となりうる.
◎より良い療養生活や看取りは,深い悲しみのなかにある遺族にとっての救いとなる.

倫理的な問題

著者: 吉野かえで ,   平岡栄治

ページ範囲:P.1844 - P.1847

Point
◎倫理的な問題に直面した際には,主治医の独断ではなく,多職種での議論(倫理カンファレンス)が求められる.
◎議論にあたり,言葉の定義や過去の代表的な事例を理解することも重要である.
◎倫理カンファレンスの手法の1つである臨床倫理4分割表では,①医学的適応,②患者の意向,③QOL,④周囲の状況の4項目でそれぞれ情報や問題点を挙げ,総合的に議論を行う.

医療者のセルフケア

著者: 樋口雅也

ページ範囲:P.1848 - P.1851

Point
◎バーンアウト,共感疲労は,医療者なら誰にでも起こりうるコモンで深刻な現象である.
◎セルフケアによりバーンアウトを予防し,より良い医療を継続して提供できる.
◎セルフケアは個人だけでなく,医療チーム・組織で取り組むとバーンアウト予防効果が高い.

Column

わが国の緩和医療専門医制度について

著者: 坂下明大

ページ範囲:P.1851 - P.1851

 2009年より日本緩和医療学会では,緩和医療に関する十分な学識と経験を有する者を専門医として認定する緩和医療専門医制度が発足した.2018年4月までに208名の緩和医療専門医が認定されている.また,2018年からは,臨床現場で緩和医療に従事し,一定の水準以上の専門的緩和医療の実践能力を有する者を認定する緩和医療認定医制度が発足し,329名の緩和医療認定医が誕生した.
 緩和医療専門医の役割は,生命を脅かす疾患に伴うさまざまな問題に直面している患者や家族がかかえる諸問題の早期かつ適切な評価と対応である.緩和医療専門医には,患者と家族を全人的に把握し理解できる能力と資質(コア・コンピテンシー)が求められる.

内科医とエンド・オブ・ライフケア

著者: 小田浩之

ページ範囲:P.1852 - P.1852

 エンド・オブ・ライフケアでは,感情を承認し,支持することから始めよう.多くの若手医師にとって,患者の老いていく苦しみ,死にゆく苦しみ,またそれを側で支える家族の苦しみは,未知の世界である.未知の出来事で生じている感情に共感などできるはずはない.無理なくできるのは,「感情を承認」「その感情を支持的に受け止める」ことである.
 例えば,ADLの自立した95歳の女性が肺炎で入院となった場面を思い浮かべてみよう.リザーバーマスク10Lの酸素が投与され,SpO2は90%前後である.担当医から病状と治療の困難さを説明された後に,家族が「今まで死んでしまうことなんて考えもしなかった.できることをしてほしい」と言ったとする.

連載 見て,読んで,実践! 神経ビジュアル診察・6

知っているとお得!! 大胸筋反射,三角筋反射,大内転筋反射

著者: 難波雄亮

ページ範囲:P.1709 - P.1711

 これまでに,臨床で使用できる腱反射を勉強してきました.なかでもBabinskiの五大反射(上腕二頭筋反射,上腕三頭筋反射,腕橈骨筋反射,膝蓋腱反射,アキレス腱反射)を軸に下顎反射やShimizu reflexなどを組み合わせると,病巣をある程度絞ることが可能となります.ほかにも知っておくとお得な反射,通常では誘発されにくい反射があります.大胸筋反射,三角筋反射,大内転筋反射は,亀田総合病院神経内科回診でおなじみの神経診察法です.では,実際どのように役立つか見ていきましょう!
 
*本論文中、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年9月30日まで公開)。

目でみるトレーニング

問題889・890・891

著者: 岩崎靖 ,   相澤義泰 ,   萩原將太郎

ページ範囲:P.1859 - P.1864

物忘れ外来から学ぶ現場のコツ 認知症患者の診かた・5

Alzheimer病はどのように治療すればよいですか?

著者: 重松一生

ページ範囲:P.1866 - P.1871

ポイント
現状では根本的な治療薬がないため,薬剤治療だけでは限界があります.介護者の話を傾聴しながら,適切な対応・治療を探っていきます.

医師のためのビジネススキル・5

アカウンティング(財務会計)—お金のことは難しい?

著者: 本田宜久

ページ範囲:P.1872 - P.1877

事例
A町立病院は1950年代に創立され,大学医局からの派遣医師によって診療が支えられていた.しかし,臨床研修制度開始以降,派遣医師数が減少し医師不足が問題になった.また,施設も老朽化し建て替えが必要だが,多額の赤字を計上し,そもそも病院存続が危ぶまれた.自治体は医療法人への経営移譲による民営化での病院再建を決断.新たに赴任した院長とスタッフにより,劇的な病院経営変革が行われた.

書評

—吉村知哲,田村和夫 監修 川上和宜,松尾宏一,林 稔展,大橋養賢,小笠原信敬 編—がん薬物療法副作用管理マニュアル

著者: 中島貴子

ページ範囲:P.1791 - P.1791

 がんに対する薬物療法は急速に進歩している.
 従来の殺細胞性抗がん薬に加え,分子標的治療薬,さらに近年では免疫チェックポイント阻害薬も数多くのがん腫で使用可能となっている.それぞれの単剤での使用だけでなく,併用療法ではカテゴリーを超えた薬剤同士の組み合わせが治療成績のさらなる向上を可能としている.しかしそれは同時に多様な副作用に対応しなければならないことを意味する.

—大津秀一 著—Dr.大津の誰でもわかる医療用麻薬—選べる・使える・説明できる

著者: 押川勝太郎

ページ範囲:P.1838 - P.1838

 最初に本書の推薦理由を述べる.
・非専門家でもすぐに使える具体的処方の例示

—山下康行 著—医学生・研修医のための—画像診断リファレンス

著者: 徳田安春

ページ範囲:P.1877 - P.1877

 診断学において,主要な診断医には,臨床診断医だけでなく,画像診断医や病理診断医も含まれる.いずれのタイプの診断医も,豊富な知識と経験をベースにした,サイエンスとアートの効果的な使い手である.特に,診断困難ケースでは,これら3者の診断エキスパート間の良好なコミュニケーションが正確な診断をタイムリーに行うための必要条件となる.
 いずれのタイプの診断医になるにせよ,診断エキスパート間で円滑にコミュニケーションをとるためには,相手方の診断の基本を学習し,そのロジックを理解しておくことが望ましい.例えば,臨床診断医をめざす医師も,画像診断と病理診断の基本を学習しておくことが望ましい.

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目次

ページ範囲:P.1712 - P.1714

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medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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