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文献詳細

雑誌文献

medicina55巻4号

2018年04月発行

文献概要

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬 内分泌疾患薬

甲状腺ホルモン製剤

著者: 河村優輔1 田中祐司1

所属機関: 1防衛医科大学校病院総合臨床部

ページ範囲:P.350 - P.352

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Question & Answer
Q 甲状腺ホルモン製剤の開始量と維持量の決め方を教えてください.
A 維持量(L-T4 75〜125μg/日程度になることが多い)に向けて,L-T4 12.5〜25μg/日程度の少量で開始し,約1〜2週おきに12.5〜25μg/日ずつ増量し,2〜4カ月で維持量まで上げていきます.治療の指標は開始当初は血中遊離サイロキシン(FT4)値とし,開始〜漸増期にはFT4が徐々に上昇してくることと,心虚血症状がないことの確認が重要です.初期には1〜2週おきの来院を指示します.甲状腺刺激ホルモン(TSH)値は上位中枢に原因のある続発性甲状腺機能低下症ではまったく役に立たず,原発性の場合でも回復が遅いので治療初期には参考程度に留めるのがよいです.漸増の途中で甲状腺機能低下症の症状や他の検査所見(高CK,高コレステロールなど)に改善がみられるはずで,これらが確認できたら,増量&通院間隔を空けていきます.維持期に近づいた時点で,初めてTSHの正常範囲内保持を心掛けて維持量を決定します1)

参考文献

1)田中祐司:甲状腺機能低下症─「病因」と「機能〜病態」の二次元的把握に加え,各病型ごとの特徴的変動の理解が重要.Hospitalist 4:77-83, 2016
2)白石美絵乃,他:原発性甲状腺機能低下症─慢性甲状腺炎(橋本病).medicina 54:2163-2168, 2016
3)日本甲状腺学会:診断ガイドライン(2013年6月24日改定) http://www.japanthyroid.jp/doctor/guideline/japanese.html(2017年12月閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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