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雑誌目次

雑誌文献

medicina56巻12号

2019年11月発行

雑誌目次

特集 内科医が押さえておくべき—検査の考えかたと落とし穴

著者: 野口善令

ページ範囲:P.1897 - P.1897

 従来の検査に対する一般的な捉え方は,ともすると,検査をして異常値が出れば病気があると判定するというイメージになりがちです.しかし,現実には検査にも不完全・不確実な部分があるため,必ずしもこの通りにはいかず,落とし穴にはまることも,ままあります.つまり,この捉え方では検査結果が絶対的になり,振り回されることになりかねません.
 診断を目的とする検査では,やたら検査をオーダーするのではなく,まずは仮説を立て(鑑別診断を考え),仮説を評価してから検査をして確認するという図式(フレーム)を理解する必要があります.本特集ではこの図式を踏まえて,検査を適切に選択・解釈して現場の診療に役立てることを主眼としました.

特集の理解を深めるための29題

ページ範囲:P.2050 - P.2054

座談会

診療における検査の位置づけを再考する

著者: 野口善令 ,   東光久 ,   岸田直樹

ページ範囲:P.1898 - P.1906

従来は「病気には原因が存在し,原因を除去すれば病気は治すことができる」という生物医学的モデルの考え方が医療の主流でしたが,近年,心理・社会的な要素も加味して患者を診ることの重要性が指摘されています.しかし,診断,特にそのために行われる検査については,まだ生物医学的モデルに基づいて行われているのが現状ではないでしょうか.価値観が多様化し,超高齢社会を迎える今後,果たしてそれでよいのかということを考えてみたいと思います.(野口)

視点別 押さえておきたい検査の考え方

診断を目的とする検査の考え方

著者: 野口善令

ページ範囲:P.1908 - P.1912

Point
◎診断を目的とする検査では,検査結果から自動的に診断が決まると考えない.
◎「鑑別診断仮説→仮説の評価(検査前確率)→検査→検査後確率→最終診断」という全体的な図式(フレーム)を理解する.
◎特に診断の方向性(除外診断のための検査か,確定診断のための検査か)と検査前確率を意識する.

ルーチン検査の読み方—患者の病態を探る

著者: 本田孝行 ,   松本剛 ,   小林翔太

ページ範囲:P.1914 - P.1919

Point
◎ルーチン検査には,主に血算,生化学検査,尿・糞便検査,血清検査が含まれる.
◎正確なルーチン検査の解釈は診断と治療に役立ち,医師の人生が2倍楽しくなる.
◎信州大学方式のルーチン検査の読み方は,13の病態を決められた順番で検討する.
◎信州大学方式のルーチン検査の読み方は,複数の検査項目で1つの病態を探る.
◎信州大学方式のルーチン検査の読み方は,時系列データで病態を検討する.

一般外来の検査—Choosing Wisely

著者: 徳田安春

ページ範囲:P.1920 - P.1922

Point
◎価値の高い医療とは,同程度のアウトカムを達成できる医療介入のなかで,有害事象とコストが少ないものである.
◎価値が高い介入には,エビデンスの確立した検査も含む.
◎価値の高い医療を実践するために,世界各国の臨床系学会が発表したChoosing Wiselyのリストを活用するとよい.

救急診療での検査の考え方

著者: 辻英明 ,   林寛之

ページ範囲:P.1923 - P.1925

Point
◎救急外来では検査がボトルネックとなることが多く,検査にかかる時間を把握しておく.
◎非典型的な症状で受診する患者がいることを踏まえた検査プランを立てる.
◎検査の途中,結果を待つ間に状態急変する患者がいることを想定しておく.

高齢者における検査の考え方

著者: 木村琢磨

ページ範囲:P.1926 - P.1929

Point
◎高齢者は個人差が大きく,年齢のみで“高齢者”と括って必要な検査が不実施となることは避ける.
◎日常生活動作(ADL),認知機能などを評価し,「検査を受ける際の負担」「検査に伴う安全性」について検討し,必要に応じて代替検査を考慮する.
◎高齢者では意思決定能力に限界があることも多いが,家族などの意向とともに,残存する認知機能に応じて本人の意向やニーズを汲み取る.
◎検査目的を明確にし,確定診断を得ることのみを目的とした周到な検査は慎む.

「不定愁訴」への検査の考え方

著者: 田口皓一郎 ,   森田浩之

ページ範囲:P.1930 - P.1934

Point
◎不定愁訴では,検査よりも症候学に基づく医療面接や身体診察が診断において重要である.
◎器質的身体疾患の除外診断のための検査も重要だが,過剰な検査をしないように心がける.
◎疑われる疾患の検査前確率や感度・特異度,そして検査後確率を意識して検査をする.

新たに登場/解釈が変わった検査の考え方

遺伝子検査でわかること,わからないこと

著者: 河津晶子

ページ範囲:P.1936 - P.1939

Point
◎遺伝子解析技術の飛躍的な発展により,がんをはじめとしたさまざまな疾患の治療や予防において,遺伝子検査が重要な役割を担うようになってきている.
◎遺伝子検査は,病原体遺伝子検査,体細胞遺伝子検査,遺伝学的検査に分類される.
◎体細胞遺伝子検査は,遺伝子変異に合わせたがんゲノム医療に実用化され始めている.さらに最近では超早期にがんを発見するマーカー検査としても期待されている.
◎遺伝学的検査は,科学的根拠,結果の解釈,個人情報保護などに多くの課題がある.

肝線維化スコア—NASH診断で高まる重要性

著者: 木村昌倫 ,   木村公則

ページ範囲:P.1940 - P.1942

Point
◎非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者は今後も増加し,日常診療で遭遇する機会が増える.
◎NASHは肝硬変に進行し,肝癌を合併する.
◎日本人における単純性脂肪肝(NAFL)とNASHの鑑別には,NAFIC scoreが有用である.
◎日本人におけるNASH患者の肝線維化評価にはFIB-4 indexが有用である.

BNPとNT-proBNP—使い方のポイント

著者: 佐藤直樹

ページ範囲:P.1944 - P.1946

Point
◎BNP/NT-proBNPは心不全診断には欠かせない重要な指標である.
◎診断基準値として,BNP 100 pg/mLあるいはNT-proBNP 400 pg/mLが推奨されている.
◎BNP/NT-proBNPは心不全の予後判定においても重要な指標で,入院時および外来で適宜測定すべきである.
◎BNP/NT-proBNP値に影響を与える因子として,肥満や腎機能が挙げられる.

感染症で測定したプロカルシトニン,解釈できていますか?

著者: 飯島健太 ,   岩田健太郎

ページ範囲:P.1948 - P.1952

Point
◎プロカルシトニン(PCT)はCRPよりも少しだけ細菌感染症に特化したバイオマーカーである.
◎細菌感染症の感度・特異度ともに中程度で,診断に用いるのは困難である.
◎気道感染症への治療開始や,肺炎,敗血症での抗菌薬中止の判断に役立つかもしれない.
◎臨床診断を覆すだけのデータはなく,重症患者ではPCT値によらず治療開始を躊躇しない.
◎PCTの測定は適応疾患や偽陽性・偽陰性に注意するとともに,プロトコルを遵守する.

いつ測る? 高感度トロポニン

著者: 井上健司

ページ範囲:P.1953 - P.1956

Point
◎国際臨床化学連合(IFCC)が提案する必要条件を満たした測定系によって測定されたトロポニンのみを「高感度トロポニン」と呼ぶ.
◎欧州・米国心臓病学会(ESC/ACC)より提唱された急性心筋梗塞(AMI)の定義『Universal Definition』では,「何らかの理由で心筋が急性虚血に陥り,心筋トロポニンを経時的に測定していく過程で,1回でも値が99パーセンタイル以上を示し,またその値が経時的に上下する状態」としている.また,原因によってTypeⅠ〜Ⅴまで分類される.
◎来院時と1時間後の測定により,効率良くAMIを除外できる.

Point-of-Care超音波—その定義と可能性

著者: 南太郎

ページ範囲:P.1957 - P.1962

Point
◎Point-of-Care Ultrasound(POCUS)とは,医療提供者自らがベッドサイドで患者に対して実施する超音波検査である.
◎POCUSは身体所見の延長としての超音波検査である.他の検査と同様に,病歴や身体所見と組み合わせて使う.
◎POCUSの限界を認知して,必要に応じ専門家へコンサルトする.
◎POCUSが広まるにつれ,術者の質の担保がより重要な課題となるだろう.

Point-of-Care心エコー—病態評価から診断に迫る

著者: 竹原慧 ,   舩越拓

ページ範囲:P.1964 - P.1969

Point
◎心エコー図検査(以下,心エコー)は侵襲性が低いことに加えて,即時性が高いため多くの状況で有効である.
◎POCUS(Point-of-Care Ultrasound)における心エコーはFCU(Focused Cardiac Ultrasound)とTTEL(Limited Transthoracic Echocardiography)に大別され,前者は大まかな病態把握に,後者は(限定的ではあるが)診断に利用できる.
◎POCUSは数ある所見の1つであることを忘れず,他の所見と合わせて判断するようにする.

誤った使い方をされやすい検査

RASTが陽性ならアレルギー?

著者: 木戸口元気 ,   岡田正人

ページ範囲:P.1970 - P.1973

Point
◎「RAST陽性≠臨床的なアレルギー」である.
◎「アレルギーか,非アレルギーか?」「IgE型を介したⅠ型アレルギーか,非Ⅰ型アレルギーか?」を見極める.
◎抗原によってRAST値と臨床的アレルギーの相関は大きく異なり,解釈に注意が必要である.

インフルエンザ迅速抗原検査—“3人に1人は偽陰性”をどう考えるか

著者: 岸田直樹

ページ範囲:P.1974 - P.1977

Point
◎インフルエンザ流行シーズンは,インフルエンザ迅速抗原検査を適切に使わないと感染症の誤診も流行る.
◎検査会社のパンフレットは製薬会社のパンフレットと同じと考える.検査会社が提示する感度・特異度と臨床研究の結果は乖離しやすい.
◎「発熱患者全例にルーチンで検査をし,陽性なら抗インフルエンザ薬,陰性なら抗菌薬」という自動販売機のような診療は,“physicianoid(医者もどき)”と言われる.
◎インフルエンザ診療においては,迅速抗原検査をしないという選択肢を常に考える(同時に,抗インフルエンザ薬を処方しないという選択肢も常に考える)

自己抗体検査—何を・いつ・何のためにオーダーするのか?

著者: 德永健一郎 ,   萩野昇

ページ範囲:P.1978 - P.1983

Point
◎抗核抗体の検査は,まず間接蛍光抗体法(IF法)でオーダーすべきである.
◎全身性エリテマトーデス,全身性強皮症,皮膚筋炎/多発筋炎,混合性結合組織病,Sjögren症候群を疑ったときに抗核抗体をオーダーする.
◎「抗核抗体陽性=膠原病」ではないし,逆に「抗核抗体陰性=膠原病ではない」ともならない.
◎自己抗体の力価は,必ずしも疾患活動性を反映しない.
◎膠原病の診断には用いるが,あくまで臨床診断が重要である.

腫瘍マーカーとがんの正しい関係

著者: 東光久

ページ範囲:P.1984 - P.1986

Point
◎腫瘍マーカーを測定する場面として,スクリーニング時,診断時,再発・進行時などがあるが,有用な場面は非常に限定的である.
◎スクリーニングにおいて,生命予後を改善する効果を示した腫瘍マーカーはPSAのみであり,そのPSAでさえ予後を改善しないという研究もある.
◎腫瘍マーカーによるスクリーニングは無用であるばかりか,その有害性さえも指摘されている.

Clostridioides difficile細菌学的検査について押さえておくべきポイント

著者: 加藤はる

ページ範囲:P.1988 - P.1992

Point
Clostridioides difficile感染症(CDI)は,本疾患を臨床的に疑って細菌学的検査を行わない限り,診断されない.
◎無症候性にC. difficileを消化管に保有している入院患者が認められる.
◎消化管症状が認められない患者では,細菌学的検査を行わないことが基本である.
◎酵素抗体法(EIA法)による糞便中毒素検出は感度が低いため,陰性でもCDIを否定できない.
◎グルタメートデヒドロゲナーゼ(GDH)検出検査はスクリーニングに用いられることが多いが,毒素産生性Clostridioides difficile培養検査(TC)より感度が低い.

誤った解釈をされやすい検査

腎機能評価の違い,知っていますか?—クレアチニン,シスタチンC,CCr,eGFR

著者: 普久原智里 ,   今井直彦

ページ範囲:P.1993 - P.1996

Point
◎腎機能評価にはさまざまな方法があるが,それぞれの利点・欠点を理解したうえで評価を行う必要がある.
◎高齢者では筋肉量が低下しており,一般的な血清クレアチニン値による腎機能評価では過大評価になりやすいため,注意が必要である.
◎腎機能に合わせて薬剤投与量を調整する際には,一般的な体格の体表面積に合わせたeGFR(mL/分/1.73 m2)ではなく,個人の体表面積で補正したeGFR(mL/分)で腎機能評価を行う.

真菌症はβ-Dグルカンで診断できる?

著者: 木村宗芳

ページ範囲:P.1998 - P.2002

Point
◎血清β-Dグルカン(以下,β-Dグルカン)検査は真菌症を診断するための補助検査であり,確定診断用の検査ではない.
◎β-Dグルカンを評価する際には,常に偽陽性と偽陰性を意識しなければならず,検査精度を上げるために検査前確率の高い患者を対象に検査を実施すべきである.
◎β-Dグルカン検査には,比濁法であるワコー法と,比色法であるファンギテック®GテストMKⅡ,ファンギテック®GテストESの3つの測定法があり,それぞれ値が異なる.

B型肝炎検査—各種抗原・抗体の使い分け

著者: 矢野安道 ,   松尾裕央

ページ範囲:P.2004 - P.2009

Point
◎HBs抗原が陽性の場合は急性B型肝炎,慢性B型肝炎,HBVキャリアの急性増悪の可能性があり,IgM-HBc抗体で判断する.
◎免疫抑制薬の使用時はHBVの再活性化(reactivation)に注意する.
◎慢性B型肝炎患者やoccult HBV感染患者のみでなく,HBV既感染(past HBV infection)や慢性B型肝炎からの治癒(resolved)の場合でもHBVの再活性化を起こしうる.

やってはいけない“とりあえずIGRA”

著者: 倉原優

ページ範囲:P.2011 - P.2014

Point
◎インターフェロン-γ遊離試験(IGRA)は結核の「感染」を診断する検査であり,「発病」を証明するものではない.
◎結核既感染率は加齢とともに上昇していくため,高齢者ではIGRAが陽性になりやすいが,高齢になるほど細胞性免疫が低下し偽陰性にもなりやすい.
◎生来健康な若年者に対するIGRAは,結核診断においてきわめて有用である.

梅毒血清反応検査—STS法とTP法

著者: 本郷偉元

ページ範囲:P.2015 - P.2019

Point
◎梅毒血清反応検査は,結果の解釈が難しいことが多い.よくわからないとき,自信のないときは,信頼できる感染症内科医に相談する.
◎梅毒を見逃しやすい臨床状況を覚えておき,閾値を低くして梅毒血清反応をオーダーする.
◎無症状でも,梅毒感染リスクのある者,もし梅毒であった場合の影響が大きい者では梅毒スクリーニング検査を行う.

コルチゾール低値は副腎不全?

著者: 脇坂達郎

ページ範囲:P.2020 - P.2024

Point
◎副腎不全は非特異的な病像のため診断しにくく,慢性胃炎やうつ病などに誤認されやすい.
◎よく知られている低Na血症や低血糖以外に,原因不明の疼痛や貧血といった症状がみられることもある.
◎アレルギー疾患に対するステロイド含有薬の長期投与は,医原性副腎不全の原因になる.
◎コルチゾールの採血検査は測定時間や身体状況により解釈が異なるため,注意が必要である.

非腫瘍性疾患における病理診断のピットフォール

著者: 大橋隆治

ページ範囲:P.2026 - P.2030

Point
◎非腫瘍性疾患の病理診断においては,組織所見が診断に直結する例は少なく,多くは疾患に特徴的な組織変化を基に原疾患を推定する.
◎潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患の場合,採取部位・病期によって組織像が異なる可能性があり,鑑別は容易ではない.
◎非特異的疾患を正確に病理診断するためには,組織像のみに頼らず,臨床症状,画像所見を含めた総合的判断が必要となる.

よくオーダーするのに案外知らない検査の基本

MRI検査

著者: 荻原翔 ,   扇和之

ページ範囲:P.2031 - P.2036

Point
◎MRI検査はコントラスト分解能に優れた画像検査であり,病変の質的診断に威力を発揮する.
◎T1・T2強調画像のほかにさまざまな撮像法があり,各々の特徴を知る必要がある.
◎心臓ペースメーカーなどの医療機器,人工関節やステントといった人工物が体内にないか,検査前に必ず確認する.

FDG-PET検査

著者: 堀田昌利 ,   南本亮吾

ページ範囲:P.2037 - P.2041

Point
◎FDG-PETの保険適用疾患は,てんかん,心疾患,悪性腫瘍,大血管炎である.
◎FDG-PETの検査精度に影響する基礎疾患として,糖尿病や甲状腺機能亢進症がある.
◎FDG-PET検査前は食事(6時間以上),運動,寒冷刺激,G-CSF製剤投与を避ける.

内視鏡検査

著者: 小林健二

ページ範囲:P.2042 - P.2044

Point
◎内視鏡検査では,解剖学的に観察しにくい部位があること,病変があっても認識されない,あるいは認識されても誤って解釈されるなど,さまざまな因子の影響を受けること,さらに検査の限界を理解する.
◎内視鏡検査の結果を単独で判断するのではなく,それ以外の臨床情報と合わせて判断することが重要である.
◎検査前に考えた鑑別疾患と検査結果に乖離がある場合には,必ず専門医と話し合い,必要なら再検査を行う.
◎内視鏡検査の結果によって患者のマネジメントが変わるのかを考え,結果がマネジメントに影響を与えないのであれば検査をオーダーしない.

骨密度検査(DXA法)

著者: 木村万希子

ページ範囲:P.2045 - P.2049

Point
◎65歳以上の女性は,すべて骨量測定の適応である.
◎骨密度測定は腰椎および大腿骨近位部の2部位における二重X線吸収法(DXA)が推奨される.
◎椎体または大腿骨近位部に脆弱性骨折を生じている場合,骨密度に関係なく骨粗鬆症と診断して治療を開始しなければならない.

連載 見て,読んで,実践! 神経ビジュアル診察・19

失調の診方—下肢の小脳失調

著者: 難波雄亮

ページ範囲:P.1889 - P.1892

 ふらつきを主訴に外来を受診する患者さんは多数いると思います.血圧の変動,変形性膝関節症などの整形外科的疾患の影響,前庭障害,そして小脳失調による影響など,原因は多岐に渡ります.今回は「下肢の失調によるふらつき」のある患者さんに対しての所見の取り方について勉強しましょう!
 
*本論文中、関連する動画を見ることができます(公開期間:2021年9月30日まで公開)。

物忘れ外来から学ぶ現場のコツ 認知症患者の診かた・18

患者のQOLを上げるにはどのようにしたらよいですか?

著者: 重松一生

ページ範囲:P.2056 - P.2061

ポイント
「幸せ」は医療の最終目標です.認知症に罹ったとしても感情がなくなるわけではありませんので,幸せの気持ちを大切にして,笑顔で接しましょう.

目でみるトレーニング

問題928・929・930

著者: 岩崎靖 ,   小松孝行 ,   竹本聖

ページ範囲:P.2062 - P.2068

書評

—本田孝行 著—検査値を読むトレーニング—ルーチン検査でここまでわかる

著者: 康東天

ページ範囲:P.1913 - P.1913

 RCPCのレジェンド,信州大の本田孝行教授の手による待望の臨床検査読本である.信州大学方式のRCPC判読は現在の日本の臨床検査領域における王道と言うべき判読法で,毎年ほとんどの臨床検査関連学会の全国大会で本方式によるRCPC症例勉強会が開催されている.
 本書は信州大学方式が基本的な解読病態として挙げている13のテーマに沿って,非常に典型的な39症例を解説している.特徴は,ある一時点の検査結果だけではなく,1週間から場合によっては数カ月にわたる経時的な検査結果の変化を詳細に提示していることであり,まさに臨床の現場で経験する状況を再現している.そのような経時的な検査結果の変化を読み解くことでこそ,症例患者の体のなかで一体何が起こっていたのかを読者も納得して正確に理解できる.本書は判読トレーニングに適した多くの症例を解説しているだけでなく,読み進めると自然と各検査項目の意味と意義が理解できるようにわかりやすい多くの図表が配置されている.その意味で,本書は検査技師や医師のRCPCトレーニングとして優れているだけでなく,臨床検査を学ぶ学部学生にとっても,具体例をベースにしつつ,各検査項目のバックグラウンドやメカニズムを詳しく学べる最適の教科書となっている.特に個々の検査項目の検査値の経時的変化を論理的に考えた上で,各検査値を統合的に捉えたい,と考えている人にぜひ薦めたい.

—田中竜馬 編—集中治療,ここだけの話

著者: 坂本壮

ページ範囲:P.1943 - P.1943

 “This is off the record, but……”(ここだけの話だけど……)
 臨床現場では疑問が山ほど生じる.その都度調べはするものの,確固たる答えに到達できずに途方に暮れることも少なくない.そのような,調べても明確な答えが存在しないものに関しては,施設ごとの目には見えないルールにのっとって診療が行われていることが多く,知らず知らずのうちにローカルルールであることを忘れ日々の診療をこなすようになっていってしまう.特に検査や治療においてそのようなことが多く,新たな検査や薬が世に出ると,必ず生じる問題である.「使った方がよいのか」「使うとしたらいつなのか」などはなかなか決まった答えが出ないことも多い.

—八幡紕芦史 編著 竹本文美,田中雅美,福内史子 著—脱・しくじりプレゼン—言いたいことを言うと伝わらない!

著者: 徳田安春

ページ範囲:P.2003 - P.2003

 言いたいことを言うと伝わらない,というサブタイトル.衝撃的ですね.故日野原重明先生は,「医師は聞き上手になりなさい,患者は話し上手になりなさい」と講演でよくおっしゃっていました.話し上手な医師が多いように思われていますが,実は言いたいことが伝わっていないケースが多いのも事実です.その原因が,単に言いたいことを言っていたからだ,というのが本書の主張です.
 読者の皆さんも,学会や講演会などで医師のプレゼンテーションを聞く機会があると思います.複雑で大量のスライドを次々とめくりながらものすごい勢いで話す講師,体全体をスクリーンに向けて自分の世界に夢中になっている講師など,さまざまなケースが思い出されます.一方で,世界的なプレゼンテーションをTEDやYouTubeなどでみると,面白くてかつ勉強にもなるので,つい何時間も見てしまうことがあると思います.これは一体,何が違うのでしょうか.

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目次

ページ範囲:P.1894 - P.1896

読者アンケート

ページ範囲:P.2075 - P.2075

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.2076 - P.2077

購読申し込み書

ページ範囲:P.2078 - P.2078

次号予告

ページ範囲:P.2079 - P.2079

奥付

ページ範囲:P.2080 - P.2080

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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55巻13号(2018年12月発行)

特集 これからの心不全診療への最新アプローチ—予防からチーム医療・先進医療まで

55巻12号(2018年11月発行)

特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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