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文献詳細

雑誌文献

medicina56巻12号

2019年11月発行

文献概要

書評

—本田孝行 著—検査値を読むトレーニング—ルーチン検査でここまでわかる

著者: 康東天1

所属機関: 1九大大学院・臨床検査医学

ページ範囲:P.1913 - P.1913

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 RCPCのレジェンド,信州大の本田孝行教授の手による待望の臨床検査読本である.信州大学方式のRCPC判読は現在の日本の臨床検査領域における王道と言うべき判読法で,毎年ほとんどの臨床検査関連学会の全国大会で本方式によるRCPC症例勉強会が開催されている.
 本書は信州大学方式が基本的な解読病態として挙げている13のテーマに沿って,非常に典型的な39症例を解説している.特徴は,ある一時点の検査結果だけではなく,1週間から場合によっては数カ月にわたる経時的な検査結果の変化を詳細に提示していることであり,まさに臨床の現場で経験する状況を再現している.そのような経時的な検査結果の変化を読み解くことでこそ,症例患者の体のなかで一体何が起こっていたのかを読者も納得して正確に理解できる.本書は判読トレーニングに適した多くの症例を解説しているだけでなく,読み進めると自然と各検査項目の意味と意義が理解できるようにわかりやすい多くの図表が配置されている.その意味で,本書は検査技師や医師のRCPCトレーニングとして優れているだけでなく,臨床検査を学ぶ学部学生にとっても,具体例をベースにしつつ,各検査項目のバックグラウンドやメカニズムを詳しく学べる最適の教科書となっている.特に個々の検査項目の検査値の経時的変化を論理的に考えた上で,各検査値を統合的に捉えたい,と考えている人にぜひ薦めたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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