文献詳細
特集 TPOで読み解く心電図
背景から考える
文献概要
Point
◎心電図から慢性肺疾患を疑う場合,まず注目すべき所見はP波の変化である.特にⅡ,Ⅲ,aVF誘導に描かれる0.25 mV以上の尖鋭化したP波を肺性Pといい,肺疾患による右房負荷を示す所見として広く知られている.
◎QRS波は,電気軸,移行帯の偏位,QRS群の変化などに着目して判読する.特に経時変化が重要で,新たに出現した30°以上の右軸偏位や,移行帯のより時計方向への回転,右脚ブロックへの変化などを見つけたときは,肺疾患を疑う鍵となる.
◎息切れや胸痛などの胸部症状で受診した患者の胸部誘導に,しばしば陰性T波を認める.まずは肺疾患と虚血性心疾患の鑑別が求められ,T波の深さやその分布などを詳しく判読し,さらに他の心電図所見や病歴,診察,検査と併せて診断,治療へと進める.
◎慢性肺疾患の心電図に特異的な所見はない.わずかな変化や異常を詳しく観察し,総合的に考察することで,初めてその背景に慢性肺疾患を疑うことができる.
◎心電図から慢性肺疾患を疑う場合,まず注目すべき所見はP波の変化である.特にⅡ,Ⅲ,aVF誘導に描かれる0.25 mV以上の尖鋭化したP波を肺性Pといい,肺疾患による右房負荷を示す所見として広く知られている.
◎QRS波は,電気軸,移行帯の偏位,QRS群の変化などに着目して判読する.特に経時変化が重要で,新たに出現した30°以上の右軸偏位や,移行帯のより時計方向への回転,右脚ブロックへの変化などを見つけたときは,肺疾患を疑う鍵となる.
◎息切れや胸痛などの胸部症状で受診した患者の胸部誘導に,しばしば陰性T波を認める.まずは肺疾患と虚血性心疾患の鑑別が求められ,T波の深さやその分布などを詳しく判読し,さらに他の心電図所見や病歴,診察,検査と併せて診断,治療へと進める.
◎慢性肺疾患の心電図に特異的な所見はない.わずかな変化や異常を詳しく観察し,総合的に考察することで,初めてその背景に慢性肺疾患を疑うことができる.
参考文献
1)Fukuchi Y, et al:COPD in Japan;The Nippon COPD Epidemiology Study. Respirology 9:458-465, 2004
2)厚生労働省:平成26年(2014年)患者調査の概況,2014 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/14/index.html(2019年1月閲覧)
3)Chou TC:Electrocardiography in clinical practice, 3rd ed, p 29, WB Saunders, Philadelphia, 1991
4)Schamroth L:The 12 Lead Electrocardiogram book 1, p 87, Wiley-Blacwell, Hoboken, 1991
5)Sodi-Pallares D, et al:Some views on the significance of qR and QR type complexes in right precordial leads in the absence of myocardial infarction. Am Heart J 43:716-734, 1952
誘導におけるq波の臨床的意義—右室肥大,三尖弁閉鎖不全症との関連について.心臓4:166-175, 1972
7)大島一太:異常Q波.臨床検査60:1179,2016
8)大島一太:これならわかる! 心電図の読み方—モニターから12誘導まで,p 91, ナツメ社,2017
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