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文献詳細

雑誌文献

medicina56巻3号

2019年03月発行

文献概要

連載 医師のためのビジネススキル・10

パワーと影響力—権限がなくてもできることはある!

著者: 岡村知直1

所属機関: 1飯塚病院緩和ケア科

ページ範囲:P.544 - P.547

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事例
 地方都市にある500床の病院の総合内科医(13年目)として働いているあなたは,1年前に他病院から移ってきた.臨床,研修医教育ともに多忙であるが,総合内科は完全な主治医制となっており,夜間,休日でも患者の急変には主治医(研修医の場合もある)が呼び出される.さらに指導医であるあなたにも電話がかかってくるため,心理的に完全に仕事からオフになることは難しい.また月に4,5回の内科当直を担当するが,当直明けも基本的には通常業務である.2,3回に1回は徹夜となり,翌日の業務は非常につらく,このままでは医療事故につながるかもしれないと考えられた.
 あなたは他病院で勤務した経験や最近の「働き方改革」の視点から,「17時以降は当直医への引継ぎ,夜間・休日は完全に当直医制の導入を旨とした,複数主治医/グループ診療制への変換」を総合内科部長に提案した.ところが部長は「完全主治医制じゃないと一人前の医師は育たない.自分が若い頃はもっと患者さんが多くて大変だった.今はもっと楽だし,患者さんにしっかり向き合う姿勢が育たない」と反対の立場をとり,あなたは途方に暮れてしまった.

参考文献

1)ロバート・B・チャルディーニ(著),社会行動研究会(翻訳):影響力の武器—なぜ,人は動かされるのか,第3版,誠信書房,2014
2)グロービス経営大学院(著):新版 グロービスMBAリーダーシップ,ダイヤモンド社,2014
1)加藤良太郎,小西竜太:対談 卒後研修と「医療の質・安全」—研修医が安心して働ける環境をつくるために,週刊医学界新聞,第3260号,2018年2月12日

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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