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特集 皮疹はこう見る,こう表現する よく見る皮膚疾患を発疹レベルで理解する 〈血管・血流障害〉
IgA血管炎(Henoch-Schönlein紫斑病)
著者: 池田高治1
所属機関: 1東北医科薬科大学皮膚科
ページ範囲:P.1884 - P.1885
文献購入ページに移動定義 本疾患は1806年Heberdenが最初に報告し,のちにSchönleinが関節痛との関連性を,またHenochが消化器症状と腎障害の合併を報告したことで疾患概念が確立し,Henoch-Schönlein紫斑病と呼称されていた1).真皮小血管や腎糸球体にIgAや補体が沈着し,患者血中にIgA抗体の免疫複合体が存在することが証明され,原発性血管炎の名称と定義についての合意形成を目的としたChapel Hill Consensus Conferenceにおいて1994年に公表されたChapel Hill分類(CHCC1994)でその定義が示された2).2012年の改定Chapel Hill分類(CHCC2012)ではeponymが排除されたために,IgA血管炎へ名称変更された3).この分類では,“IgA1抗体優位の免疫複合体の沈着を伴い,小血管特に毛細血管,細静脈,細動脈に及ぶ血管炎で,もっぱら皮膚や消化管を侵し関節炎を生じ,IgA腎症と区別をつけがたい糸球体腎炎を生じることがある”とされ3),免疫複合体性小型血管炎に分類された.IgA血管炎による腎障害は紫斑病性腎炎と呼称されている.
疫学 IgA血管炎は上気道感染が先行することが多く,それを反映してか秋から冬に多い.小児に多く4〜7歳がピークであり,男女比は1.2〜1.8とされる.発症率は小児で10万人につき約20人,成人で約1〜2人である.
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