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文献詳細

雑誌文献

medicina57巻12号

2020年11月発行

文献概要

連載 ケースレポートを書こう! acceptされるために必要なこと・8

査読の流れと“心折ポイント”

著者: 八幡晋輔12 見坂恒明34

所属機関: 1神戸大学大学院医学研究科医学教育学分野地域医療教育学部門 2神戸大学医学部附属地域医療活性化センター 3兵庫県立丹波医療センター地域医療教育センター 4神戸大学大学院医学研究科医学教育学分野地域医療支援学部門

ページ範囲:P.2215 - P.2218

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 ケースレポートを無事投稿し,ほっとしているのも束の間.投稿したケースレポートは査読を受け,再度自分の手元に返ってくる.査読者とのやりとりには,心が折れそうになるポイントが複数存在している.しかし,そのやりとりはケースレポートをより良いものとするための,貴重なプロセスである.査読者は“親切”に改善点を指摘してくれているのである.読者の皆様が,少しでも心穏やかに,楽しみながら査読者とのやりとりを行うことができるよう,具体的に誰もが経験する“心折(しんせつ)ポイント”を例示しながら,概説したい.

参考文献

➊せっかく苦労して投稿したのに,一息つく暇もなくエディターキックで返ってくるのは本当にショックである.筆者らは投稿当日にリジェクトされた経験があるが,これはショックも倍増である.
➋Gagnier JJ, et al:The CARE guidelines;Consensus-based clinical case reporting guideline development. BMJ Case Rep 2013:bcr2013201554, 2013(PMID:24155002)
➌Riley DS, et al:CARE guidelines for case reports;Explanation and elaboration document. J Clin Epidemiol 89:218-235, 2017(PMID:28529185)
➍作成したケースレポートや論文が,4〜5誌にリジェクトされるのは珍しくない.筆者らは最大で10誌目にしてようやくアクセプトされた経験がある.リジェクトされれば次の投稿先を探し,投稿し続ける.これが最終的にアクセプトされる“コツ”である.
➎筆者らの主観的な印象ではあるが,新規もしくは稀な疾患・病原体に関するケースレポートの場合,特に査読者が決まりにくい傾向があるように思われる.
➏半年以上も返事がないので問い合わせたところ,エディターが査読を依頼するのを忘れていたということがあった.一方で,投稿先から「査読者を半年間探しましたが見つからなかったので,他の雑誌への投稿を推奨します」という返事が来たこともある.新型コロナウイルス感染症が世界的に大流行している今日,感染症領域の投稿はなかなか査読者が見つからず(査読者が診療に追われているため),査読期間が延びているようである.
➐筆者らは最大で5回の修正を要求されたことがある.毎回修正項目が追加され,最終的にこちらが最も伝えたいことから外れそうになったため,査読者との相性が合わないと考え,その雑誌への投稿はあきらめた.他の雑誌へその論文を投稿したところ,最も伝えたいことは残したまま,比較的容易にアクセプトされた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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