icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina57巻8号

2020年07月発行

文献概要

特集 真夏の診察室 熱中症

古典的熱中症の分類とその背景

著者: 三宅康史12

所属機関: 1帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター 2帝京大学医学部救急医学講座

ページ範囲:P.1250 - P.1255

文献購入ページに移動
Point
◎熱中症は,環境や筋肉運動による深部体温の上昇が抑えられずに,臓器の高温化と虚血によって生じる.
◎高温多湿な環境にいるだけで起こる熱中症を“古典的熱中症”,加えて筋肉運動によって体内でさらに熱を産生することで起こる熱中症を“労作性熱中症”と呼ぶ.
◎高齢男女の熱中症の多くが,日常生活中に起こる古典的熱中症である.
◎高齢になるほど,医療機関の受診者数が多く,重症化の傾向がみられる.
◎熱中症の診断,重症度分類には,日本救急医学会分類2015が用いられ,緊急度により3段階(Ⅰ度,Ⅱ度,Ⅲ度)に分類される.
◎古典的熱中症の予後が悪いのは,高齢者に多く,時間を掛けて悪化し,元々の心機能低下や低栄養,腎障害により,治療への反応が鈍いためである.

参考文献

1)Epstein Y, et al:The pathophysiology of heart stroke;An integrative view of the final common pathway. N Engl J Med 380:2449-2459, 2019
2)日本救急医学会:熱中症および低体温症に関する委員会 https://www.jaam.jp/nettyu/index.html(2020年4月閲覧)
3)環境省:熱中症環境保健マニュアル2018. https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php(2020年4月閲覧)
4)総務省消防庁:熱中症情報 https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/heatstroke_geppou_2019.pdf)(2020年4月閲覧)
5)厚生労働省:平成30年(2018)人口動態統計 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei18/index.html(2020年4月閲覧)
6)三宅康史,他:レセプトデータを用いた最近5年の熱中症患者の推移.日医雑誌144:527-532, 2015
7)三宅康史:重症熱中症の病態と治療.臨スポーツ医35:718-726, 2018
8)安岡正藏,他:熱中症(暑熱障害)Ⅰ〜Ⅲ度分類の提案;熱中症新分類の臨床的意義.救急医23:1119-1123, 1999
9)日本救急医学会:熱中症診療ガイドライン2015,2015 https://www.jaam.jp/info/2015/info_20150413.html(2020年5月閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?