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文献詳細

雑誌文献

medicina57巻8号

2020年07月発行

連載 ケースレポートを書こう! acceptされるために必要なこと・4

structureの原則

著者: 合田建12 見坂恒明12

所属機関: 1兵庫県立丹波医療センター地域医療教育センター 2神戸大学大学院医学研究科医学教育学分野地域医療支援学部門

ページ範囲:P.1358 - P.1364

文献概要

新規性は内容に求め,structureには求めない
 新規性がきわめて高い内容が記載された画期的なケースレポートにおいては,論文のstructureはほとんど問われない.しかし,それほど画期的ではない通常のケースレポートでは,まずは「型」に当てはめて論文を書くことがacceptへ向けた近道である.まず「ケースレポートのstructure」を表1に示す.
 論文作成には何より新規性が重要で,2つの発見(新規性)を基に論文を作成するのが,「2つわかった法」である.まず1つ目の新規性(第一新規性)については,本連載の第1・2回で紹介した「ケースレポートになりうる症例の6つの特徴」のいずれかに該当する必要がある.2つ目の新規性(第二新規性)もこの6つの特徴に該当していれば素晴らしい論文となるが,2つも該当することはそう多くない.そこで,第二新規性は「この発見は臨床的に有用だ」という視点からの“アイディアの新規性”とする.

参考文献

➊松原茂樹:論文作成ABCうまいケースレポート作成のコツ,東京医学社,2014
➋ケースレポートになりうる症例 ①ある疾患の新規な症状・所見・経過 ②ある薬剤の新規な副作用・薬剤相互作用 ③2つの疾患間に予想外の関連性 ④ある疾患の新規な診断方法 ⑤ある疾患の新規な治療方法,予想外の治療効果 ⑥稀もしくは新規の病気・病原体
➍Goda K, et al:Two cases of pneumococcal spondylitis in the same household;A case report. BMC Infect Dis 18:666, 2018(PMID:30558540)
➎例えば「市中肺炎は細菌感染によって起こる」のような,あまりに常識的な内容はknownに据えない.しかし,「常識的・一般的」な内容は投稿先や投稿内容によっても変わる.「稀な起炎菌による市中肺炎」の論文で「加齢に伴い肺炎の罹患率は上昇する」という内容をknownに据えるのはナンセンスであるが,「加齢に伴う合併症」や「術後合併症」にフォーカスを絞った論文の場合は,knownに据えても問題ない.
➏BMJ Case Reports https://casereports.bmj.com/pages/

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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