icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina57巻9号

2020年08月発行

文献概要

特集 患者満足度の高い便秘診療 便秘を治療する 【薬物治療】

便秘症に対する漢方薬の使い方

著者: 安斎圭一1

所属機関: 1安斎外科胃腸科医院

ページ範囲:P.1497 - P.1500

文献購入ページに移動
Point
◎便秘治療に保険適用のある漢方エキス剤は非常に有効であるが,種類が多く,薬剤の選択が重要である.
◎大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう):大黄(だいおう)と甘草(かんぞう)の2種の生薬で構成され,瀉下剤の基本.
◎麻子仁丸(ましにんがん):大黄に硬い便を軟化する麻子仁(ましにん)と杏仁(きょうにん)が加わり,コロコロの兎糞状便が多い高齢者の便秘に有効.幅広い症例で使用可能.
◎桃核承気湯(とうかくじょうきとう):漢方薬エキス剤で最も瀉下作用が強い.のぼせ,頭痛,肩こり,イライラなどの症状がある場合に有効.
◎桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう):腸管の緊張を改善し腹痛を治療する桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)に大黄を加えたもの.痙攣性便秘に有効で,刺激性下剤が腹痛で服用できないときに効果的.
◎大建中湯(だいけんちゅうとう):大黄は含まず,腸管ガスの貯留(腹部膨満)と腹部の冷えを認める弛緩性便秘に有効.

参考文献

1)日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会(編):慢性便秘症診療ガイドライン2017,pp77-79,南山堂,2017
2)日本東洋医学会 学術教育委員会(編):専門医のための漢方医学テキスト—漢方専門医研修カリキュラム準拠,pp104-106,日本東洋医学会,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?