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特集 患者満足度の高い便秘診療 さまざまなケースへの対応
刺激性下剤依存症患者への対応をどうすべきか
著者: 三枝純一1
所属機関: 1三枝クリニック・肛門科
ページ範囲:P.1541 - P.1546
文献購入ページに移動◎生薬のアントラキノン誘導体下剤は古代文明時から存在し,人類の便秘の治療に使われた.本邦では漢方医学の流れでダイオウが好んで用いられ,生薬好きの国民性,効果の強さと速さに相まって広く流布した.
◎アントラキノン誘導体下剤を長期に連用すると耐性を生じ,使用量が増える.結果として結腸壁内のAuerbach神経叢の障害から蠕動能低下をきたし,進行すると不可逆性となる.
◎アントラキノン誘導体下剤の連用で大腸粘膜は黒褐変し,軽度・中等度・重度・最重度に分類される.蠕動能低下の重症度と黒褐変の程度は必ずしも比例しない.
◎刺激性下剤依存症は軽度・中等度・重度・最重度に分類される.
◎刺激性下剤依存症の治療は蠕動亢進作用のない浸透圧性下剤や上皮機能変容薬と,蠕動亢進作用の顕著な胆汁酸トランスポーター阻害薬,ラクツロースを組み合わせて治療していく.重度以上では治療は困難となる.
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