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雑誌目次

雑誌文献

medicina58巻1号

2021年01月発行

雑誌目次

特集 エキスパートに学ぶ—最新の循環器治療薬の使い方

著者: 北井豪

ページ範囲:P.10 - P.11

 2016年12月に脳卒中と循環器病克服5カ年計画が策定され,2018年12月には脳卒中・循環器病対策基本法が成立しました.過去20年で循環器疾患に対する治療は目覚ましい進歩を遂げていると言ってよいと思いますが,人口の高齢化に伴う世界的な循環器疾患患者の増加が予想されており,さらなる進歩が望まれています.
 虚血性心疾患に対するカテーテル治療(PCI)の進歩をはじめとして,昨今では構造的心疾患(SHD)に対する経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVR)やMitraClip®などの治療が導入され,弁膜症治療が大きく進歩しました.不整脈,特に心房細動に対するカテーテルアブレーションが積極的に行われるようになり,良好な成績も報告されています.これらのカテーテル治療の進歩に伴い,薬物治療も大きく変化してきました.

特集を読む前に あなたの理解度チェック!

ページ範囲:P.12 - P.15

●今月の特集執筆陣による出題です.循環器治療薬の使い方に関する理解度をチェックしてみましょう!

知っておくべき10種類の循環器治療薬と治療法

—心不全に対する新規治療薬・1—アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI):エンレスト®

著者: 稗田道成

ページ範囲:P.16 - P.23

Question 1
ARNIってどのような薬ですか?

—心不全に対する新規治療薬・2—SGLT2阻害薬

著者: 加藤恵理

ページ範囲:P.25 - P.31

Question 1
SGLT2阻害薬ってどのような薬ですか?

—心不全に対する新規治療薬・3—sGC刺激薬:アデムパス®,vericiguat

著者: 杦山陽一 ,   田原宣広 ,   福本義弘

ページ範囲:P.32 - P.37

Question 1
可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬ってどのような薬ですか?

—心不全に対する新規治療薬・4—HCNチャネル遮断薬:コララン®

著者: 奥村貴裕 ,   荒木孝 ,   平岩宏章

ページ範囲:P.38 - P.43

Question 1
イバブラジンってどのような薬ですか?

—心不全に対する新規治療薬・5—V2受容体拮抗薬:サムスカ®

著者: 犬塚康孝

ページ範囲:P.44 - P.47

Question 1
トルバプタンって,どのような薬ですか?

心アミロイドーシスに対する新規治療薬:ビンダケル®

著者: 柴田敦 ,   泉家康宏

ページ範囲:P.48 - P.52

Question 1
心アミロイドーシスってどんな疾患ですか?

高カリウム血症に対する新規治療薬:ロケルマ®

著者: 木田圭亮 ,   土井駿一 ,   鈴木規雄

ページ範囲:P.54 - P.57

Question 1
心不全に高カリウム血症の合併が多いのはどうしてですか?

高LDL血症に対する新規治療薬:レパーサ®

著者: 石橋健太 ,   山根崇史

ページ範囲:P.58 - P.62

 近年,心血管疾患の予防においてlow density lipoprotein cholesterol(LDL-C)の値については“the lower, the better”と提唱されることが多い.これはエゼチミブなどのスタチン以外の薬剤の登場により,より厳格なLDL-Cの管理が可能となり,それに伴いよりLDL-Cを下げた群で心血管イベントが抑制されたという報告が多くなされたことによる1,2).この流れはproprotein convertase subtilisin-kexin type(PCSK9)阻害薬の登場でさらに加速し,PCSK9阻害薬を用いた脂質管理の有用性も報告されている.エボロクマブを使用したODYSSEY Outcomes試験3),evolocumabを使用したFOURIER試験4)にて二次予防におけるPCSK9阻害薬を用いた厳格なLDL-C値のコントロールの有益性が報告され,これらの結果を受けて各国のガイドラインも改訂されてきており,PCSK9阻害薬の重要性は増してきている.

高トリグリセリド血症に対する新規治療薬:パルモディア®

著者: 吉田尚史 ,   山下智也 ,   平田健一

ページ範囲:P.64 - P.68

Question 1
高トリグリセリド(TG)血症は冠動脈疾患のリスクになりますか?

循環器診療で使える漢方薬

著者: 北村順

ページ範囲:P.69 - P.73

Question 1
漢方薬の基本的な考え方と副作用について教えてください.

循環器common diseaseの治療を再考する

—心不全治療薬・1—利尿薬

著者: 杉本匡史

ページ範囲:P.74 - P.78

Question 1
利尿薬の作用機序の違いと,使い分けを教えてください.

—心不全治療薬・2—β遮断薬

著者: 長友祐司

ページ範囲:P.80 - P.84

Question 1
心不全に対してのβ遮断薬の有効な使い方を教えてください.

—心不全治療薬・3—ACE阻害薬/ARB

著者: 澤村昭典

ページ範囲:P.86 - P.89

Question 1
ACE阻害薬/ARBそれぞれの薬剤の使い分けはありますか.用量調節は必要ですか?

—心不全治療薬・4—ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)

著者: 夜久英憲

ページ範囲:P.90 - P.94

Question 1
HFrEFではミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は全例に必要でしょうか? また用量設定は必要ですか?

虚血性心疾患に対する抗血小板薬

著者: 鈴木利章 ,   片岡有

ページ範囲:P.96 - P.101

Question 1
抗血小板薬の作用機序と薬剤間の使い分けについて教えて下さい.

心房細動に対する薬物療法とカテーテルアブレーション

著者: 安珍守

ページ範囲:P.102 - P.107

Question 1
ワルファリンの位置付けを教えて下さい.直接阻害型経口抗凝固薬(DOAC)があればワルファリンは不要ですか?

弁膜症に対する薬物療法

著者: 菅原政貴

ページ範囲:P.108 - P.113

Question 1
大動脈弁狭窄症(AS)の患者で有効な・無効な薬物療法はありますか?

構造的心疾患(SHD)に対するカテーテル治療前後の抗血栓療法

著者: 磯谷彰宏

ページ範囲:P.114 - P.118

Question 1
経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)後に必要な薬物療法とその期間について教えてください.

抗がん剤に伴う心筋障害(腫瘍循環器学)

著者: 小宮山知夏 ,   鍵山暢之

ページ範囲:P.120 - P.126

Question 1
心筋障害をきたす抗がん剤にはどのようなものがありますか?

深部静脈血栓症

著者: 金基泰

ページ範囲:P.128 - P.132

Question 1
D-dimerが高値でした.抗凝固薬をすぐに始めたほうがよいですか?

高血圧

著者: 佐藤宏行

ページ範囲:P.134 - P.139

Question 1
ガイドラインの目標値には根拠がありますか?使用する薬剤により予後は影響されますか?

Column

高齢化社会において,循環器薬のポリファーマシーをどのように考えるか

著者: 登佳寿子 ,   室井延之

ページ範囲:P.140 - P.141

ポリファーマシーの定義と問題点
 ポリファーマシー(polypharmacy)は,“臨床的に必要とされる量以上に多くの薬剤が処方されている状態”と定義される.多数の薬剤を服用したり,慢性の疾患を合併していると,有害な相互作用のリスクが著しく高まる.高齢者,腎機能障害,肝機能障害を有する患者,または低栄養の患者では,このような相互作用のリスクが高くなる.

付録1

循環器領域の注目すべき治療薬

ページ範囲:P.142 - P.146

本誌に記載されている情報が最新かつ正確であるように最善の努力をしておりますが,薬の用法・用量・注意事項等は,時に変更されることがあります.実際の医薬品の使用にあたっては,添付文書による最新情報をご確認ください.

付録2

本特集で用いた主な略語

ページ範囲:P.148 - P.149

ACC アメリカ心臓協会
 American College of Cardiology

連載 見て,読んで,実践! 神経ビジュアル診察・33

歩き方がヘン!?—Parkinson病の歩行

著者: 難波雄亮

ページ範囲:P.1 - P.4

 これまでに臨床でよく遭遇する歩行障害について学びました.「足が一歩前に出にくい」「歩き出したら止まれない」「前傾姿勢」といったキーワードが出たら,どんな疾患を想像しますか? 水頭症と並んで治療可能な疾患がありますよね.診察室に入ってきた瞬間,そして着席するまでの間に診断が絞れるかもしれません.今回は「Parkinson病の歩行」について一緒に学びましょう!
 
*本論文中、関連する動画を見ることができます(公開期間:2022年12月31日まで公開)。

目でみるトレーニング

問題970・971・972

著者: 岩崎靖 ,   平岩卓 ,   多賀谷知輝

ページ範囲:P.150 - P.156

フレーズにピンときたら,このパターン! 鑑別診断に使えるカード・13

「耳鳴」「好酸球増加」「家族歴を認める気胸」

著者: 長野広之

ページ範囲:P.158 - P.165

総論
 耳鳴とは「外部からの音の入力がないのにも関わらず音が鳴っているように感じること」です.病態はさまざまですが,多くは耳からの不十分もしくは異常入力に対する中枢神経の反応です.そのため幻肢痛のように聴神経を切除後も耳鳴りが続く場合があります.音が実際に鳴っていない主観的耳鳴がほとんどで,血管雑音などが聞こえる客観的耳鳴は1%以下とされます.鑑別は非常に多く,表1に示します1)
 以上のような鑑別を踏まえたうえで筆者が耳鳴の鑑別に行っている問診や診察は以下の通りです.

書評

—川村 孝 著—臨床研究の教科書—研究デザインとデータ処理のポイント 第2版

著者: 福岡敏雄

ページ範囲:P.79 - P.79

 この『臨床研究の教科書』は,臨床研究にかかわるどんな人にも必ず役立つところがある,どんな人にも読む価値がある,そんな不思議な本である.
 臨床研究の流れが,しっかり丁寧に順を追って網羅的に書かれている.「統計解析」に飛びつきがちな初心者は第1部で研究の計画の大切さを,さまざまなデータで統計解析を行ってきた中級者は第3部で統計解析の実践的な意義付けを,研究を計画し実行したことがある実践者は第2部でもっと上手に研究チームを動かすスキルを,これから臨床研究論文を書こうとしている執筆者には第4部でその注意点と秘訣を,それぞれ学ぶことができる.

—吉野 相英 監訳 高橋 和久,竹下 昇吾,立澤 賢孝 訳—精神神経症候群を読み解く—精神科学と神経学のアートとサイエンス

著者: 河村満

ページ範囲:P.95 - P.95

 大学勤務から一般病院での診療中心の生活に変わり,以前には気付かなかったことの重要性を感じることができるようになった.脳神経内科医としてスタートした40数年前には,私たちの診療科がどのように独立性を主張することができるのかが大きな問題点であった.しかし,それはたぶん日本中どこでもクリアできたように感じる.一方現在,脳神経内科医が増えて地域の病院で診療をするときの問題点は2つあると思う.1つは脳神経内科医が一般内科の知識・技術などのスキルをもっとアップさせる必要があるということであるが,こちらは日本神経学会や日本神経治療学会などでさまざまな対応がなされつつある.第2の問題は脳神経内科との,一般内科とは対極にあるもう1つの境界領域である精神科の知識を増やし,診療技術を獲得する必要があるということである.
 このためにも,非常に推薦できる本が出版された.

—増井 伸高 著—高齢者ERレジデントマニュアル

著者: 岩田充永

ページ範囲:P.119 - P.119

 本当に挑戦的なマニュアルが出版されたものである.
 救急が好きな人間は,「18歳バイク事故で,血圧60で……」とホットラインで聞いた瞬間にアドレナリンが放出されるが,「82歳男性,今日はベッドから起きてくることができません……」と聞くとどのような反応になるであろうか?

information

2021年1月〜6月開催内科関連学会情報

ページ範囲:P.166 - P.170

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目次

ページ範囲:P.6 - P.9

読者アンケート

ページ範囲:P.171 - P.171

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.172 - P.173

購読申し込み書

ページ範囲:P.174 - P.174

次号予告

ページ範囲:P.175 - P.175

奥付

ページ範囲:P.176 - P.176

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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59巻12号(2022年11月発行)

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増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

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特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

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