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雑誌目次

雑誌文献

medicina58巻3号

2021年03月発行

雑誌目次

特集 いまさら聞けない! 肝胆膵疾患—みなさんのギモンに答えます

著者: 泉並木

ページ範囲:P.384 - P.385

 肝胆膵疾患は自覚症状に乏しく発見や診断が困難であるという声を耳にします.しかし,疾患の構成や診断・治療が大きく進歩しており,最近の進歩を知っておくことが重要になっています.今回の企画は,主として若手医師が病院や診療所での実際の診療において,知っておいてほしい最近の進歩について,疑問に答えていただく形で,専門医の先生方にわかりやすく概説していただいています.
 自覚症状を訴える患者が少ないので,身体所見のみかたが重要になります.ポイントとなる所見は必ずチェックするようにしましょう.

特集を読む前に あなたの理解度チェック!

ページ範囲:P.386 - P.389

●今月の特集執筆陣による出題です.肝胆膵疾患の診療に関する理解度をチェックしてみましょう!

総論

肝胆膵疾患の診療の進歩と留意点

著者: 泉並木

ページ範囲:P.390 - P.393

Point
◎肝胆膵疾患は自覚症状に乏しいため問診や身体所見に注力する.
◎血液検査は鑑別診断のうえで重要であり,疾患特有のパターンを知っておく.
◎画像診断では腹部超音波が診断のきっかけになる場合が多く,プローベ選択など手技に習熟しておく.
◎肝疾患では肝内腫瘤や肝内胆管拡張の有無,腹部超音波による肝内の粗造や超音波の減衰の有無をみる.
◎膵臓は間接所見に注意し,膵管拡張を見逃してはならない.

肝機能異常をみたら

急性肝障害を診たときの鑑別診断

著者: 八橋弘

ページ範囲:P.394 - P.397

肝機能障害の考え方
 初診の患者が肝機能障害を呈した場合,ワンポイントでは急性と慢性の肝機能障害の判別はできない.短い観察期間内でも,①病歴から急性の肝機能障害なのか以前から存在したのか推定する,②一定の観察期間内のALT値の変化パターンが一峰性か多峰性かを確認し,一峰性では急性を,多峰性では慢性の肝機能障害を疑う,③ALT値が400 IU/L(正常範囲の10倍以上)の場合には急性の肝機能障害を疑う,という点も参考にしながら急性と慢性の肝機能障害の鑑別を行う.
 肝機能障害の鑑別方法としては,6カ月以上持続する肝機能障害か否かで,急性の肝障害と慢性の肝障害に区分する.次に急性の肝障害は,肝炎ウイルスによる急性肝炎と肝炎ウイルス以外の急性の肝障害に分けて診断する.一方,慢性の肝障害は,C型肝炎ウイルスないしB型肝炎ウイルスの持続感染による慢性肝炎と,肝炎ウイルス以外の慢性の肝機能障害を示す疾患(脂肪肝,非アルコール性脂肪肝炎,自己免疫性肝炎,原発性胆汁性胆管炎,薬剤性肝障害,アルコール性肝炎,Wilson病など)に分けて診断する(図1).

肝炎重症化の予知と紹介のタイミング

著者: 持田智

ページ範囲:P.398 - P.401

Question 1
ウイルス性急性肝炎で重症化を疑う場合には,どの検査項目に注目すべきですか?

薬物性肝障害の対処

著者: 阿部和道 ,   大平弘正

ページ範囲:P.402 - P.408

 薬物性肝障害(drug induced liver damage:DILI)は日常診療において高い頻度で遭遇する疾患である.しかし,診断を確定するマーカーが存在しないことから,診断と治療に苦慮することもある.また近年,免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)の適応の拡がりとともに,免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)による肝障害が報告されている.本稿では,DILIやirAEの診断や治療を中心にその対処について述べる.

ステロイドや免疫抑制薬使用中のde novo B型肝炎予防と発症後の対処

著者: 伊藤清顕

ページ範囲:P.410 - P.414

Question 1
ステロイドや免疫抑制薬を投与する前に行っておくべき検査項目は何ですか?

B型肝炎とC型肝炎に対する最新の治療薬の選択

著者: 鈴木雄一朗 ,   榎本信幸

ページ範囲:P.416 - P.419

Question 1
B型肝炎キャリアはどのような場合に治療が必要になりますか?

B型肝炎・C型肝炎治療薬による治療中の副作用と治療終了後の留意点

著者: 中川美奈 ,   朝比奈靖浩

ページ範囲:P.420 - P.423

 慢性肝炎は自覚症状に乏しく,予測される副作用,合併症,リスク因子に十分留意することが重要であり,適切な患者指導および医療介入により無症状の慢性肝疾患患者の予後を改善させることは,臨床医の腕の見せ所であると同時に,限られた医療資源の有効活用のためにも重要である.

日常遭遇する肝障害

—単純性脂肪肝かNASHか?—肝線維化の診断

著者: 米田正人 ,   海老澤佑 ,   中島淳

ページ範囲:P.424 - P.427

Question 1
単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の臨床経過はどのように異なるのですか?

脂肪肝の合併症と経過観察・治療

著者: 川口巧 ,   鳥村拓司

ページ範囲:P.428 - P.431

Question 1
脂肪肝をみたら,どんな合併症を調べるべきですか?

肝障害で見逃してはならない疾患—Wilson病,α1-アンチトリプシン欠乏症,原発性胆汁性胆管炎,自己免疫性肝炎

著者: 原田大

ページ範囲:P.432 - P.434

 慢性肝疾患で頻度の高い疾患は非アルコール性脂肪性肝疾患,アルコール性肝疾患,ウイルス性肝疾患などであり,本稿で取り上げた疾患は肝疾患のなかでは頻度が低いかもしれないが,的確に治療されないと患者が不幸な転帰をたどる疾患である.最も重要なことはこれらの疾患を思い浮かべることである.本稿では診断に最も重要と思われる検査について記す.

アルコール関連肝疾患の見分け方と治療

著者: 池嶋健一

ページ範囲:P.436 - P.440

 アルコール関連臓器障害のなかでもアルコール関連肝疾患(alcohol-related/-associated liver disease:ALD)は特に高頻度にみられるが,初期の脂肪肝からアルコール性肝炎,肝硬変と多彩な病像を呈する.ALDはアルコール使用障害(alcohol use disorder:AUD)を基盤に発症することが多く,飲酒量や飲酒パターンの正確な把握と,それに基づく飲酒量軽減への適切なアプローチにより,病態進展を未然に防ぐことが肝要である.また,近年メタボリックシンドロームとアルコール過剰摂取の重複により脂肪肝炎から肝硬変へと進行するケースが増加しており,生活習慣指導や栄養管理を含むトータル・マネージメントが求められる.

肝硬変の診断と合併症に対する治療

肝硬変の非侵襲的診断—肝硬度の測定

著者: 玉城信治 ,   黒崎雅之

ページ範囲:P.442 - P.445

Question 1
肝線維化の程度について,外来診療ではどのような方法で診断すればよいですか?

腹水・浮腫の治療薬の選択

著者: 厚川正則 ,   近藤千紗

ページ範囲:P.446 - P.449

 肝硬変における浮腫・腹水の出現には,門脈圧亢進,腎Na貯留,内臓血管拡張,動静脈吻合,低アルブミン血症などの肝性因子,腎性因子,全身循環動態因子が複雑に関与しており,従来から諸説が提唱されている.
 これらの仮説は,肝性因子,腎性因子,全身循環動態因子のうちどの因子が最も根源的な因子であるかによって3つに大別されるが,実際にはこれら3つの因子が互いに影響を及ぼし合いながら腹水が形成されると考えられる.

肝性脳症の診断と治療薬の選択

著者: 清水雅仁 ,   華井竜徳

ページ範囲:P.450 - P.453

 肝性脳症は急性肝不全や肝硬変など重篤な肝疾患の経過中に,多彩な精神神経症状(意識,感情,認知,行動の障害など)をきたす症候群である.肝性脳症は臨床的に明らかな意識障害を呈する顕性脳症と,意識状態が一見正常と判断されても,動作・認知能力の異常を認める不顕性(covert)脳症(潜在性脳症・ミニマル脳症)に分類される.肝性脳症は肝疾患患者の予後やQOLと関連するため,早期診断と適切な治療が必要である.

門脈血栓症をどんな場合に疑い,最新治療を行うか

著者: 日高央 ,   魚嶋晴紀

ページ範囲:P.454 - P.457

Question 1
門脈血栓の形成はどのような場合に起こるのですか?

血小板減少に対する対応

著者: 石川達

ページ範囲:P.458 - P.462

Question 1
肝硬変症例における血小板減少はなぜ起こるのですか?

サルコペニア・亜鉛欠乏の診断と治療

著者: 平岡淳

ページ範囲:P.464 - P.468

 二次性サルコペニアや亜鉛欠乏症は慢性肝疾患の合併症として知られている.これらの慢性肝疾患の合併症に対する対策はQOLや予後の改善において重要である.

筋痙攣(こむらがえり)や痒みの治療

著者: 澤田保彦 ,   赤羽たけみ ,   吉治仁志

ページ範囲:P.470 - P.473

Question 1
肝硬変症例の筋痙攣(こむらがえり)の治療はどうすればよいですか?

胆道系疾患

閉塞性黄疸の鑑別—良性か悪性か

著者: 南裕人 ,   田中麗奈 ,   糸井隆夫

ページ範囲:P.474 - P.477

Question 1
閉塞性黄疸はどのような病態で起こるのですか?

原発性硬化性胆管炎とIgG4関連胆管炎の鑑別

著者: 岡崎和一 ,   池浦司 ,   高岡亮

ページ範囲:P.478 - P.484

 硬化性胆管炎(sclerosing cholangitis:SC)は,胆管に炎症による硬化性変化を起こす疾患の総称である.原因不明ではあるが肝内外胆管の慢性炎症と線維化による胆管狭窄により閉塞性黄疸をきたす1次性SCと,種々の原因で引き起こされる2次性SCに分類される(表1).
 前者には,従来,原発性硬化性胆管炎1)(primary sclerosing cholangitis:PSC)が分類されてきたが,近年,新しい疾患として認められつつあるIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-related sclerosing cholangitis:IgG4-SC)もこの範疇に入る.後者には,後天性免疫不全症候群(AIDS)の胆管障害,胆管悪性腫瘍(PSC診断後および早期癌は例外),胆道の手術や外傷,総胆管結石,先天性胆道異常,腐食性硬化性胆管炎,胆管の虚血性狭窄,floxuridine動注などによる胆管障害や狭窄がある.

γGTPやALPのみ高値の際の胆道系疾患の鑑別

著者: 田中篤

ページ範囲:P.486 - P.489

 肝酵素(肝機能検査値)の上昇は日常臨床においてしばしば遭遇する血液検査値異常である.肝酵素上昇は肝細胞障害を反映した肝逸脱酵素(AST/ALT,トランスアミナーゼ)優位の上昇,および胆道の異常を反映する胆道系酵素(γGTP/ALP)優位の上昇に大別される.肝逸脱酵素,あるいは胆道系酵素のいずれか「だけ」が上昇する症例はむしろ稀で,両者ともに異常高値を示す症例がほとんどだが,肝逸脱酵素あるいは胆道系酵素のいずれの上昇が優位かを判断することが鑑別の第一歩となる.これには,測定結果が基準値上限値のおよそ何倍に相当するかをざっと計算し,その結果どちらがより大きく上昇しているかを見分ける必要がある(表1).もちろんこれは厳密な計算を行う必要はなく,いずれも上昇しており混合型と判断される症例も多い.
 本稿では上記の結果,胆道系酵素(γGTP/ALP)の上昇が優位と判断される症例をどのように鑑別するかについて述べる.

胆管内小結石の診断と治療

著者: 吉本憲介 ,   岡野直樹 ,   五十嵐良典

ページ範囲:P.490 - P.493

 総胆管結石は日常診療において比較的遭遇する機会の多い胆道疾患である.症状,臨床経過,血液検査などから総胆管結石が疑われた場合,治療方針を決定するためには正確な診断が重要である.しかし,総胆管結石の画像診断において悩む症例は少なくない.本稿では,特に画像診断に苦慮することがある胆管内小結石について,その診断方法および治療適応について解説する.

膵疾患

重症度に応じた急性膵炎の治療

著者: 吉田直樹 ,   粂潔 ,   正宗淳

ページ範囲:P.494 - P.497

Question 1
急性膵炎の重症度はどのように判定すればよいですか?

急性膵炎に対する造影CTスキャンと急性壊死性貯留(ANC)への対応

著者: 赤尾潤一 ,   清水京子

ページ範囲:P.498 - P.501

 急性膵炎とは膵臓の急性炎症で,他の隣接する臓器や遠隔臓器にも炎症を及ぼし得るものである.急性膵炎は良性疾患であるが,その経過で致死的となることもあり得る疾患である.重症急性膵炎の死亡率は2011年の全国調査1)では10.1%で,2016年に正宗ら2)が行った調査では6.1%と改善を認めているが,初期対応が不十分であると致死的な経過に陥る可能性があることを念頭に置いて診療に当たる必要がある.
 急性膵炎の受療患者数は,2003年の調査時には35,300人であったが2007年には57,560人,2011年には63,080人と年々増加している1).そのため,専門医のみではなく,開業医,研修医を含むすべての臨床医が,腹痛,背部痛を主訴に受診された際に急性膵炎の診断,重症度判定を行える必要がある.

IPMNを含む膵囊胞性疾患の経過観察の留意点

著者: 筑後孝紀 ,   金俊文 ,   潟沼朗生

ページ範囲:P.503 - P.509

 画像検査機器の進歩により,膵囊胞を発見する機会は増加している.膵囊胞の診療に際しては,正確な存在診断,質的診断,鑑別診断が求められる.また良悪性の判定は外科手術を含めた治療方針の決定に重要となる.また,膵癌のリスクファクターの一つに膵囊胞が挙げられており,経過観察例に対しては,定期的な膵全体のスクリーニングを要する.特に,膵癌の死亡数は年々増加傾向にあり,2018年度の悪性新生物死亡数では第4位となっており,膵囊胞の診療の重要性はますます高くなっている.

膵癌早期診断のための留意点

著者: 川路祐輝 ,   北野雅之

ページ範囲:P.510 - P.514

 膵癌の罹患率は増加の一途をたどっており,死亡者数は胃癌に次ぐ第4番目となっている.膵癌は診断時にはすでに進行し,切除不能となっていることが多い.進行した膵癌の予後は極めて不良であるが,早期に診断し治療を行えば長期予後が見込める.したがって近年,膵癌早期診断の重要性が叫ばれている.

自己免疫性膵炎

著者: 神澤輝実 ,   千葉和朗 ,   菊山正隆

ページ範囲:P.516 - P.521

 自己免疫性膵炎は,本邦から世界に発信された発症機序に何らかの自己免疫現象の関与が示唆される膵炎で,その病理組織学的には高度のリンパ球とIgG4陽性形質細胞の浸潤と線維化を特徴としlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)と呼ばれる.血中IgG4値が高頻度に上昇し,全身の諸臓器に多数のIgG4陽性形質細胞浸潤を認めることなどから,現在はIgG4が関連する全身性疾患であるIgG4関連疾患の膵病変と考えられている1,2).高齢の男性に好発し,ステロイドが奏効するがしばしば再燃する.
 一方欧米では,IgG4とは関連がなく,膵管上皮内へ好中球の浸潤を認めるidiopathic duct-centric chronic pancreatitis(IDCP)3)と呼称される病理組織像を呈するもう一つの自己免疫性膵炎が注目され,現在はLPSPを呈する自己免疫性膵炎は1型,IDCPは2型と呼ばれている1).自己免疫性膵炎2型は,比較的若年者に多く,男女差がなく,急性膵炎で発症したり,時に炎症性腸疾患を伴うことがあり,ステロイド治療後の再燃は稀で,発症頻度はわが国では少ない.本稿では,自己免疫性膵炎1型について,最新の全国調査4)の結果を交えて概説する.

連載 見て,読んで,実践! 神経ビジュアル診察・35【最終回】

話せないのにどうやって!?—意識障害の診察法

著者: 難波雄亮

ページ範囲:P.369 - P.378

 救急外来ではコミュニケーションがとれずストレッチャーで運ばれてくる患者さんもいますよね.「指示が入らないから神経診察なんか役に立たない!」という意見もありますが,頭部CTやMRIを撮影する前でも,おおまかな頭蓋内の障害部位は予想できることがあります.最終回となる今回は,すぐに画像にアクセスする前に,もう少し実践できるテクニックを記載します.
注:前提条件として,本稿では「頭蓋内疾患」を疑う場合の診察法を記載します.
 
*本論文中、関連する動画を見ることができます(公開期間:2023年2月28日まで公開)。

フレーズにピンときたら,このパターン! 鑑別診断に使えるカード・15

「動脈拍動正常のblue/purple toe」「Raynaud現象」「難治性皮膚潰瘍」

著者: 長野広之

ページ範囲:P.522 - P.530

総論
 blue/purple toeは「四肢や指先が急性に紫や青に変色し,自発痛や圧痛を伴う状態」であり,足の指に起こることが多いです.病態は血栓性動脈閉塞,塞栓性動脈閉塞,過粘稠度症候群,血管攣縮性疾患などに分かれ,鑑別には表1のようなものがあります.
 鑑別する際に注意する点として重要なものの1つは「動脈拍動の有無」です.動脈拍動をcheckするために下肢であれば足背動脈や後脛骨動脈,膝窩動脈,大腿動脈などを触れましょう.また超音波検査も重要です.拍動が消失していた場合は血栓性/塞栓性動脈閉塞を考慮します.血栓性の場合は頻度的には閉塞性動脈硬化症(ASO)が多く,その場合は慢性虚血の影響で跛行,安静時痛,皮膚の薄さ/光沢や毛髪の消失を認めます5).疼痛は仰向けになると悪化し,依存性(心臓よりも低い位置に足を置くこと)になると軽減します.塞栓性であれば発症は急性ですが,末梢小/細動脈の塞栓であれば動脈拍動は保たれることもあります.もう1つは「寒冷刺激で増悪するかどうか」です.寒冷刺激での増悪を認めた場合は血管攣縮性疾患(Raynaud現象やacrocyanosisなど)を考えます.これらについては次項で扱います.クリオグロブリン血症や寒冷凝集素症も寒冷刺激で増悪しますね.では本項では動脈拍動正常のblue/purple toeについての鑑別を見ていきましょう.

目でみるトレーニング

問題976・977・978

著者: 志水隼人 ,   福山一 ,   佐伯一成

ページ範囲:P.531 - P.537

書評

—松尾宏一,緒方 憲太郎,林 稔展 編—がん薬物療法のひきだし—腫瘍薬学の基本から応用まで

著者: 高野利実

ページ範囲:P.409 - P.409

 病院薬剤師が主人公のドラマ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(フジテレビ系,2020年)が話題になっている.患者さんに寄り添い,薬剤師として悩みながら,知識と経験に基づいて行動していく主人公.これまで,いろんな病院で,優秀で熱心で魅力的な薬剤師に支えられてきた私としては,○○さんや△△さんなどの姿を重ねながら,このドラマを楽しんでいる.現実離れした描写や,高圧的すぎる医師の姿には批判もあるようだが,薬剤師の想いや仕事ぶりはうまく伝わっているように思う.チーム医療に欠かせない存在としての薬剤師がこのようにクローズアップされるというのは,チーム医療に救われている腫瘍内科医としても,とても喜ばしいことである.医師の指示のもと,薬剤の管理だけを行うのではなく,患者さんのために,チーム医療の中心となって活躍することが,これからの薬剤師に求められる役割であり,それこそが,このドラマの重要なメッセージであろう.
 がん薬物療法の分野では,進歩のスピードが加速しており,薬剤師が身につけておくべき知識も膨大なものになっている.今の時代は,知識をすべて身につけているというよりは,知識のひきだし(エビデンスを検索する能力)こそが求められているともいえる.いずれにしても,これらの知識を背景に,患者さんや他の医療従事者と対話し,より適切ながん薬物療法をめざしていく必要がある.そんなときに手元にあると役立つのが,『がん薬物療法のひきだし—腫瘍薬学の基本から応用まで』である.

—森 雅紀,森田達也 著—Advance Care Planningのエビデンス—何がどこまでわかっているのか?

著者: 木澤義之

ページ範囲:P.415 - P.415

 10月の爽やかな週末に,旅のお供として本書を持って出かけ,楽しく読破させていただきました.ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の始まり,歴史,定義,エビデンス,最新の研究の動向を包括して学習できる良書だと感じました.
 本書には,著者である森雅紀先生(聖隷三方原病院緩和支持治療科)の,誠実で前向きなお人柄が溢れ出ています.ACPという重くなりがちな話題を,穏やかな気持ちで読むことができ,そして重要な研究は仔細に検討され,著者とのインフォーマルなやり取り,豊富な臨床経験に基づきプラスアルファの情報が書き込まれています.著者の米国と日本での豊富な臨床経験と,書く力に基づいた記述は素晴らしく,特に英語に関して言えば,本書に出てくる複数のやりとり(例えばJoanne Lynn先生やRachelle Bernacki先生)のときには,実は私も同席していたのですが,アルコール(?)の影響も手伝って内容があやふやで,本書の記述を読んで「あぁ,それを話してたのかぁ」と思い至ることもあり,改めて森先生の能力の高さと見識の深さに感銘を受けました.

—三澤美和,岡崎 研太郎 編—《ジェネラリストBOOKS》かゆいところに手が届く!—まるわかり糖尿病塾

著者: 岩岡秀明

ページ範囲:P.435 - P.435

 正直に書きます.この本を読み終わった私は,深い感銘とともに,糖尿病に関する本も出版させていただいている末席の一人として少々嫉妬も覚えました.
 本書は,編著者のお一人三澤美和先生が「まえがき」に書かれている通り,以下の4つをすべて満たした本です.

2021年3月〜9月開催内科関連学会情報

ページ範囲:P.538 - P.542

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目次

ページ範囲:P.380 - P.382

読者アンケート

ページ範囲:P.543 - P.543

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.544 - P.545

購読申し込み書

ページ範囲:P.546 - P.546

次号予告

ページ範囲:P.547 - P.547

奥付

ページ範囲:P.548 - P.548

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

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55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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