文献詳細
文献概要
特集 いまさら聞けない! 肝胆膵疾患—みなさんのギモンに答えます 肝機能異常をみたら
急性肝障害を診たときの鑑別診断
著者: 八橋弘1
所属機関: 1国立病院機構長崎医療センター
ページ範囲:P.394 - P.397
文献購入ページに移動初診の患者が肝機能障害を呈した場合,ワンポイントでは急性と慢性の肝機能障害の判別はできない.短い観察期間内でも,①病歴から急性の肝機能障害なのか以前から存在したのか推定する,②一定の観察期間内のALT値の変化パターンが一峰性か多峰性かを確認し,一峰性では急性を,多峰性では慢性の肝機能障害を疑う,③ALT値が400 IU/L(正常範囲の10倍以上)の場合には急性の肝機能障害を疑う,という点も参考にしながら急性と慢性の肝機能障害の鑑別を行う.
肝機能障害の鑑別方法としては,6カ月以上持続する肝機能障害か否かで,急性の肝障害と慢性の肝障害に区分する.次に急性の肝障害は,肝炎ウイルスによる急性肝炎と肝炎ウイルス以外の急性の肝障害に分けて診断する.一方,慢性の肝障害は,C型肝炎ウイルスないしB型肝炎ウイルスの持続感染による慢性肝炎と,肝炎ウイルス以外の慢性の肝機能障害を示す疾患(脂肪肝,非アルコール性脂肪肝炎,自己免疫性肝炎,原発性胆汁性胆管炎,薬剤性肝障害,アルコール性肝炎,Wilson病など)に分けて診断する(図1).
掲載誌情報