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雑誌目次

雑誌文献

medicina58巻4号

2021年04月発行

雑誌目次

増刊号 救急診療 好手と悪手

著者: 坂本壮

ページ範囲:P.7 - P.7

 「本気の失敗には価値がある」(#107 本気の失敗,『宇宙兄弟』11巻,講談社刊)
 救急医となって10年以上の月日が経ちましたが,いまでも救急患者さんをビクビクしながら診療しています.なにか見落としていないか,本当に帰宅可能なのか,検査は追加しなくてよいのか,自問自答の毎日です.文献や教科書,セミナーなどでときに目にする「◯◯なこともある」というバイアスに引っ張られ過度な検査を行ってしまったり,自身の体調や環境によって徹底しなければならないことを怠ってしまったり…,失敗を挙げればきりがありません.

中枢神経系

くも膜下出血—いつもと違う頭痛を見逃すな!

著者: 青木信也

ページ範囲:P.10 - P.13

こんな対応は悪手
①歩いて受診しているから,くも膜下出血を疑わない
②CTに異常がないから,くも膜下出血を除外する
③「心電図変化があるから,くも膜下出血ではない」と考える
④治療を急ぐあまり患者に刺激を与えてしまう

脳梗塞—脳梗塞mimicsを見逃さない!

著者: 杉田陽一郎

ページ範囲:P.14 - P.18

こんな対応は悪手
①全失語を意識障害と勘違いして急性期脳梗塞対応が遅れる
②血圧の低い脳梗塞に違和感をもたない
③顔面を含まない片側上下肢麻痺で脊髄血管障害を疑わない

一過性脳虚血発作—迅速な診断,治療開始で脳梗塞発症を予防せよ!

著者: 橋元由紀子 ,   堤健

ページ範囲:P.19 - P.21

こんな対応は悪手
①神経症状が残存しているのに,TIAと診断する
②一過性の神経脱落症状をきたす他の疾患(TIA mimic)を鑑別しない
③神経症状が完全に消失したため,そのまま帰宅させる
④ABCD2 Scoreのみで入院適応を判断する
⑤治療開始前に頭蓋内出血を除外しない

可逆性脳血管攣縮症候群—時間軸を味方につけた診療を!

著者: 松原知康

ページ範囲:P.22 - P.25

こんな対応は悪手
①雷鳴頭痛に遭遇したとき,最初から可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)の診断に飛びつく
②画像が正常だからといって,救急外来でRCVSの可能性を否定する
③原因不明の雷鳴頭痛を無計画に帰宅させる

静脈洞血栓症,椎骨・内頸動脈解離—疑って,みつけ出せ!

著者: 北井勇也

ページ範囲:P.26 - P.30

こんな対応は悪手
①稀と考えて鑑別に挙げない
②神経学的異常所見がないから除外する
③脳梗塞・脳出血の診断をつけて満足する
④適切な画像検査がなされていない
⑤脳出血があるからといって抗凝固療法をやらない

髄膜炎,脳炎—腰椎穿刺をためらうな!

著者: 仁平敬士

ページ範囲:P.31 - P.35

こんな対応は悪手
①項部硬直,発熱,意識障害がそろっていないから髄膜炎,脳炎を疑わない
②脳のCTやMRIで脳ヘルニアを否定するまで腰椎穿刺をしない
③抗菌薬投与が遅い
④適切なエンピリック治療を知らない

軽症頭部外傷—頭部CTを撮影して安心するな!

著者: 坂本壮

ページ範囲:P.36 - P.39

こんな対応は悪手
①受傷機転を確認しない
②頸部を意識していない
③高齢者であることのみを理由に頭部CTをオーダーする
④抗血栓薬を内服していることのみを理由に頭部CTをオーダーする
⑤「頭部CT正常=問題なし」と判断してしまう

慢性硬膜下血腫—頻度は高いがつかみどころがなく,意外に診断が難しい疾患

著者: 藤森大輔 ,   坂本壮

ページ範囲:P.40 - P.43

こんな対応は悪手
①外傷歴,抗血栓薬の有無だけで判断してしまう
②慢性硬膜下血腫を疑う症状を知らない
③画像所見と症状が見合うか否かを意識しない
④頭部外傷患者に慢性硬膜下血腫のリスクを説明しない
⑤予後良好な疾患と考えて軽視してしまう

てんかん—発作時は,迅速な鎮火と丁寧な現場検証を行う

著者: 音成秀一郎

ページ範囲:P.44 - P.47

こんな対応は悪手
①てんかん重積の治療を躊躇する
②「重積は止まればOK」と考えてしまう
③漫然と抗てんかん薬(AED)を継続する
④発作の再発のたびにAEDを追加する
⑤AEDを多剤併用し,副作用を軽視する
⑥専門医への紹介が遅すぎる

Guillain-Barré症候群—GBSを否定する際はご用心!

著者: 栗原健

ページ範囲:P.48 - P.51

こんな対応は悪手
①典型的な病歴でないことを理由に否定する
②先行感染がないから否定する
③抗糖脂質抗体検査の結果が出るまで治療を開始しない
④治療中に症状のモニタリングを行わない
⑤治療中に疼痛コントロールに注意しない

片頭痛—らしさを正しく見積もり,トリプタンの適正使用を!

著者: 松原知康

ページ範囲:P.52 - P.55

こんな対応は悪手
①緊急性の高い頭痛を除外せずに片頭痛の診断に飛びつく
②特異的な治療薬がある頭痛を意識せずに診療を進める
③禁忌を確認せずにトリプタンを処方する
④服用タイミングの指導をせずにトリプタンを処方する

循環器系

急性冠症候群—鑑別診断を考えながら,予後を改善する治療を優先する

著者: 戴哲皓 ,   水野篤

ページ範囲:P.58 - P.62

こんな対応は悪手
①症状が消失したからそのまま帰宅させる
②一部の所見に注目し,他の心電図所見を見逃す
③心エコーがあるのに活用しない
④治療の適時性を意識しない
⑤ST上昇=循環器コンサルテーションだけすればよい

急性大動脈解離—胸痛がないから否定的? 非典型例を見逃すな!

著者: 中島聡志

ページ範囲:P.64 - P.67

こんな対応は悪手
①胸痛がないから否定した
②D-dimerが陰性だから否定した
③胸部X線や胸部単純CTで否定した
④疼痛があるのに,鎮痛をしていない
⑤血圧コントロールをしていない

肺血栓塞栓症—ガイドラインに則り,適切に診断しよう

著者: 大前奈菜 ,   髙橋仁

ページ範囲:P.68 - P.72

こんな対応は悪手
①若年の呼吸困難で肺塞栓を疑わない
②Wells Criteriaで高リスクにもかかわらずD-dimerを測定する
③年齢によるD-dimerのカットオフ値を知らない
④循環動態が不安定な患者にD-dimerを測定する

失神—心原性失神のリスク層別化を怠るな!

著者: 堀江勝博 ,   清水真人

ページ範囲:P.74 - P.77

こんな対応は悪手
①意識が完全に戻らないのに,失神として対応する
②失神患者全例で,まず頭部CTを撮像する
③来院時の心電図所見だけで心原性失神を否定する
④失神患者をフォローや入院なしに帰宅させる
⑤徐脈性不整脈の原因精査を怠る

心房細動,上室性頻拍—救急外来から患者に寄り添う不整脈治療を始めよう

著者: 井上敦人 ,   溝辺倫子

ページ範囲:P.78 - P.82

こんな対応は悪手
①とりあえずワソラン®(ベラパミル塩酸塩)
②診断後,すぐに不整脈治療開始
③rhythm control(洞調律復帰)を目指す
④帰って安静にしていれば大丈夫
⑤高齢だから抗凝固療法を行わない

急性心不全—適切に初期評価,迅速に治療開始,タイムリミットは1時間!

著者: 戴哲皓 ,   水野篤

ページ範囲:P.84 - P.89

こんな対応は悪手
①初期評価がクリニカルシナリオ(CS)にとどまる
②左室駆出率(LVEF)が保たれていたら心不全ではないと考える
③エコーでなんとなくEFしかみない
④酸素化が保持された心不全だからのんびりする
⑤β遮断薬を乱暴に扱う

腹部大動脈瘤切迫破裂—困ったときの三日月探し

著者: 磯矢嵩亮 ,   舩越拓

ページ範囲:P.90 - P.93

こんな対応は悪手
①腹痛の急性増悪に無関心
②バイタルサインに異常がないので除外した
③リスクの高い患者に腹部エコーを行わない
④CT所見で明らかな破裂所見がないため除外した
⑤手術に向かわない

呼吸器系

市中肺炎—COVID-19流行期でも正しく恐れてより良い診療を目指す

著者: 黒田浩一

ページ範囲:P.96 - P.100

こんな対応は悪手
①診察時に適切な感染予防策をとらない
②COVID-19流行地域で,SARS-CoV-2検査を行わない
③治療開始前に喀痰検査を行わない
④入院が必要な患者の治療開始前に血液培養を行わない
⑤重症という理由のみで,緑膿菌またはMRSAをカバーする抗菌薬を選択する

誤嚥性肺炎,誤嚥性肺臓炎—誤嚥性肺炎に絶食,抗菌薬だけで終わらせない!

著者: 大浦誠

ページ範囲:P.102 - P.105

こんな対応は悪手
①誤嚥性肺臓炎と誤嚥性肺炎を区別せず,全例に抗菌薬を投与する
②全例に嫌気性菌カバーの抗菌薬を投与してしまう
③心不全や膿胸/肺膿瘍を鑑別に挙げない
④全例に絶食を指示する

気管支喘息—アクションプランで救急外来受診を減らそう!

著者: 倉原優

ページ範囲:P.106 - P.109

こんな対応は悪手
①聴診をしない
②短時間作用性β2刺激薬(SABA)だけ処方して帰す
③全身性ステロイドを使わない
④アクションプランを決めておかない

気胸—「気胸⇒ドレナージチューブ挿入」の手順にもピットフォールが…

著者: 長尾大志

ページ範囲:P.110 - P.113

こんな対応は悪手
①診断ができない
②診断できないときにフォローアップしない
③「ドレーン挿入する?しない?」で迷う
④ドレナージチューブが肺尖までいかない・葉間挿入
⑤いきなり陰圧吸引

COPD増悪—心不全がまぎれているかもしれない!

著者: 倉原優

ページ範囲:P.114 - P.116

こんな対応は悪手
①心不全を鑑別に入れない
②抗菌薬を投与しない
③呼吸リハビリテーションをすぐに導入する
④高流量酸素を投与する

急性喉頭蓋炎—喉を激しく痛がっていたら非常事態!

著者: 坂本壮

ページ範囲:P.117 - P.119

こんな対応は悪手
①稀だからと鑑別に挙げない
②疑うサインを知らない
③X線で否定してしまう
④CT検査をすぐに行ってしまう
⑤気管挿管の準備を行わず対応する
⑥一人で対応する

消化器系

消化管出血—全身管理とともに,適切なタイミングでの内視鏡治療を!

著者: 村島侑子 ,   清水真人

ページ範囲:P.122 - P.125

こんな対応は悪手
①鮮血便で上部消化管出血を疑わない
②患者背景の聴取をしていない
③適切な全身管理をしていない
④検査データが揃うまで緊急内視鏡を依頼しない

麻痺性イレウス,腸閉塞—日暮れまで待つな! 朝まで待つな!

著者: 橋本恵太郎

ページ範囲:P.126 - P.128

こんな対応は悪手
①「排便があるから」と安易に否定してしまう
②腹部診察で十分に腹部を露出しない
③絞扼の検索が遅れてしまう
④胃管・イレウス管の留置をしない
⑤十分な量の輸液を行っていない

憩室炎,憩室出血—軽症に適切に対応し,隠れている重症を見逃さない

著者: 徳田嘉仁

ページ範囲:P.129 - P.133

こんな対応は悪手
①軽症憩室炎の入院適応/フォローアップを見誤る
②右側結腸と左側結腸の憩室炎の違いを知らない
③「鮮血便=下部消化管出血」と思い込む
④止血方法の判断を見誤る
⑤適切な再出血予防策を講じない

虚血性腸炎—絶対に原因検索を忘れてはいけない!

著者: 柏木克仁 ,   佐々木陽典

ページ範囲:P.134 - P.138

こんな対応は悪手
①鑑別を考えずに診断に飛びつく
②虚血性腸炎の好発部位やリスクなどを知らずに診断してしまう
③CT検査をしたらそれでおしまい
④危険な虚血性大腸炎を見逃す
⑤腸炎なので抗菌薬を投与してしまう

虫垂炎—救急で見逃さないための戦略

著者: 野溝崇史 ,   和足孝之

ページ範囲:P.139 - P.141

こんな対応は悪手
①典型的な症状・身体所見がないから虫垂炎を除外する
②採血して炎症所見がないから虫垂炎を除外する
③エコー・CTで虫垂炎の所見がないから虫垂炎を除外する

感染性腸炎—「急性胃腸炎」の診断は誤診の王様

著者: 野溝崇史 ,   和足孝之

ページ範囲:P.142 - P.145

こんな対応は悪手
①悪心・嘔吐,下痢が揃っていないのに急性胃腸炎の診断をつける
②「何か最近ナマもの食べましたか?」しか聴取しない
③細菌性腸炎疑い患者に全例抗菌薬を投与する

非閉塞性腸管虚血(NOMI),上腸間膜動脈(SMA)閉塞—腸間膜虚血の病態把握と即座の画像検査を!

著者: 原田拓

ページ範囲:P.146 - P.149

こんな対応は悪手
①発症様式を知らない
②造影CTのみで判断してしまう
③腎機能が悪いので単純CTのみで評価する
④メトホルミンを内服しているため単純CTのみで評価する

急性胆囊炎—速やかな重症度判定と外科医へのコンサルトが要!

著者: 中野弘康

ページ範囲:P.150 - P.154

こんな対応は悪手
①病歴と身体所見をスキップしてすぐ画像検査を行う
②胆石がないから胆囊炎を否定してしまう
③急性胆囊炎の診断でCTを行わない
④胆囊炎と診断したら一律に胆囊摘出術

急性胆管炎—胆道ドレナージに関するコンサルトのタイミングを逃すな!

著者: 中野弘康

ページ範囲:P.155 - P.159

こんな対応は悪手
①腹痛がないから胆管炎を否定的と考える
②CTで総胆管結石を認めないため,胆管炎は否定的と考える
③抗菌薬投与のみで粘る
④抗菌薬投与期間は一律同じと考える

急性膵炎—初期の輸液を怠るな!

著者: 中野弘康

ページ範囲:P.160 - P.164

こんな対応は悪手
①アミラーゼが高いから重症だと考える
②Grey-Turner徴候やCullen徴候は必須と考える
③十分な細胞外液投与を怠っている
④適切な経過観察をしていない
⑤とりあえず絶食

腹膜炎(消化管穿孔)—原因の見極めを怠るな!

著者: 坂上谷侑 ,   小坂鎮太郎

ページ範囲:P.165 - P.169

こんな対応は悪手
①腹膜刺激徴候がないから除外してしまう
②抗菌薬投与を迅速に行わない
③続発性腹膜炎と特発性細菌性腹膜炎の鑑別を正確に行わない
④女性の腹痛患者にPIDの鑑別を行わない

内分泌系

低血糖—血糖補正だけで終わりじゃない!

著者: 糟谷智史

ページ範囲:P.172 - P.174

こんな対応は悪手
①低血糖を疑うサインを知らない
②ビタミンB1投与を忘れる
③低血糖の原因を検索・解決しない
④適切な経過観察をしない
⑤本人・家族・かかりつけ医に情報提供を行わない

高血糖緊急症—インスリン投与の前に必ず輸液! K check!

著者: 糟谷智史

ページ範囲:P.175 - P.178

こんな対応は悪手
①高血糖緊急症を疑うサインを知らない
②血糖のみで高血糖緊急症と判断して追加検査を行わない
③高血糖患者をみていきなりインスリン投与を行う
④K値を気にしない
⑤正常血糖値のときにDKAを除外する

甲状腺緊急症—稀な病態に適切に対応し,専門医に引き継げるように!

著者: 大塚勇輝 ,   大塚文男

ページ範囲:P.179 - P.184

こんな対応は悪手
①動悸や下痢の鑑別に甲状腺クリーゼを挙げない
②甲状腺機能の血液検査結果が出るまで治療を開始しない
③β遮断薬ならどれでもよい
④解熱鎮痛薬としてNSAIDsを使用する
⑤昏睡していないので粘液水腫性昏睡を否定する
⑥内服できないためレボチロキシン投与を諦める

副腎不全—原因不明のショックを診たら積極的に疑う!

著者: 森川暢

ページ範囲:P.185 - P.188

こんな対応は悪手
①低血糖がないから副腎不全を否定する
②副腎不全がショックの原因となることを知らない
③ACTH負荷試験をしていないからステロイドは投与しない
④原因検索を行わない

腎・泌尿器系

急性腎障害—救急外来で「疑って,みつけて,初期治療!」

著者: 日下伸明

ページ範囲:P.190 - P.193

こんな対応は悪手
①定義を満たさないので,急性腎障害を否定する
②急性腎障害と診断したが,「脱水だろう」と決めつける
③精査の際に,超音波検査を行わない
④軽度腎障害だったので,フォローなく帰宅の判断をする
⑤造影CT検査が必要な致死的疾患を疑ったが,腎障害があるので検査をためらう

尿管結石—「痛みの王様」を診断から予防まで正しくマネジメント!

著者: 中村聡志 ,   坂本壮

ページ範囲:P.194 - P.197

こんな対応は悪手
①「尿管結石=背部痛」と決めつけてしまう
②エコーをせずにCT直行
③尿検査の解釈を誤っている
④感染徴候を見逃す
⑤痛みをとって「ハイ,さよなら」

高K血症—頻度が高く緊急性も高い! 迅速に対応しよう!

著者: 白神真乃

ページ範囲:P.198 - P.201

こんな対応は悪手
①高K血症を疑うサインを知らない
②グルコン酸Caを急速静注してしまう
③GI療法後にK値が下がったからといって再検を怠っている
④陽イオン交換樹脂をルーチンで投与している
⑤透析のタイミングを逃す

低K血症—放っておくと大惨事! 補正のタイミングを見逃すな!

著者: 松井大知 ,   安藤裕貴

ページ範囲:P.202 - P.206

こんな対応は悪手
①フローチャートをなぞっただけの対応
②尿中Kのみで原因を判断する
③血清Mgを評価していない
④Kの補充量が不十分

低Na血症—原因検索とその原因に基づいた対応を!

著者: 藤井真

ページ範囲:P.207 - P.209

こんな対応は悪手
①軽症の低Na血症だからとプロブレムリストに挙げない
②Volumeの評価をしない
③低Na血症の原因を「塩分の摂取不足」と判断してしまう
④SIADHの原因検索を怠ってしまう
⑤急性発症かつ重篤な症状があるのに3%食塩水の投与を行わない

高Ca血症—探せ,みつけろ,高Ca!

著者: 麥倉慎 ,   安藤裕貴

ページ範囲:P.210 - P.213

こんな対応は悪手
①Ca異常を疑っていない
②血液ガスをみていない
③Albを意識していない
④原因検索を怠っている
⑤ループ利尿薬を投与してしまう

横紋筋融解症—腎障害を予防せよ!

著者: 長谷部圭亮 ,   坂本壮

ページ範囲:P.214 - P.217

こんな対応は悪手
①CK値が低いため考えなかった
②一つの原因をみつけて満足してしまった
③輸液量が不足している
④合併症の評価を怠っている

尿閉—対症療法で終わらせない!

著者: 天野雅之

ページ範囲:P.218 - P.221

こんな対応は悪手
①「尿が出ない=尿閉」と判断する
②尿閉に対していきなりカテーテルを挿入する
③薬剤歴を確認していない
④前立腺肥大以外の疾患を考慮していない
⑤カテーテルを留置せず翌日受診を指示する

感染症

敗血症—qSOFAよりも大切なこと

著者: 坂本壮

ページ範囲:P.224 - P.227

こんな対応は悪手
①発熱がないから疑わない
②qSOFAを満たさないから否定してしまう
③乳酸値を測定しない
④ドパミンを使用する
⑤外科的介入を行わない

尿路感染症—診断・治療には総合力が試される!

著者: 古谷賢人 ,   伊東直哉

ページ範囲:P.228 - P.230

こんな対応は悪手
①CVA叩打痛がないため急性腎盂腎炎を否定する
②細菌尿のみで尿路感染症を診断する
③尿道カテーテルを入れ替えず尿検体を採取する
④CT所見だけで急性腎盂腎炎と診断する
⑤膀胱炎に対してレボフロキサシンを投与する

皮膚軟部組織感染症—皮膚所見だけでは診断できない!?

著者: 古谷賢人 ,   伊東直哉

ページ範囲:P.231 - P.233

こんな対応は悪手
①皮膚所見だけで丹毒/蜂窩織炎と診断する
②感染徴候のある部位だけを診察する
③曝露歴を聴取しない
④LRINEC Scoreだけで壊死性軟部組織感染症を除外する
⑤蜂窩織炎に対して全例抗MRSA薬を投与する

急性中耳炎—適切な診断と抗菌薬選択をせよ!

著者: 鋪野紀好

ページ範囲:P.234 - P.235

こんな対応は悪手
①急性中耳炎の臨床症状を知らない
②とりあえず抗菌薬を投与する
③重症化する起炎菌を把握できていない
④急性中耳炎のmimicを警戒できていない

急性副鼻腔炎—適切な抗菌薬を選択せよ!

著者: 鋪野紀好

ページ範囲:P.236 - P.238

こんな対応は悪手
①急性副鼻腔炎の定義や診断基準を知らない
②急性細菌性副鼻腔炎の起炎菌を想定できていない
③とりあえず画像検査
④好酸球性副鼻腔炎を見逃す
⑤急性副鼻腔炎の重篤な合併症に留意しない

HIV感染症,伝染性単核球症—性交渉歴と先を見据えた診療を大切に!

著者: 宮上泰樹

ページ範囲:P.240 - P.244

こんな対応は悪手
①疑わしい既往や症状の患者にHIV感染症検査をしない
②HIV検査をする前に性交渉歴を聴取しない
③発熱・咽頭痛患者を正しく鑑別しない
④伝染性単核球症患者のフォローを怠る

結核—疑うべき患者,サインを見逃すな!

著者: 根本隆章

ページ範囲:P.245 - P.248

こんな対応は悪手
①咳や呼吸器症状がないという理由で肺結核を否定する
②結核疑いのある患者にN95マスクを着用させる
③画像所見だけで肺結核を否定する
④喀痰の性状を確認せずに検査室に提出する
⑤原因不明の肺炎患者で,肺結核の可能性を否定せずにキノロン系抗菌薬を投与する
⑥肺外結核を疑うすべての患者に対して隔離を行わない

インフルエンザ—「疑ったら,全員に迅速抗原検査をして抗インフルエンザ薬…」はダメ!

著者: 織田錬太郎

ページ範囲:P.249 - P.255

こんな対応は悪手
①インフルエンザシーズンの発熱はインフルエンザだと思い込む
②インフルエンザを疑ったら全例迅速抗原検査を行う
③迅速抗原検査が陰性なら,翌日また検査しに来てもらう
④全例に抗インフルエンザ薬を投与する

COVID-19—感染防御の手をゆるめるな!

著者: 川村繭子 ,   川村隆之 ,   岡秀昭

ページ範囲:P.256 - P.260

こんな対応は悪手
①十分な根拠なく,否定してしまう
②スクリーニングは抗原検査でOKと考えてしまう
③標準予防策を重要視していない

破傷風—誤認・誤解されやすいvaccine-preventable disease

著者: 鈴木智晴

ページ範囲:P.261 - P.265

こんな対応は悪手
①ワクチン接種歴を確認せず,破傷風の予防接種を行わない
②洗浄したら「きれいな創」として,トキソイド接種を行わない
③明らかな外傷歴がないため,破傷風を除外してしまう
④重症度評価や重症度に応じた管理ができない

その他

アナフィラキシー—アドレナリンのタイミングを逃すな!

著者: 坂本壮

ページ範囲:P.268 - P.272

こんな対応は悪手
①皮膚症状がないから疑わない
②アドレナリンを投与しない
③アドレナリンの投与方法が違う
④細胞外液投与が十分ではない
⑤原因検索を怠っている
⑥適切な経過観察をしていない

急性アルコール中毒,アルコール関連疾患—100人に1人の重症患者を見逃さない!

著者: 宮本雄気

ページ範囲:P.273 - P.278

こんな対応は悪手
①急性アルコール中毒でABCの確保をしない
②飲酒後の意識障害を急性アルコール中毒と決めつける
③急性アルコール中毒患者の意識が改善しないまま帰宅させる
④アルコール多飲歴のある患者にアルコール関連疾患の検索・対応をしない
⑤アルコール性ケトアシドーシスを疑うサインを知らない
⑥アルコール多飲患者にアルコール離脱症候群の評価・予防をしない

一酸化炭素中毒—意外と知らない診断プロセスと治療法を見直そう

著者: 薬師寺泰匡

ページ範囲:P.279 - P.281

こんな対応は悪手
①経皮酸素飽和度のみをみて酸素化を判断する
②COHb濃度が低いため酸素投与をやめる
③CO中毒に特異的な症状を探してしまう
④わずかなCOHb値の上昇に飛びつく
⑤follow upをしない

熱中症—疾患の鑑別よりも救急対応を優先せよ!

著者: 神田潤

ページ範囲:P.282 - P.284

こんな対応は悪手
①体温が高くないから熱中症を疑わない
②体温を下げるために,冷蔵庫に入れた点滴製剤を利用するだけで,積極的に冷却しない
③熱中症と決めつけて他の疾患の治療を行わない
④重症熱中症をⅢ度熱中症と一括りにする
⑤症状が軽快したら,もとの暑熱環境に復帰させる

偶発性低体温症—患者を動かすときは愛護的に,そして先手をうつ!

著者: 山田浩平

ページ範囲:P.286 - P.289

こんな対応は悪手
①低体温症の認知が遅れる
②不用意な刺激を与えてしまう
③対応が後手後手になってしまう
④背景疾患/損傷の検索を怠っている

異物誤飲—いつ,何を誤飲したかが重要!

著者: 栗原健

ページ範囲:P.290 - P.293

こんな対応は悪手
①異物誤飲は小児のみで起こると思い込む
②症状だけで異物がある場所を推定する
③すべての異物がX線で描出されると思う
④すべての異物で同じ対応をする

蕁麻疹—点滴1本で帰していませんか?

著者: 山本洋輔

ページ範囲:P.294 - P.297

こんな対応は悪手
①診察する前から蕁麻疹と思い込んでいる
②原因検索にこだわりすぎる
③とりあえずステロイドの点滴で対応する
④妊婦だからクロルフェニラミンマレイン酸塩を処方する

パニック障害—適切に診断し,精神科に紹介するタイミングを逃さない!

著者: 小野正博

ページ範囲:P.298 - P.301

こんな対応は悪手
①予期不安のない患者をパニック障害と決めつける
②パニック障害の合併疾患を考えない
③パニック障害の患者に教育(日常生活指導)を行わない
④精神科に紹介しない

急性薬物中毒—対応はABCDE!

著者: 薬師寺泰匡

ページ範囲:P.302 - P.305

こんな対応は悪手
①原因物質の特定で頭がいっぱいになり治療がおろそかになる
②原因物質特定のための尿検査を盲信する
③病歴を重要視しすぎる
④何も考えずに胃洗浄,何も考えずに活性炭
⑤違法薬物が疑われる状態で治療よりも通報を優先する

過換気症候群—ペーパーバッグ法での低酸素に注意!

著者: 重松咲智子 ,   久村正樹

ページ範囲:P.306 - P.308

こんな対応は悪手
①「過呼吸=過換気症候群」と判断してしまう
②経過をみずに薬剤をすぐに投与する
③頻回に声をかけてしまう
④ペーパーバッグ法を行ってしまう
⑤「呼吸が落ち着けばいい」と考えてしまう

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目次

ページ範囲:P.2 - P.5

索引

ページ範囲:P.310 - P.314

購読申し込み書

ページ範囲:P.316 - P.316

次号予告

ページ範囲:P.317 - P.317

奥付

ページ範囲:P.318 - P.318

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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