文献詳細
特集 “のど・はな・みみ”の内科学
口腔
文献概要
Point
◎舌痛症はストレス性疾患であり,症状の特徴は食事中に症状を自覚しないことである.舌周囲に症状を訴える場合もある.患者は異常でない粘膜所見を「異常」と確信をもって受診する場合が少なくない.
◎舌乳頭の萎縮を認める舌炎は鉄欠乏,ビタミンB12欠乏,葉酸欠乏で起こる.舌の痛みは食事中に憎悪することが多く,痛みは舌周囲には認めない.鉄欠乏由来の舌炎では口角炎を伴うことがある.
◎アフタ性口内炎の多くは年に3回以上発症する反復性アフタ性口内炎(RAS)である.膠原病ではBehçet病と全身性エリテマトーデス(SLE)に注意する.前者は口内病変は100%で初発後10年以上を経て診断されることも多い.後者は口内病変は50%で痛みを伴わないことがある.
◎口内炎はその形態で3つに分けることができる.通常の口内炎は中心が白く,周囲が赤い.中心が赤く,周囲が白い口内炎は難治性である.
◎舌痛症,表在性舌炎,アフタ性口内炎はいずれもストレスを背景にもつ例があり,再発・再燃を繰り返すことがある.治療にあたっては患者との信頼関係の構築が必要となる.
◎舌痛症はストレス性疾患であり,症状の特徴は食事中に症状を自覚しないことである.舌周囲に症状を訴える場合もある.患者は異常でない粘膜所見を「異常」と確信をもって受診する場合が少なくない.
◎舌乳頭の萎縮を認める舌炎は鉄欠乏,ビタミンB12欠乏,葉酸欠乏で起こる.舌の痛みは食事中に憎悪することが多く,痛みは舌周囲には認めない.鉄欠乏由来の舌炎では口角炎を伴うことがある.
◎アフタ性口内炎の多くは年に3回以上発症する反復性アフタ性口内炎(RAS)である.膠原病ではBehçet病と全身性エリテマトーデス(SLE)に注意する.前者は口内病変は100%で初発後10年以上を経て診断されることも多い.後者は口内病変は50%で痛みを伴わないことがある.
◎口内炎はその形態で3つに分けることができる.通常の口内炎は中心が白く,周囲が赤い.中心が赤く,周囲が白い口内炎は難治性である.
◎舌痛症,表在性舌炎,アフタ性口内炎はいずれもストレスを背景にもつ例があり,再発・再燃を繰り返すことがある.治療にあたっては患者との信頼関係の構築が必要となる.
参考文献
1)許斐亜紀:鉄と亜鉛の単独もしくは同時欠乏の生体影響.Biomed Res Trace Elements 26:124-133, 2015
2)藤川徳美:うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった.光文社新書,2019
3)宮田 学:諸疾患における亜鉛測定の意義.亜鉛栄養治療1:5-25, 2010
4)井野千代徳,田邉正博:耳鼻咽喉科における高齢者うつの心身診療.JOHNS 37:411-416. 2021.
5)Ideguchi H, et al:Behçet disease;Evolution of clinical manifestations. Medicine 90:125-132, 2011
6)須田昭子:口内炎や陰部潰瘍の患者に遭遇したら?,山岡邦宏,他(編):リウマチ・膠原病の合併症や諸問題を解く,pp 30-38,文光堂,2016
7)堀 仁子,他:亜鉛欠乏の関与が考えられた再発性アフタ性口内炎.臨皮61:880-882, 2007
8)岩本純一,他:ハンター舌炎の3例.耳鼻臨床91:1025-1030, 1998
9)内田立身,他:鉄欠乏性貧血におけるPlummer-Vinson症候群6例を含む組織鉄欠乏の頻度と発展.臨床血液39:1099-1102, 1998
10)杉田完爾:異食症(pica)の病態とその対策.日臨59:561-565, 2001
11)松本あゆみ,芦谷道子,他:患者が訴える口内の「異変」について.耳鼻と臨53:242-250, 2007
12)井野千代徳,他:舌痛症と脳腫瘍.耳鼻と臨,投稿中(7月掲載予定)
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