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雑誌目次

雑誌文献

medicina58巻8号

2021年07月発行

雑誌目次

特集 ジェネラリスト・漢方—とっておきの漢方活用術

著者: 吉永亮

ページ範囲:P.1124 - P.1125

 漢方は現代医療のなかで,内科疾患だけでなく,消化器外科,婦人科,脳神経外科,泌尿器科,心療内科などあらゆる領域で活用されている.特に総合診療,プライマリ・ケアの現場では,内科に限らずさまざまな症状をもつ患者,診断がつかない愁訴をもつ患者,標準的治療に難渋する患者などにしばしば遭遇するが,そういった場合に漢方治療を知っていると異なる視点からのアプローチが可能になる.
 また漢方治療といえば,慢性疾患に対する外来治療で,「長く飲まないと効かない」というイメージをもたれがちだが,漢方医学のバイブルである「傷寒論」は,1800年程前の後漢末期に当時流行した急性熱性疾患に対応するために編集された書物である.つまり,漢方は急性疾患に対して用いられ発展した歴史をもち,かぜやインフルエンザはもちろん,それ以外の急性疾患に対しても外来,病棟を問わずに活用できる治療であるといえる.

特集を読む前に あなたの理解度チェック!

ページ範囲:P.1126 - P.1129

●今月の特集執筆陣による出題です.漢方治療に関する理解度をチェックしてみましょう!

Editorial

治療の幅が広がる漢方という選択肢

著者: 吉永亮

ページ範囲:P.1130 - P.1133

Point
◎漢方治療はプライマリ・ケア,総合診療と親和性が高い.
◎漢方治療は薬剤乱用やポリファーマシーへの対策になりうる.
◎十分な症状の改善や満足が得られていない場合が漢方治療の適応となる.
◎全人的治療に漢方治療が活用できる.

漢方Q & A

漢方薬の効果判定

著者: 吉永亮

ページ範囲:P.1134 - P.1135

Question 1
風邪などの急性疾患に対する効果判定の仕方は?

漢方薬の服用方法

著者: 吉永亮

ページ範囲:P.1136 - P.1137

Question 1
食前投与が原則ですか?

漢方薬のやめどき

著者: 吉永亮

ページ範囲:P.1138 - P.1139

Question 1
漢方薬を中止する際の注意点はありますか?

領域別おすすめ漢方治療

消化器内科①—食欲不振,機能性ディスペプシア,逆流性食道炎

著者: 星野卓之

ページ範囲:P.1140 - P.1143

Point
◎食欲不振でも摂取可能なら補中益気湯を,摂取量低下時には六君子湯を処方するとよい.
◎食欲不振に伴い慢性疲労・閉塞性肺疾患・認知症など体力低下があれば,人参養栄湯が効を奏す.
◎胸部不快感や腹部膨満感があり神経質・抑うつ傾向がある場合は,半夏厚朴湯が効果的である.
◎肥満傾向や食事摂取が多い場合には食事指導が重要で,六君子湯の適応ではない.

消化器内科②—下痢,便秘,過敏性腸症候群

著者: 村井政史

ページ範囲:P.1144 - P.1150

Point
◎下痢,便秘,過敏性腸症候群のそれぞれに,西洋医学的病名から頻用される漢方薬がある.
◎漢方的な考え方である陰陽(冷えている陰証か熱がある陽証か)や,虚実(元気や体力が低下している虚証か元気や体力が充実している実証か)も意識すると,より高い頻度で適切な漢方薬を選択することができる.
◎西洋薬では治療が難しい場合でも,漢方薬が有効な場合がしばしばある.

呼吸器内科—インフルエンザ,かぜ,咳嗽

著者: 阿南栄一朗

ページ範囲:P.1152 - P.1157

Point
◎インフルエンザ様症状と,鼻水や軽度の寒気といった軽いかぜ症状では漢方薬を使い分ける.
◎麻黄湯や根湯には発汗効果がある.
◎参蘇飲は虚弱で胃腸障害のある上気道症状に効果のある,高齢社会に優しい感冒薬である.
◎気うつぎみで,かぜ様症状を訴える場合は香蘇散がよい.
◎咳嗽に対する漢方薬は,まず乾性咳嗽と湿性咳嗽の違いで使い分ける.
◎寒冷に伴う咳嗽や咳嗽に随伴する後鼻漏,食欲不振,不眠,不安なども考慮して処方する.

循環器内科—動悸,浮腫

著者: 土倉潤一郎

ページ範囲:P.1158 - P.1163

Point
◎動悸,浮腫に対する漢方薬は基礎疾患よりも症状,性別,年代などを参考に選択することが多い.
◎西洋薬と漢方薬をバランスよく使い分ける,あるいは併用することが重要である.
◎効果不十分な場合には漢方薬を2剤併用する.

内分泌・糖尿病内科—肥満,糖尿病神経障害

著者: 牧俊允

ページ範囲:P.1164 - P.1168

Point
◎肥満者に漢方薬を処方する際は,体格や体質を考慮する.
◎防風通聖散はさまざまな副作用に注意を払う必要がある.
◎糖尿病神経障害による下肢のしびれや冷感の治療に牛車腎気丸は選択肢の1つになる.

神経内科—認知症,BPSD

著者: 井上博喜

ページ範囲:P.1170 - P.1175

Point
◎過活動型BPSDには抑肝散や黄連解毒湯がよく使用される.
◎低活動型BPSDには釣藤散や加味帰脾湯がよく使用される.
◎釣藤散や加味帰脾湯は中核症状の改善にも有効である.

心療内科—不安,抑うつ,不眠

著者: 千々岩武陽

ページ範囲:P.1176 - P.1184

Point
◎不安感に有効な漢方に,半夏厚朴湯,苓桂朮甘湯,柴胡加竜骨牡蛎湯がある.
◎抑うつに有効な漢方に,香砂六君子湯(香蘇散+六君子湯),柴胡桂枝乾姜湯,加味帰脾湯がある.
◎不眠に有効な漢方に酸棗仁湯,抑肝散,黄連解毒湯がある.
◎漢方薬を活用することで,向精神薬の使用量や頻度を減らすことも可能である.

耳鼻咽喉科—アレルギー性鼻炎,副鼻腔炎,めまい

著者: 石毛達也

ページ範囲:P.1186 - P.1189

Point
◎アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎では,まず麻黄含有処方の適否を判断する.
◎若中年で既往症がなく胃腸が丈夫であれば,小青竜湯,根湯加川芎辛夷の麻黄含有処方が候補となる.
◎高齢者や胃腸虚弱者,循環器疾患の既往,高血圧,腎障害,排尿障害,甲状腺機能亢進症の患者では麻黄を含有しない処方を中心に選択する.
◎めまいでは,水毒を改善する利水剤が有用である.
◎利水剤の適応患者では,悪天候時にめまいや頭重感など体調不良を訴えることが多く,めまい以外の随伴症状に着目して処方選択をする.

泌尿器科—頻尿,膀胱炎症状

著者: 津嶋伸彦

ページ範囲:P.1190 - P.1194

Point
◎八味地黄丸は前立腺肥大症への保険適用があり,頻尿のみならず前立腺肥大症におけるさまざまな症状に用いられる.
◎過活動膀胱に伴う頻尿には牛車腎気丸が選択肢の1つになる.
◎異常所見のない膀胱炎や,繰り返す膀胱炎では,猪苓湯・猪苓湯合四物湯や清心蓮子飲で症状が改善することがある.

整形外科—肩こり,腰痛

著者: 宮西圭太

ページ範囲:P.1196 - P.1200

Point
◎漢方が隆盛を極めた江戸時代の書物(古典)の記載が参考になる.
◎2〜3週間で痛みの改善を判定し,効果がないのに漫然と継続しない.
◎1つの漢方薬で効果不十分の場合,2つの漢方薬を併用することで相乗的に痛みを改善できることがある.
◎症例の特徴に沿って漢方薬を選択するが,精神的ストレスの問診も重要である.

産婦人科—月経前症候群,更年期障害

著者: 森瑛子 ,   小田口浩

ページ範囲:P.1202 - P.1206

Point
◎月経に関連する多彩な症状を漢方では「血の道症」と呼ぶ.
◎当帰芍薬散,加味逍遙散,桂枝茯苓丸は婦人科三大処方である.
◎体質に合わせて処方するため,月経前症候群も更年期障害も区別せず同じ処方が用いられる.

皮膚科—皮膚瘙痒症,湿疹

著者: 麻生悠子

ページ範囲:P.1207 - P.1211

Point
◎皮膚瘙痒症に,当帰飲子,八味地黄丸や牛車腎気丸を用いることで症状が軽減することがある.
◎湿疹には標準治療に漢方薬を加えると効果が得られる場合がある.
◎湿疹に対する代表的な漢方薬であり,蕁麻疹にも用いられることが多い消風散と十味敗毒湯について紹介する.

エキスパートに聞く! 漢方治療の極意

救急と漢方

著者: 南澤潔

ページ範囲:P.1212 - P.1216

Point
◎救急外来では即効性を意識して漢方薬を用いる.
◎漢方薬を効果的に効かせるには内服方法の指導も大切である.
◎漢方薬は対症療法として有用だが,「気剤」の活用も意外に便利である.
◎救急では,患者は必ずしも漢方を求めていないので無理はしない.

急性期病棟と漢方

著者: 加島雅之

ページ範囲:P.1218 - P.1221

Point
◎急性期でも現代医学では得られない効果が,漢方で期待できる.
◎簡単なポイントとなる所見を抑えることで漢方治療の効果が得やすくなる.
◎基本の処方とそのバリエーションを知ると幅広く対応できるようになる.

頭痛と漢方

著者: 來村昌紀

ページ範囲:P.1222 - P.1226

Point
◎呉茱萸湯は嘔気・嘔吐を伴う激しい頭痛のよい適応である.
◎片頭痛患者では,手足や心下の冷えが認められ,呉茱萸湯はこれに効果がある.
◎呉茱萸湯は頓服でも定期内服でも活用できるが,苦味を伴うため,初めて処方する際は試飲も有効である.
◎鎮痛薬の使用過多による頭痛では,漢方薬で鎮痛薬の減量・中止が期待できる.

膠原病と漢方

著者: 野上達也

ページ範囲:P.1228 - P.1232

Point
◎漢方薬は膠原病診療に有用であるが,個々の症例に応じて適切な処方を使い分ける必要がある.
◎漢方薬は,血中濃度に注意する必要があるDMARDs(disease modifying anti-rheumatic drugs)や免疫抑制薬の吸収や体内動態に影響する可能性がある.
◎膠原病患者に対して漢方治療を提供するには,膠原病を診療する医師と漢方医学に明るい医師とが協調して診療に当たるべきである.

高齢者疾患と漢方

著者: 田原英一

ページ範囲:P.1234 - P.1237

Point
◎漢方薬はサルコペニア・フレイルで問題となる消化吸収,血流改善・維持,そして不安といった心理的な要素にも働きかけることができる.
◎高齢者は代謝機能の低下により副作用が現れやすいため,漢方においてもポリファーマシーに注意する.
◎「黄」の文字がつく生薬,甘草,附子,山梔子は特に副作用に注意する.
◎高齢者が安全に服薬できるよう,飲ませ方の工夫なども必要である.

口腔症状と漢方

著者: 柿木保明

ページ範囲:P.1238 - P.1244

Point
◎漢方治療により全身のバランスが整うと,口腔内の症状が改善することもある.
◎西洋薬の副作用による口腔症状の緩和に漢方薬は有用である.
◎口腔症状や口腔疾患がストレスと関連していることも多く,この場合に漢方薬が功を奏すことがある.
◎漢方医学は加齢に伴う症状の緩和にも有効である.
◎漢方製剤の選択には,全身状態と口腔症状を関連付けて捉える必要がある.

緩和ケアと漢方

著者: 間宮敬子

ページ範囲:P.1246 - P.1251

Point
◎漢方薬は,西洋薬による治療では改善しない症状緩和に特に有用である.
◎緩和ケアに東洋医学的アプローチを取り入れると,全人的アプローチが容易となり診療の幅が広がる.
◎緩和ケアの患者の気持ちのつらさに対しても漢方治療が可能である.

漢方の副作用を知る

偽アルドステロン症—甘草に注意

著者: 吉野鉄大

ページ範囲:P.1252 - P.1257

Point
◎グリチルリチンそのものやその代謝産物がアルドステロン受容体に直接結合するわけではない.
◎遠位尿細管から皮質集合管局所でのコルチゾール代謝障害がアルドステロン作用を引き起こす.
◎偽アルドステロン症発症リスクは甘草高用量(2.5 g以上/日),高齢,低アルブミン血症,便秘,直接ビリルビン高値である.
◎漢方薬だからといって気軽に併用しない!

肝障害,間質性肺炎—黄芩に注意

著者: 五野由佳理

ページ範囲:P.1258 - P.1262

Point
◎肝障害および間質性肺炎を起こす漢方薬には,黄芩を含むものが多い.
◎肝障害を早期発見するために,無症状でも服用3カ月以内の血液検査を勧める.
◎肝障害は原因漢方薬の中止のみで改善することが多い.
◎間質性肺炎の早期発見には,発熱,乾性咳嗽,呼吸困難,SpO2,KL-6値が指標になる.
◎漢方薬の薬剤リンパ球刺激検査(DLST)の結果は,診断の根拠の1つになりにくい.

腸間膜静脈硬化症—山梔子に注意

著者: 永田豊

ページ範囲:P.1264 - P.1267

Point
◎腸間膜静脈硬化症は,漢方薬を長期間服用している症例で注意すべき副作用である.
◎比較的短期間でも累積使用量が多い症例で発生することがあり,注意が必要である.
◎腸間膜静脈硬化症は,初期は無症状であることが多い.
◎画像所見は,この病態を疑っていないと,見逃すこともある.

漢方とポリファーマシー

著者: 地野充時

ページ範囲:P.1268 - P.1272

Point
◎漢方治療導入により,西洋薬のポリファーマシーの改善が可能である.
◎随証治療を行うと,1つの漢方薬で複数の症状に対処可能である.
◎近年,漢方製剤がポリファーマシーの原因となっている(漢方薬ポリファーマシー).
◎近年,1人の患者に複数の医療機関から漢方製剤が処方される現象が見受けられる.
◎漢方教育(医学,薬学)を含め,漢方薬の適正使用について再考する必要がある.

付録

Index

ページ範囲:P.1273 - P.1277

〔あ〕
安中散(あんちゅうさん) (No. 5)
上腹部痛・消化不良 消化器内科① 1143

連載 読んだら,ちょいあて! POCUSのススメ・4

尿道カテーテルで困ったら

著者: 亀田徹

ページ範囲:P.1115 - P.1119

 高齢の男性患者で,尿道カテーテル挿入に難渋することは決して珍しくありません.陰茎を引き上げたり,ゼリーを外尿道口から注入したり,太いカテーテルや先端が屈曲したTiemann型カテーテルに替えてもうまくいかず,痛みや出血で患者に辛い思いをさせてしまうこともあります.今回はそんなときに役立つPoint-of-Care Ultrasound(POCUS)を使った手技を紹介します.
 
*本論文中、関連する動画を見ることができます(公開期間:2023年6月30日まで公開)。

ここが知りたい! 欲張り神経病巣診断・4

脳出血②錐体路障害と感覚障害

著者: 難波雄亮

ページ範囲:P.1278 - P.1282

 前回は錐体路障害を起こす症例の病巣診断について学びました.今回は,さらに感覚系の障害があるときにはどのように病巣を推定していくのかを考えていきます.錐体路と感覚経路の走行を想像して,どの部分で両経路が近くを走行するか考えてください.
 後半は抗血小板薬や抗凝固薬の内服中に発症した脳出血の対応について一緒に学びましょう!

目でみるトレーニング

問題988・989・990

著者: 浅見貴弘 ,   岩崎靖 ,   中島崇作

ページ範囲:P.1284 - P.1291

書評

—石井 均 編—誰も教えてくれなかった糖尿病患者の感染症診療—感染症合併例はココに気をつけて!

著者: 益崎裕章

ページ範囲:P.1185 - P.1185

 COVID-19パンデミックは日常生活の在り方を根本から大きく変え,あっという間にリモートワーク・オンライン・マスク着用・自粛生活が当たり前の風景になった.糖尿病診療においては制約の多い生活下,いかに上手に血糖コントロールを保ち,運動不足や食べ過ぎに陥らないようにできるか,新たな工夫や知恵が求められている.特に,COVID-19重症化要因として糖尿病に伴う血管障害がクローズアップされ,改めて感染症の底知れぬ脅威と重要性をすべての医療人が再認識することにもなった.
 新常態の時代に同期して,奈良医科大学医師・患者関係学講座 石井 均教授の編集による渾身の一作,『誰も教えてくれなかった糖尿病患者の感染症診療—感染症合併例はココに気をつけて!』が上梓された.母教室,京大第二内科の大先輩である石井先生をはじめ執筆陣の多くに日頃から私自身がご指導いただいている先生方が参画され,紙面のすみずみまで「実践的・アップデート・医療人と患者さんへの温かな眼差し」という3点が徹底されており,深い感銘を受けた.

—八重樫 牧人,佐藤 暁幸 監修 亀田総合病院 編—総合内科マニュアル第2版

著者: 矢野晴美

ページ範囲:P.1201 - P.1201

 現在,日本では,内科系診療の「コア」の部分を担当する専門診療科である「総合内科」または「総合診療科」のさらなる普及と確立が望まれている.総合内科は学会でもコンセプトの普及に尽力し,入院診療では病院総合内科,外来診療ではかかりつけ医としての役割などにおいても日本の実情に合わせた実働がなされつつある.総合診療科も,臓器横断的かつ体系性をもつ専門診療科として,少しずつ設置され普及してきている.本書は,総合内科・総合診療科が重要視され始めた2011年に初版が刊行された.その後10年を経過した2021年に,その改訂版が出されたことは,診療現場にとって朗報である.
 本書は,亀田総合病院で総合内科部長を務める八重樫牧人先生,佐藤暁幸先生が監修し,歴代の素晴らしい研修医,指導医の先生方がその力と思いを結集して編纂されたポケットマニュアルである.有数の老舗研修病院の優秀な若手医師,国内外で活躍している指導医が共著で執筆されている.世界で共有される良質な科学的なエビデンスと国内事情を加味した使いやすさが特徴である.特に注目したのは,「患者ケアの目標設定」,私の専門領域の「感染症」,「高齢者医療の原則」「疼痛緩和の原則」「ヘルスメンテナンス(健康増進)と予防」である.

—田代 志門 著—みんなの研究倫理入門—臨床研究になぜこんな面倒な手続きが必要なのか

著者: 森下典子

ページ範囲:P.1227 - P.1227

 臨床研究はよりよい治療法を開発するために欠くことができないプロセスであり,どうしても患者さんの協力を必要とするからこそ,研究を実施する際には倫理的配慮が求められます。しかし研究者のなかには,「どうしてこんなに面倒な手続きが必要なんだろう」と考える人もいるでしょうし,倫理審査委員会事務局(以下,事務局)では「この研究って,まるで日常診療のなかで実施するみたいに書いてあるし,よい面ばかり強調しているけど,患者さんを参加させても大丈夫なのかな?」などと,もやもやすることもよくあることです。
 そんなとき,自信をもってお薦めしたいのが本書です。本書は,臨床研究に携わる人なら誰もが迷い込みやすい「研究と診療の区別」「インフォームド・コンセント」「リスク・ベネフィット評価」「研究対象者の公正な選択」の四つのトピックスから構成されており,日常業務のなかで研究倫理が問題となる「ある,ある」とうなずくエピソードが満載です。3人の魅力的なキャラクターの会話を通して,私たちを正しい方向に導いてくれたり,道に迷わないようにするための術(考え方)を教えてくれたりしています。

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目次

ページ範囲:P.1120 - P.1122

読者アンケート

ページ範囲:P.1293 - P.1293

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.1294 - P.1295

購読申し込み書

ページ範囲:P.1296 - P.1296

次号予告

ページ範囲:P.1297 - P.1297

奥付

ページ範囲:P.1298 - P.1298

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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60巻12号(2023年11月発行)

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60巻10号(2023年9月発行)

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60巻9号(2023年8月発行)

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60巻7号(2023年6月発行)

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増刊号 探求!マイナーエマージェンシー

60巻3号(2023年3月発行)

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60巻2号(2023年2月発行)

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60巻1号(2023年1月発行)

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59巻13号(2022年12月発行)

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59巻12号(2022年11月発行)

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59巻11号(2022年10月発行)

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59巻10号(2022年9月発行)

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55巻11号(2018年10月発行)

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55巻10号(2018年9月発行)

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55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

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