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文献詳細

雑誌文献

medicina58巻9号

2021年08月発行

文献概要

特集 日常診療で内分泌疾患を見逃さない! 代表的内分泌疾患 【下垂体疾患】

【Column】非特異的症候を契機に疑う下垂体機能低下症の診断のポイント

著者: 桒田博仁1 高橋裕1

所属機関: 1奈良県立医科大学糖尿病・内分泌内科学講座

ページ範囲:P.1382 - P.1384

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 下垂体は前葉と後葉から成り,前葉からは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),甲状腺刺激ホルモン(TSH),黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH),プロラクチン(PRL),成長ホルモン(GH)の6種,後葉からはバソプレシン(抗利尿ホルモン)とオキシトシンの2種が分泌される.下垂体機能低下症において,ホルモンの標的臓器は全身であるため症状が多岐にわたり,「不定愁訴」と捉えられることも少なくない.また,低ナトリウム(Na)血症や好酸球増多,低血糖などの非特異的な検査異常が下垂体機能低下症と診断されるきっかけになることも珍しくない.
 下垂体ホルモンのうちACTH,TSHは生命維持に必須であるが,LH/FSH,GHについても“その人らしさ”や気力・体力,QOLの維持にきわめて重要であり,的確に診断・治療を行う必要がある.特に中枢性副腎不全による副腎クリーゼは,治療を誤ると致命的なので見逃してはならない.本稿では,そのような非特異的症候を契機に疑う下垂体機能低下症(前葉ホルモン分泌不全)およびバソプレシン分泌不全による中枢性尿崩症の診断のポイントについて概説する.

参考文献

1)Higham CE, et al:Hypopituitarism. Lancet 388:2403-2415, 2016
2)Yanase T, et al:Diagnosis and treatment of adrenal insufficiency including adrenal crisis;A Japan Endocrine Society clinical practice guideline[Opinion]. Endocr J 63:765-784, 2016
3)厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班(研究代表者:有馬 寛)(編):間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂),2019 http://square.umin.ac.jp/kasuitai/sick02.html(2021年6月閲覧)
4)日本内分泌学会(編):内分泌代謝専門医研修ガイドブック,診断と治療社,2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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