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文献詳細

雑誌文献

medicina58巻9号

2021年08月発行

文献概要

特集 日常診療で内分泌疾患を見逃さない! 代表的内分泌疾患 【甲状腺疾患】

【Column】甲状腺機能低下症とnonthyroidal illnessの鑑別

著者: 田上哲也1

所属機関: 1国立病院機構京都医療センター内分泌・代謝内科

ページ範囲:P.1403 - P.1405

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nonthyroidal illnessとは
 nonthyroidal illness(NTI)は心不全,腎不全,肝硬変,糖尿病,摂食障害,悪液質など全身の消耗性疾患において高頻度に伴う甲状腺ホルモンの異常である(表1).すなわち,甲状腺疾患以外の疾患が原因で甲状腺機能に異常をきたす病態であり,厳密には甲状腺機能低下症ではない.全身のエネルギー代謝を抑制(エネルギー消費を節約)するための生体反応として,サイロキシン(T4)が非活性型のリバーストリヨードサイロニン(reverse T3:rT3,非活性型甲状腺ホルモンで,現在測定はできない)に転換されることによる1)
 ICU患者の70%に血清T3や遊離T3(FT3)の低下を認めたという報告がある.そして全身状態の悪化(基礎疾患の重篤化)に伴ってT4や遊離T4(FT4)も低下してくる(図1)2).甲状腺刺激ホルモン(TSH)は正常であることが多いが,低値ないし軽度上昇する場合もある(生物活性の低いTSHの増加による).

参考文献

1)Wiersinga WM, Van den Berghe G:Nonthyroidal illness syndrome. Braverman LE, David Cooper DS(ed):Werner & Ingbar's The Thyroid;A fundamental and clinical text(10th ed), pp203-217, Lippincott Wikkiams & Wilkins, Philadelphia, 2013
2)Slag MF, et al:Hypothyroxinemia in critically ill patients as a predictor of high mortality. JAMA 245:43-45, 1981

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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