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特集 クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬—糖尿病治療の新しい潮流
扉
著者: 津村和大1
所属機関: 1川崎市立川崎病院病態栄養治療部
ページ範囲:P.10 - P.11
文献購入ページに移動 わが国の糖尿病医療の歩みを振り返ると,それぞれの時代に抱えていた困難や課題を克服すべく,医学研究,医療者教育,市民啓発などに多くの力が注がれてきたことがわかります.昭和の時代には,適切な診断に基づく疾患概念の共有が進み,高い未受診率を改善するための健康教育も各地で展開されました.平成の時代に入ると,血糖マネジメント水準と慢性合併症の関連性を示す大規模臨床研究の成果やEBM(evidence-based medicine)の概念が臨床医の間で広く共有されるようになりました.糖尿病治療薬が数多く上市されたのもこの時代です.良い血糖マネジメントの必要性が認知された時期に,これを達成するための新しい治療薬を手に入れることができたのは,患者にとっても,医療者にとっても幸運なことでした.
その一方で,指導と治療のばらつきが顕在化してきたのも事実です.増加の一途を辿る糖尿病患者に必要な医療を届けるために推進された地域連携体制の構築過程で,予想以上に大きな診療内容の違いが可視化されました.近年は,認知症・サルコペニア・フレイル・低栄養などの老年症候群と多彩な合併症・併存症を抱える高齢者糖尿病のマネジメント,そしてこれに応えるための,質の高い多職種連携なども求められています.
その一方で,指導と治療のばらつきが顕在化してきたのも事実です.増加の一途を辿る糖尿病患者に必要な医療を届けるために推進された地域連携体制の構築過程で,予想以上に大きな診療内容の違いが可視化されました.近年は,認知症・サルコペニア・フレイル・低栄養などの老年症候群と多彩な合併症・併存症を抱える高齢者糖尿病のマネジメント,そしてこれに応えるための,質の高い多職種連携なども求められています.
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