文献詳細
書評
—丹羽 潔,武藤 芳照 著—頭痛外来ガイド—エキスパート解説&専門医も驚くトリビア 便利なセルフチェック付 フリーアクセス
著者: 西山和利1
所属機関: 1北里大学医学部脳神経内科学
ページ範囲:P.453 - P.453
文献概要
大学病院に勤める評者は外来で最も多い主訴の1つが頭痛であると学生に教えている.しかし本邦では頭痛を専門にしている大学医局や大学教授は決して多くはなく,頭痛だけで会社や学校を休むことは容易ではないのが日本社会の現状である.日本の頭痛が「たかが頭痛」と言われるゆえんである.しかし実際には頭痛の診断は難しく,時として治療も難しい.脳神経内科専門医である評者ですらそのように感じるのである.一次性頭痛の診断には,この検査で陽性ならこの診断といった簡単な診断のレールは敷かれていないのが一因である.が,よくわからないからと頭痛薬を盲目的に多用していると薬剤乱用性頭痛という泥沼にはまっていく.また頭痛を主訴として来院した患者が,その後の検査で生命にかかわる怖い頭痛,すなわち二次性頭痛,であったと判明して肝を冷やした脳神経内科医や脳神経外科医は少なくないはずである.しかも本邦には頭痛に苦しむ患者さんは実に4,000万人もおられ,頭痛のために社会が負う損失は日本だけでも毎年3,000億円以上である.つまり「たかが頭痛」と軽んじられてはいるが,実は「されど頭痛」なのである.
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