icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina59巻3号

2022年03月発行

文献概要

特集 成人が必要とするワクチン—生涯を通した予防接種の重要性 Column

オミクロン変異に対するワクチンの有効性

著者: 氏家無限1

所属機関: 1国立国際医療研究センター国際感染症センター

ページ範囲:P.517 - P.517

文献購入ページに移動
 2021年11月24日に南アフリカ共和国から世界保健機関(WHO)に報告された新たな新型コロナウイルスの変異体,B.1.1.529(オミクロン)は,2021年12月末までの評価においては,上気道でのウイルス増幅能が高く,伝播性はデルタ変異ウイルスと同等,過去の感染やワクチン接種によって誘導された免疫からの逃避能をもつことから,これまでの流行以上に短期間で感染者数が急増し,ワクチン接種後のブレイクスルー感染が生じやすいと報告されている1)
 英国での評価報告ではファイザー製ワクチン接種から2〜4週間後の発症予防効果は約60%であり,15週間後以降では20%未満に低下するとされる1).有効性の高いmRNAワクチンであっても,2回の接種での発症予防効果を維持できる期間は限定的であるが,各製薬企業によれば,ブースター接種を受けることでオミクロン変異ウイルスに対する抗体価はファイザー製ワクチンで約25倍,モデルナ製ワクチンで約37倍に上昇するとされる.英国の暫定的な評価においても,ファイザー製ワクチンのブースター接種2〜4週間後の発症予防効果は約70%となり,10週以上経過すると45%まで低下する.また,モデルナ製ワクチンでも同様に接種後に約75%に改善し,9週間後までは効果を維持できるとされる.これらのことから,各国はブースター接種を急いでおり,欧米中心に2回目接種から4〜5カ月後のブースター接種が推奨されるようになった.また早期にブースター接種を導入したイスラエルのように高齢者や免疫不全者に対して,4回目の新型コロナウイルスワクチンの接種を開始した国も認められる.

参考文献

1)United Kingdom(UK), Health Security Agency(HSA):SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing 33;Update on hospitalization and vaccine effectiveness for Omicron VOC-21NOV-01, 2021. https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1044481/Technical-Briefing-31-Dec-2021-Omicron_severity_update.pdf(2022年1月閲覧)
2)Shirley C, et al:Effectiveness of BNT162b2 vaccine against Omicron variant in South Africa. N Engl J Med, 2021[Online ahead of print]

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?