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文献詳細

雑誌文献

medicina59巻6号

2022年05月発行

文献概要

特集 ジェネラリストの羅針盤—医学部では教わらなかった28のクエスチョン Column

そもそも,なぜ人間にとって医療が必要なのか?

著者: 細谷辰之1

所属機関: 1福岡県メディカルセンター保健・医療・福祉研究機構

ページ範囲:P.845 - P.847

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最初の逡巡
 「人間にとって医療が必要である」と断言できる根拠を見出すのは容易ではない.命あるものは例外なく死に至るのであって,「必ず訪れる死を少しばかり先延ばしにしたから何だ」という問いに,誰もが納得できる解を提示できる知力は筆者にはない.しかし,あらゆる生物の営みが,死を免れないのにもかかわらず,生きようとする意思に満たされているように見えることは,死とうまく付き合う方法の一つとして医療が存在する意義は,ありそうだ.また,医療の果たす役割は,死を先延ばしにすることだけにとどまらない.苦痛を緩和し,障害の程度を和らげ,「死」を迎えるまで続く「生」をより快適なものにする「力」が期待できる.「生」とは何か? 「死」とは何か? この問いに戸惑いながら本稿を進めたい.

参考文献

1)田中成明:現代法理学.有斐閣,2011
2)N. ルーマン(著),村上淳一,六本佳平(訳):法社会学.岩波書店,1977
3)日本医師会総合政策研究機構:日本の医療のグランドデザイン2030.日本医師会総合政策研究機構,2019
4)Wilson EO:Genesis;The Deep Origin of Societies, Livertight, Norton, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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