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書評
—清水 隆裕 著—外来で診る—“わかっちゃいるけどやめられない”への介入技法—動機づけ面接入門編
著者: 尾藤誠司1
所属機関: 1東京医療センター総合内科
ページ範囲:P.1243 - P.1243
文献購入ページに移動 自分を含めて,医師など医療の専門家が患者さんの行動変容を促そうとするとき,絶望的なコミュニケーション不全に陥ることがしばしばあります.そして,この「絶望的なコミュニケーション不全」の源泉にある医療者側の考えとして,「A.自分は正しいことを正しく相手に伝えた → B.相手は私のメッセージを正しく理解し,私のメッセージに従ってふるまってくれるはずである」という思い込みがあると私は考えています.残念ながら,実際のコミュニケーションの場面ではAとBは一致することはめったにないですし,ほとんどの場合その二つは大きくかけ離れています.なぜその二つは大きくかけ離れるのか? その一つは,メッセージはそれなりに工夫しなければ相手にちゃんと受け取ってもらえないということ,もう一つは,自律的な存在である大人は,受け取ったメッセージをそのまま行動に移すということはしないということです.私自身も,このことを理解し,臨床で活用できるようになるまでかなりの年月を必要としました.この年月の中で「動機づけ面接法」というスキルに出合い,実に実効性の高い理論と実践技法に感心した記憶があります.
外来で患者さんに対して「行動変容」の支援を行う場面としては,喫煙習慣や食生活への介入,あるいはゲーム依存などの依存習慣への介入などが想定されます.依存症については,最近よく聞かれることとして「『ダメ,絶対』ではダメ」というメッセージがありますが,おそらく,今までのヘルスケア専門家は「ダメ,絶対」という以外にスキルを持っていなかったのかもしれません.動機づけ面接法の外来診療における応用は,「『ダメ,絶対』ではダメ」の時代において,患者さんの意識や行動に関わろうとする医療者に必須のスキルだと思います.
外来で患者さんに対して「行動変容」の支援を行う場面としては,喫煙習慣や食生活への介入,あるいはゲーム依存などの依存習慣への介入などが想定されます.依存症については,最近よく聞かれることとして「『ダメ,絶対』ではダメ」というメッセージがありますが,おそらく,今までのヘルスケア専門家は「ダメ,絶対」という以外にスキルを持っていなかったのかもしれません.動機づけ面接法の外来診療における応用は,「『ダメ,絶対』ではダメ」の時代において,患者さんの意識や行動に関わろうとする医療者に必須のスキルだと思います.
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