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特集 不安を自信に変える心電図トレーニング—専門医のtipsを詰め込んだ50問
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著者: 髙麗謙吾1
所属機関: 1小倉記念病院循環器内科
ページ範囲:P.1414 - P.1415
12誘導心電図はよく行われる検査であるが,その波形を読むことは簡単ではない.不整脈専門医として心電図読影を依頼される筆者自身も,諸先輩方に読影の相談をすることは少なくない.本音を述べると,不安をなくして自信をもちたいのは筆者自身である.元々苦手意識をもっていた自分のことを振り返ってお話しすると,心電図への苦手意識が強い場合には,あまり最初から細部の読影にこだわり過ぎないことをお勧めする.頻脈か徐脈か,頻脈であればQRS波形が幅広いか狭いか,徐脈であればP波とQRS波の関係はどうか,QRS波の軸や胸部誘導の連続性はどうか,胸部症状のある患者であればST変化がないか,それくらいで十分である.目を皿のようにして眺めれば急性肺血栓塞栓症を見逃さないというものでもない.また心筋梗塞の診断もリスク因子の有無や心エコー所見と併せて判断しているのに,さも心電図だけで診断がついたように自信たっぷりに「STが上がっている」と言ってしまっていることもある.心電図は不整脈診断においてはゴールドスタンダードだが,その他の心疾患においては診断ツールの1つに過ぎない.しかも,その1つひとつの所見は白黒がはっきりせず,グレーな所見ということもある.
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