icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina6巻10号

1969年10月発行

文献概要

診断のポイント

線溶活性

著者: 佐藤智1

所属機関: 1東京ダイハツビル診療所

ページ範囲:P.1117 - P.1118

文献購入ページに移動
 線溶という略語が,日本の医学界で通用しはじめてから久しく,これに関連する研究発表は枚挙にいとまがないが,臨床面では意外に測定されていないのはなぜだろうか.
 全身紫斑を伴う出血でかつぎこまれた患者の血漿に,トロンビンを加えて凝固させたものが翌朝にとけてしまい(線溶活性亢進),抗プラスミン剤の大量投与で,紫斑も,血尿も,口腔内出血も直ちに消失してしまった症例をみては,線溶に興味をもたざるをえない.このようにドラマティックでなくても,特発性腎出血で苦しむ人に,また月経前期に毎月喀血,血痰を出す婦人に線溶活性亢進をみとめ,抗プラスミン剤投与で"血をみなくなる喜び"をともに味わうときに線溶に心ひかれる.線溶活性は出血のみならず,アレルギーに,炎症に,ホルモンに,動脈硬化に,いろいろな分野に関連をもつ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?