icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina6巻10号

1969年10月発行

文献概要

臨床メモ

下痢—むつかしい扱い方

著者: 松島富之助1

所属機関: 1愛育病院保健指導部

ページ範囲:P.1159 - P.1159

文献購入ページに移動
 "1日3-4回の下痢をしているので,ミルクを少なくし,離乳食も中止しているのですが,いっこうによくならないのです……"という訴えを聞くことが多い.熱もなければ,機嫌もよくて,食べたくてキーキー声をあげて泣きわめいている乳児である.下痢止めをもらってもあまり効果がなく,2週間から1カ月ぐらいもこんな症状が続いているというのである.
 これは明らかに逆な治療方法と思われる.空腹になった腸や胃は激しい蠕動運動を起こし,腸の粘膜からは濃い粘膜が分泌されるので,"空腹による下痢"を誘発してくる.黒みがかった粘液便でしかも量は少ないが,粘液便があると"消化不良症"の便と古い教科書や育児書に書いてあるので,病気扱いされて,食餌制限を受けがちである.しかも機嫌が悪いのは,空腹によるものではなくて,一般状態が悪いためと解釈されることがしばしばである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?