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治療のポイント
減感作療法—アレルゲンエキスの使い方と注意
著者: 野口英世1
所属機関: 1昭和大内科
ページ範囲:P.1362 - P.1363
文献購入ページに移動減感作療法の意義
減感作療法という場合には,当然抗原抗体反応に基づく疾患を対象とし,特異的という意味で,従来より行なわれている非特異的変調療法については本稿ではふれない.
特異的という意味からも本療法の前提となるのはいうまでもなくアレルゲンの決定であり,このためには詳細な問診を始めとし,皮膚反応,粘膜反応,誘発試験,除去試験などを行なうことが必要であり,検査の不徹底が好結果を得ない原因との反省も報ぜられている1).アレルゲンが明らかな場合はできるだけこれに接しないようにする.これだけで軽快することも多く(たとえば職業性喘息‐ホヤ喘息),ために大局的にみてアレルゲンの発見除去は本療法に優先する.その理由は1)減感作療法は長期間の治療を要するが,アレルゲンの除去の方がはるかに簡単な場合も多い.2)減感作療法はアレルゲンエキスの種類によっては稀に重篤な全身症状を誘発することがあるが,アレルゲンの除去はアレルゲンが多数の食品にわたるような場合の栄養障害を除いては特別の障害をきたさない.3)一度獲得した過敏性でも,必ずしも永続的ではなく,アレルゲンを除去して再感作を防いでいると,該アレルゲンに対する過敏性はやがて消失あるいは減退する.しかしながら,室内塵や花粉のごとき吸入性抗原による喘息やアレルギー性鼻炎などにおいてはアレルゲンの除去は長期的に望むべくもなく,このような場合には本療法が実施される.
減感作療法という場合には,当然抗原抗体反応に基づく疾患を対象とし,特異的という意味で,従来より行なわれている非特異的変調療法については本稿ではふれない.
特異的という意味からも本療法の前提となるのはいうまでもなくアレルゲンの決定であり,このためには詳細な問診を始めとし,皮膚反応,粘膜反応,誘発試験,除去試験などを行なうことが必要であり,検査の不徹底が好結果を得ない原因との反省も報ぜられている1).アレルゲンが明らかな場合はできるだけこれに接しないようにする.これだけで軽快することも多く(たとえば職業性喘息‐ホヤ喘息),ために大局的にみてアレルゲンの発見除去は本療法に優先する.その理由は1)減感作療法は長期間の治療を要するが,アレルゲンの除去の方がはるかに簡単な場合も多い.2)減感作療法はアレルゲンエキスの種類によっては稀に重篤な全身症状を誘発することがあるが,アレルゲンの除去はアレルゲンが多数の食品にわたるような場合の栄養障害を除いては特別の障害をきたさない.3)一度獲得した過敏性でも,必ずしも永続的ではなく,アレルゲンを除去して再感作を防いでいると,該アレルゲンに対する過敏性はやがて消失あるいは減退する.しかしながら,室内塵や花粉のごとき吸入性抗原による喘息やアレルギー性鼻炎などにおいてはアレルゲンの除去は長期的に望むべくもなく,このような場合には本療法が実施される.
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