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文献詳細

雑誌文献

medicina6巻2号

1969年02月発行

文献概要

診断のポイント

みのがされている甲状腺機能亢進症

著者: 入江実1

所属機関: 1東大中尾内科

ページ範囲:P.171 - P.172

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意外に見落としと誤診の多い本症
 甲状腺機能亢進症の診断は比較的やさしいと考える人が多いのではないかと思う。たしかに教科書的な,典型的な臨床症状,すなわち①甲状腺の腫大,②動悸,多汗,ふるえ,やせなどで代表される甲状腺ホルモン過剰分泌による症状,③眼球突出その他の眼症状,の3つがそろっている場合には,診察にきた患者を一目みただけで,いわゆるBlickdiagnoseで診断をつけることもできる.しかしこれらの症状は必ずしも全部出そろっているわけではない.甲状腺腫大も場合によっては大してめだたない場合があり,また注意してみないと甲状腺腫大を見落とすこともある、ホルモン過剰による症状も患者によっては著明でなく,漠然とした自覚症状のみを訴えることもあるが,逆にある1つの症状だけがきわめて誇張された形で現われることもある.眼球突出は患者の半数以上において欠如するので,それがなくとも本症の診断を否定する根拠とはならない.ただし眼球突出のない患者でも,大きく見開いた目,下を向かせた時に眼球結膜部が残るいわゆるグレーフェの症状などは存在しうる、今日の考えではこれらの症状は眼球突出とは原因を異にし,甲状腺ホルモン過剰に起因する眼瞼のスパスムスによると考えられている.
 以上のような理由から非定型的な甲状腺機能亢進症の症例は意外に多く,過去10数年の甲状腺外来における私の経験でも,相当数このような例に遭遇している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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