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EDITORIAL
Banti症候群—概念と歴史的考察
著者: 日野志郎1
所属機関: 1東京逓信病院内科
ページ範囲:P.521 - P.521
文献購入ページに移動 100年あまりまえ,Griesingerが脾性貧血を白血病から区別した.弟子のGretselがそれを報告(1866)したが,溶血性黄疸やポジキン病をまだ鑑別しえなかった.Banti(1894)はそれらを除外して,今日のいわゆるBanti病の概念をまとめあげた.臨床的には,Bantiの述べた病像と経過に一致する原因不明の疾患をみることはまれでないが,組織学的には必ずしもBantiのいう線維腺症(Fibroadenie)を呈しない.摘脾して組織像をみないとBanti病の診断がつけられないということもあるので,臨床的にはBanti症候群といっておくのが便利である.
一方では脾臓機能亢進症という概念がうちだされ,Doanら(1946)やDameshekら(1947)が強く主張した.そのうち原発性のものはおよそBanti症候群に一致するけれども,その定義からすると,摘脾が良効を奏し正常血液像に戻らねばならない,やはり,摘脾の結果をみてからでないと診断できないことになる脾臓の機能がまだよくわかっていないことを考えあわせると,この診断名を用いるのにはためらいを感ずる.
一方では脾臓機能亢進症という概念がうちだされ,Doanら(1946)やDameshekら(1947)が強く主張した.そのうち原発性のものはおよそBanti症候群に一致するけれども,その定義からすると,摘脾が良効を奏し正常血液像に戻らねばならない,やはり,摘脾の結果をみてからでないと診断できないことになる脾臓の機能がまだよくわかっていないことを考えあわせると,この診断名を用いるのにはためらいを感ずる.
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