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文献概要
連載 医学古書を紐解く・1【新連載】
古書から何を学ぶか—『危く誤診せんとした経験集』『最終講義』『誤診』
著者: 綿貫聡1
所属機関: 1東京都立多摩総合医療センター救急・総合診療科
ページ範囲:P.192 - P.195
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私が診断エラーに関心を抱いた一番最初のきっかけは,初期研修医の頃から愛読していた福井大学の寺澤秀一先生の『研修医当直御法度—症例帖』(三輪書店)の中に描かれていた「症例経験の振り返りから何を学ぶか?」という視点だったように思う.
こうした本が過去にもあったのだろうかと思い調べてみると,かなり昔まで遡ることができ,1937年に医界展望社という出版社から『危く誤診せんとした経験集』(梅室純三,金原作輔 編)という症例集が出版されていた1).目次には「心臓喘息を気管支喘息に」「血液培養陰性のチフス患者」「診断に先入観は禁物」といった,現代でも発生しかねない症例が並んでいる.各著者は「こういった経験は,他の人にも起こり得るのではないか」という意識で自験例を紹介されていた.
私が診断エラーに関心を抱いた一番最初のきっかけは,初期研修医の頃から愛読していた福井大学の寺澤秀一先生の『研修医当直御法度—症例帖』(三輪書店)の中に描かれていた「症例経験の振り返りから何を学ぶか?」という視点だったように思う.
こうした本が過去にもあったのだろうかと思い調べてみると,かなり昔まで遡ることができ,1937年に医界展望社という出版社から『危く誤診せんとした経験集』(梅室純三,金原作輔 編)という症例集が出版されていた1).目次には「心臓喘息を気管支喘息に」「血液培養陰性のチフス患者」「診断に先入観は禁物」といった,現代でも発生しかねない症例が並んでいる.各著者は「こういった経験は,他の人にも起こり得るのではないか」という意識で自験例を紹介されていた.
参考文献
1)梅室純三,金原作輔(編):危く誤診せんとした経験集,医界展望社,1937
2)沖中重雄:最終講義,実業之日本社,1963
3)永井友二郎,他(編):人間の医学シリーズ3 誤診,医学書院,1967
4)Singh H, et al:Recommendations for using the Revised Safer Dx Instrument to help measure and improve diagnostic safety. Diagnosis(Berl)6:315-323, 2019
5)Schiff GD, et al:Diagnosing diagnosis errors;Lessons from a multi-institutional collaborative project. (In)Henriksen K, et al(eds):Advances in Patient Safety;From Research to Implementation(Vol. 2;Concepts and Methodology), pp 255-278, Agency for Healthcare Research and Quality, Rockville, 2005
6)Croskerry P, et al:Cognitive debiasing 2;Impediments to and strategies for change. BMJ Qual Saf Suppl 2:ii65-ii72, 2013
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