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雑誌目次

雑誌文献

medicina60巻10号

2023年09月発行

雑誌目次

特集 ミミッカー症例からいかに学ぶか

著者: 綿貫聡

ページ範囲:P.1570 - P.1571

 今回は「ミミッカー症例からいかに学ぶか」のタイトルで特集を組ませていただいた.経験を積んだ臨床医であれば,臨床現場で診断に困難さを感じた経験があるのではないだろうか.今回の特集では,医療現場でのミミッカー症例の経験と振り返りを共有し,臨床医の診断の質の向上,診断エクセレンス(diagnostic excellence)につなげていくことを目的としている.
 Mimicker(ミミッカー)はmimic(まねる)という動詞から派生した用語であり,医療現場においては症状や経過,臨床所見が似ている疾患群のことをミミッカーと呼ぶことがある.正しい診断をつけるためには,疾患の典型像を認識しているだけでは足りない部分が確実に存在する.非典型な病像のパターンを含めて疾患スクリプト(illness script)を広げていくことは診断推論に熟達するうえで有用な方略である.

特集を読む前に あなたの理解度チェック!

ページ範囲:P.1572 - P.1575

●今月の特集執筆陣による出題です.さまざまな疾患・症候の鑑別に関する理解度をチェックしてみましょう!

座談会

ミミッカーに騙されないための方略とは

著者: 國松淳和 ,   佐田竜一 ,   綿貫聡

ページ範囲:P.1576 - P.1583

今回はミミッカーの全体像を理解するにあたり,診断に対して対照的なアプローチの軸をお持ちのお二人の先生にお越しいただきました.診断エラーを回避するためのミミッカーの活用法,失敗症例を振り返る際に重視されていること,初学者に対して診断の上達方法を指導する際のポイント,dual process therory(二重過程理論)におけるsystem 1/system 2への理解,自身の“利き感覚”を把握することの重要性など,幅広くお話をいただいています.(綿貫)

各論:思い出のミミッカー症例

クモ膜下出血が否定できればそれでOK?

著者: 長野広之

ページ範囲:P.1584 - P.1587

暫定診断が想起されるまで
 寒さも厳しくなってきた12月末,片頭痛の既往のある25歳女性が頭痛を主訴に救急外来を受診した.寒い部屋に入った瞬間に突然右側頭部をバットで殴られたような激しい頭痛が出現したとのことだった.今までの片頭痛は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の頓服で対応可能だったが,本日の頭痛は痛みの程度や発症様式が異なっていた.悪心・嘔吐や麻痺,痙攣,意識消失,しびれ,構音障害,嚥下障害,めまい,頸部痛,閃輝暗点などは病歴上認めなかった.身体診察でも項部硬直や麻痺,筋力低下,しびれ,失調,脳神経症状など特記すべき所見を認めなかった.突発発症の激しい頭痛から救急外来の医師はクモ膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)を疑い,頭部CTを施行した.出血を疑う高吸収域や動脈瘤を疑う病変は認めなかった.まだSAHは否定できないと考えた救急医師により髄液検査が施行されたが,白血球上昇や糖の減少,キサントクロミーは認めなかった.右側頭部に拍動性の頭痛が残存していたが,ジクロフェナクナトリウム坐薬で改善したため,片頭痛の診断で帰宅となった.頭痛は改善したが,第2病日にトイレで腹部に力を入れた際に突発的な激しい頭痛が再度出現した.その後ジクロフェナクナトリウム坐薬を8時間ごとに使用したが,薬の切れるタイミングで頭痛は増悪した.年末に差し掛かるタイミングでもあり,しばらく自宅で様子を見たがその後も頭痛は一時的に改善するも増悪を繰り返した.第4病日に再度救急外来を受診した.頭部CTと頭部MRIが撮影されたが,異常を認めなかった.しかし痛みが強く入院加療となった.片頭痛との診断で入院後,スマトリプタンが使用されたが頭痛は改善しなかった.

慢性多関節炎で騙しにきた偉大なるあの疾患

著者: 松尾祐介

ページ範囲:P.1588 - P.1592

暫定診断が想起されるまで
症例 30代男性
主訴 多関節痛

徐々に進行する意識障害をきたす脳炎といえば?

著者: 阪下健太郎

ページ範囲:P.1594 - P.1597

暫定診断が想起されるまで
症例 70歳男性
主訴 意識障害

原因不明のイレウス!?

著者: 中野弘康

ページ範囲:P.1598 - P.1602

暫定診断が想起されるまで
症例 30歳,男性.
主訴 右下腹部痛

真っ黒な壁のその奥に……

著者: 矢吹拓

ページ範囲:P.1604 - P.1607

暫定診断が想起されるまで
症例 92歳男性
 Alzheimer型認知症があり5年ほど前から寝たきり状態で,長男の嫁が自宅で介護している要介護5の超高齢男性.2年ほど前から誤嚥性肺炎による入退院を繰り返すようになり,1年前に肺炎で入院した際に経口摂取ができなくなった.認知症のため本人の明確な意向は確認できなかったが,人工栄養について家族と相談し胃瘻を造設して経管栄養を行うことを選択された.介護体制を整えて退院して自宅療養を継続したところ,半年ほど前に仙骨部に褥瘡が発生した.ドレッシング材や軟膏による創処置,除圧を行ったが,排泄物汚染などから徐々に悪化し,黒色壊死を伴う状態となった.自宅では壊死組織の外科的デブリードマンが困難であり,1週間前から発熱を認めるようになった.褥瘡周囲の発赤があったことから,褥瘡感染の疑いで抗菌薬が開始された.しかし,その後も発熱が遷延し,仙骨部褥瘡および褥瘡感染に対する入院治療が必要と判断され,総合病院皮膚科に紹介受診となった.

診断はつかなくても治療できていました

著者: 伊藤裕司

ページ範囲:P.1608 - P.1610

暫定診断が想起されるまで
症例 36歳女性
主訴 体動困難

どうせまたコロナでしょ! と思ったら……

著者: 木村武司

ページ範囲:P.1612 - P.1615

暫定診断が想起されるまで
症例 18歳女性
主訴 左手関節痛

治らない褥瘡

著者: 岡田佳子 ,   濱井彩乃

ページ範囲:P.1616 - P.1620

暫定診断が想起されるまで
症例 79歳女性
主訴 左下腿の潰瘍,痛み

リンパ腫の再発!?

著者: 清水郁夫

ページ範囲:P.1621 - P.1623

暫定診断が想起されるまで
症例 74歳女性
主訴 発熱,咳嗽

口が開かないのは裏庭で顎をぶつけたから…?

著者: 佐々木陽典

ページ範囲:P.1624 - P.1627

暫定診断が想起されるまで
症例 65歳女性(ガス会社職員)
主訴 腰痛,歩行困難,開口障害

多彩な臓器障害が随伴する遷延性発熱は“SSALT”!?

著者: 上原孝紀 ,   籏原昌志 ,   李宇

ページ範囲:P.1628 - P.1632

症例
60代女性
紹介理由 発熱,腎機能障害,下痢,血便の原因検索

それってホントに片頭痛!?

著者: 関根萌 ,   菅野裕樹 ,   高田俊彦

ページ範囲:P.1633 - P.1637

暫定診断が想起されるまで
症例 30代女性
主訴 頭痛,悪心,左眼の違和感

「知っている」「理解している」「できる」には大きな隔たりがある

著者: 東光久

ページ範囲:P.1638 - P.1641

暫定診断が想起されるまで
症例 78歳女性
主訴 繰り返す発熱,両側頸部リンパ節腫脹

CIDPかと思ったが治療への反応がイマイチ……さて何を考える?

著者: 土肥栄祐

ページ範囲:P.1642 - P.1645

暫定診断が想起されるまで
症例 40歳女性
主訴 持続する感覚障害

診断がつかないときにどうするか

著者: 松原知康

ページ範囲:P.1646 - P.1650

暫定診断が想起されるまで
症例 18歳女性,右利き
主訴 右母指が動かしにくい

頭痛+発熱+意識障害=髄膜炎?

著者: 西村拓人 ,   柳秀高

ページ範囲:P.1652 - P.1655

暫定診断が想起されるまで
症例 40代男性
病歴 特記すべき既往歴のない40代男性.入院8日前から頭痛・悪心・嘔吐が出現し近医を受診した.ウイルス性上気道炎の疑いとしてアセトアミノフェンが処方されたが,頭痛は改善せず次第に悪化してきた.入院当日に妻が話しかけても「はい」としか返答しなくなり,心配した妻が救急要請し当院へ搬送された.発熱,意識障害を認め精査加療目的に入院となった.

高齢者でもB19Vを忘れることなかれ……

著者: 鈴木森香

ページ範囲:P.1656 - P.1660

 血管炎は迅速な診断が必要ですが,さまざまな疾患がミミッカーとなるため鑑別が重要です.ウイルス感染症もミミッカーとなり,さまざまなタイプの血管炎様症状を呈することがあります1).ヒトパルボウイルスB19(human parvovirus B19:B19V)感染症は,小児では「伝染性紅斑(りんご病)」の原因として広く知られていますが,成人が罹患すると皮疹や関節痛などさまざまな全身症状を引き起こすため,自己免疫疾患との鑑別が必要になる場合があります2)
 高齢男性が「発熱,倦怠感,網状皮斑(リベド),下腿浮腫,下肢のしびれ」という主訴で来院し,炎症反応上昇と腎障害もあることから,初診時に顕微鏡的多発血管炎を疑い精査を行いましたが,経過中に症状が自然軽快し,結果的にはB19V感染症であった症例について考察を加えて紹介します.

「初めての尿管結石」にご用心

著者: 大髙由美

ページ範囲:P.1661 - P.1663

暫定診断が想起されるまで
症例 60代男性
主訴 左側腹痛

好意的な議論により診断が“変身”!?

著者: 竹之内盛志

ページ範囲:P.1664 - P.1667

暫定診断が想起され,治療後に増悪するまで
症例 78歳男性(高血圧の既往あり,ADL自立)
 これは筆者,いや筆者らにとって大切な思い出の患者のお話である.

馬鹿にならない疾患です

著者: 玉井道裕

ページ範囲:P.1668 - P.1672

暫定診断が想起されるまで
症例 82歳男性
主訴 左下肢の浮腫と疼痛

起床時に発症した下垂足といえば!?

著者: 原田拓

ページ範囲:P.1673 - P.1675

暫定診断が想起されるまで
症例 76歳男性
主訴 右足が上がらない

“To be radiated or not to be, that is the question”(放散痛か,そうでないのか,それが問題だ)

著者: 鈴木智晴

ページ範囲:P.1676 - P.1679

暫定診断が想起されるまで
症例 68歳女性
主訴 上腹部痛

転倒歴があるから圧迫骨折?

著者: 本郷舞依

ページ範囲:P.1680 - P.1683

暫定診断が想起されるまで
症例 89歳女性(要支援2)
主訴 転倒後の腰痛

知っていることも時に罪

著者: 三澤美和

ページ範囲:P.1684 - P.1689

暫定診断が想起されるまで
症例 76歳男性.
10年以上,高血圧・脂質異常症,肺気腫にて通院していた.既往歴に68歳のとき胃癌があり,規模の大きい総合病院で幽門側胃切除術を受けていたが術後経過は良好で,食事摂取なども問題なく経過していた.妻を亡くしており一人暮らしで,現在は無職である.75歳のときから1年以上続く倦怠感,肩が凝る感じを主訴にX年Y月,当院総合診療科に紹介されてきた.酸素飽和度を含むバイタル所見,一般的な採血やX線検査では大きな異常がなかった.日中の倦怠感や時々感じる肩や首の緊張症状以外は特に症状がなく,夜間良眠,食欲も十分あり体重減少もみられなかった.もともと性格的に非常に几帳面で細かいことを気にするところがあり,診察時には多くの質問や症状の説明に終始し診察時間が予定より長引くことも多くあった.総合診療医としては,「パッとみてわかる疾患」以外に隠れているものがないかを探す必要があると考え,甲状腺機能低下,副腎皮質機能低下,悪性腫瘍の除外などを行った.採血や負荷試験でも特記すべき異常は見つからず,上部消化管内視鏡検査,便潜血検査,胸部〜骨盤部の単純CT検査でも大きな異常がなかった.またうつ状態などの精神疾患も否定的だったが,症状の原因を究明することに関してはやや強迫的な面もみられた.

外科的急性腹症にしては変…?

著者: 佐藤直行

ページ範囲:P.1690 - P.1694

暫定診断が想起されるまで
症例 21歳男性
主訴 腹痛,嘔吐

治らない「免疫不全者」の虫垂炎

著者: 塚田訓久

ページ範囲:P.1695 - P.1698

暫定診断が想起されるまで
症例 20代男性
主訴 虫垂炎が治らない(前医からの相談)

発熱と下腿潰瘍と紫斑でリウマチ科に来たら…?

著者: 山本真理

ページ範囲:P.1699 - P.1701

暫定診断が想起されるまで
症例 46歳男性
主訴 下腿潰瘍

若年女性の“胃腸炎”は要注意

著者: 河東堤子

ページ範囲:P.1702 - P.1705

暫定診断が想起されるまで
症例 15歳女性
主訴 左側胸部痛

発熱があるからといって,詳しい問診は「さけて」通れない

著者: 吉田英人

ページ範囲:P.1706 - P.1708

暫定診断が想起されるまで
症例 91歳男性
主訴 発熱,体動困難

連載 ローテクでもここまでできる! おなかのフィジカル診断塾・18

—便の色を見よう その1—消化管出血のフィジカル—マグロにこだわりすぎた男性

著者: 中野弘康

ページ範囲:P.1561 - P.1565

 これまで腹痛や腹部膨満などを中心にご紹介してきました.今回は消化管出血のフィジカル=その名の通り“便の色を見よう“というタイトルでお届けします.およそ5年前に経験した症例です.

知らないとヤバい! リウマチ・膠原病のアレやコレ・1【新連載】

関節リウマチ治療中のヤバい病態 その①「血球減少」

著者: 猪飼浩樹

ページ範囲:P.1710 - P.1717

 この連載では,リウマチ・膠原病診療における緊急病態,知っておかないと重篤な状態となりうる事象などについて取り扱う.
 リウマチ・膠原病診療は専門性が高い面もあるが,専門医を受診していない患者も少なくない.その背景には,専門医が少ない地域性の問題や,高齢などの理由で専門医への通院が困難であるなどの多くの要因がある.
 今回は,関節リウマチ治療中に注意すべき病態である「血球減少」について解説していきたい.

明日から主治医! 外国人診療のススメ・6

外国人を診るときに知っておきたい制度

著者: 冨田茂

ページ範囲:P.1718 - P.1723

CASE
総合診療科の研修医(萌)と指導医(南)が外来で…
萌)南先生,今外来に来ている外国人の患者さん,どこも具合が悪くないのに「疾患がないか調べてほしい」と言っています.
南)理由は聞いたの?
萌)「日本に来て5年になるけれど,一度も検査を受けたことがないから心配だ」と言っています.外国人だから自費で人間ドックを受けてもらいましょうか.
南)外国人か日本人かは関係ないよ.この人の保険は国民健康保険だから,特定健診を案内して.受診券をなくしていたら市役所に行けば再発行してもらえるから.

ERの片隅で・6

わたしはAIになれないし、AIもわたしにはなれない

著者: 関根一朗

ページ範囲:P.1724 - P.1725

 救急搬送が途切れ、珍しく救急外来に静けさが訪れた。天井のスピーカーからは、普段は流れていることすら気づかれない優雅なBGMが聞こえてくる。研修医は関根に話しかけた。「ChatGPTって知っていますか? ChatGPTに医師国家試験を解かせてみたら合格基準を超えていたらしいですよ!」関根は診察室の無影灯を拭き掃除しながら研修医に応える。「もはや知識ではAIに勝てないだろうね。医者は淘汰されずに生き残れるかな?」研修医は電子カルテの一覧に新たな患者が受付されたのを確認しながら「人間らしく、優しさで勝負します!」と鼻息を荒くする。関根はにやりとしながら続ける。「でも、ChatGPTと医師を比べて、質問への回答の質はもちろん、共感力すらChatGPTが医師よりも高評価だったなんて報告もあるよね。そもそも医師のコミュニケーション能力ってのは、みんなが期待してるほど高くないのかもね。」研修は聴診器を握りしめて立ち上がる。「そうなんですか?! いつかAIに職を奪われるかもです…。とりあえず、いま来た患者さんを診てきます!」
 病歴聴取を終えた研修医が関根のところに駆けてくる。「56歳女性、主訴は腹痛です。検査の方針の相談です。昨日から右下腹部痛が持続しています。昨日近医受診し、胃腸炎の疑いとして内服処方されています。今朝、他のクリニックを受診し、血液検査を受けて異常ありませんでした。症状改善なく、今日の午後、さらに他のクリニックを受診し超音波検査を受けて、やはり異常なかったようです。あとは造影CTで精査するしかないと思うのですが、それでいいでしょうか?」関根は診察室に向かって歩き始め、「次の検査を考える前に、一緒に診察をしてみよう。」と応える。

医学古書を紐解く・9

オスラー博士から日野原先生へ受け継がれていく“平静と情熱の心”【前編】—Osler W. 『Aequanimitas』/日野原重明,仁木久恵(訳)『平静の心』

著者: 陶山恭博

ページ範囲:P.1726 - P.1728

 医学界には,教師,開業医よりもはるかに書物を珍重する別人種の人間が存在する.数は少なく派手な発言はしないが,彼らは実質的に医師全体に多くの感化を及ぼすパン種である.
 出典は日野原重明先生の著書『平静の心』1),原著はご存じ,ウィリアム・オスラー博士(Sir William Osler)による『Aequanimitas』2)だ.「医学古書を紐解く」という本連載にぴったりなこのコトバが記されているこの2冊について,2回にわたり紹介させていただきたい.

事例から学ぶ 糖尿病のコーチングマインド・2

承認〜『承認』から始める〜

著者: 佐藤文彦 ,   金子由梨 ,   石井均

ページ範囲:P.1729 - P.1733

症例提示
50代前半男性,1型糖尿病,トラック運転手(身長175cm)
病歴:30代半ばに1型糖尿病と診断されたときから,インスリン頻回療法開始となった.しかし,当初より自己注射や通院自体の実行度が低く,HbA1c高値が続いていた.独り暮らしで,食事は不規則.マヨネーズをたくさんかけたり,清涼飲料水を3L飲んだり,甘いものを好きなだけ食べたりして,1日3000kcal程度と過剰にエネルギー摂取をしていた.
 しかしながら,毎回外来では,インスリン注射の打ち忘れはないと回答.低血糖になると仕事に支障が出るので,インスリン量は増やしたくないとのこと.このため,HbA1c 12〜15%程度で推移.ただ,体重が60kg弱と,発症時より10kg以上減ってしまっている.

ここが知りたい! 欲張り神経病巣診断・27

手がしびれる! 脳梗塞?—手の末梢神経障害①/手根管症候群の症状・原因・経過

著者: 難波雄亮

ページ範囲:P.1734 - P.1739

 「手がしびれる」という主訴で受診される患者さんはたくさんいます.患者さんが心配するのは,圧倒的に脳卒中です.たしかに中心後回や視床の病変のように,単発の脳梗塞で手のしびれをきたすケースはあります.しかし,丁寧に病歴聴取と神経診察を行えば無駄に頭部の画像を撮影せずに済みます.今回はその一例を一緒に勉強していきましょう.

目でみるトレーニング

問題1066・1067・1068

著者: 岩崎靖 ,   石瀬裕子 ,   市村尚之

ページ範囲:P.1740 - P.1745

書評

—安部 正敏 著—ジェネラリストのためのこれだけは押さえておきたい皮膚外用療法

著者: 宮地紘樹

ページ範囲:P.1651 - P.1651

 皮膚科学はジェネラリストにとって重要な分野であり,日々の診療において多くの患者が皮膚トラブルに直面している.そのため,皮膚疾患に対する適切な外用療法を知っておくことは,ジェネラリストにとってきわめて有益と言える.
 本書は,皮膚科臨床現場の第一線で活躍する著者が,ただ知識を共有するだけにとどまらず,ジェネラリストの立場を深く理解したうえで内容構成したものとなっている.そのためすぐに現場で使えるという点においては,ほかの教科書とは一線を画するものである.

—窪田 忠夫 著—急性腹症の診断レシピ—病歴・身体所見・CT

著者: 高田俊彦

ページ範囲:P.1709 - P.1709

 ジェネラリストを標榜する身としては,主訴を選り好みしてはいけないのかもしれない.しかしここだけの話,私は腹痛の診療が好きである.そして私が腹痛の診療に魅了されるようになったのは,本書の著者である窪田忠夫先生にその基礎を徹底的にたたき込んでいただいたからにほかならない.
 腹痛の診療はとにかく奥深い.CTへのアクセスに恵まれた今日の診療では,鑑別診断をあれこれ考えなくてもCTを撮れば診断がつくことも多い.しかし,一方で病歴や身体所見といった,よりベーシックな情報に立ち返らない限り,正しい診断にたどりつくことのできないケースも少なくないのである.そして恐ろしいことに,そのような疾患のなかには診断の遅れが致命的となるものが含まれている.

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目次

ページ範囲:P.1566 - P.1568

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.1746 - P.1747

購読申し込み書

ページ範囲:P.1748 - P.1748

読者アンケート

ページ範囲:P.1749 - P.1749

次号予告

ページ範囲:P.1750 - P.1751

奥付

ページ範囲:P.1752 - P.1752

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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60巻13号(2023年12月発行)

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55巻13号(2018年12月発行)

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55巻11号(2018年10月発行)

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55巻10号(2018年9月発行)

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55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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