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文献詳細

雑誌文献

medicina60巻11号

2023年10月発行

文献概要

増大号特集 患者さんの質問にどう答えますか?—言葉の意味を読み解きハートに響く返答集 診療編 〈診察・検査〉

Question 35 健診で測った腫瘍マーカーの値が少し高いと言われました.がんではないでしょうか?

著者: 奈良江梨子1 公平誠1

所属機関: 1公平病院

ページ範囲:P.1861 - P.1863

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ひとまず返答
 健診の腫瘍マーカーが高いことが,必ずしもがんであるとは限りません.腫瘍マーカーは,がんの種類によって特徴的に産生される物質であり,がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られます.がん細胞の数や,がん細胞が産生する物質の量が多くなると値が高くなるため,腫瘍量が少ない早期がんではほとんど血中に増加せず,健診において有用性の確立した腫瘍マーカーはありません.一方,加齢や喫煙,感染症,糖尿病など良性疾患でも異常値となることがあるため,腫瘍マーカーはあくまでもがん診断の補助として活用されるべきであり,がんかどうかは画像検査などほかの検査と合わせて医師が総合的に判断します.

参考文献

1)日本泌尿器科学会HP:PSAが高いと言われた https://www.urol.or.jp/public/symptom/08.html(2023年6月閲覧)
2)日本肝臓学会:肝癌診療ガイドライン2021年版,金原出版,2021
3)Sturgeon CM, et al:Serum tumour markers;How to order and interpret them. BMJ 339:852-858, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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