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雑誌目次

雑誌文献

medicina60巻12号

2023年11月発行

雑誌目次

特集 内科医が遭遇する皮膚疾患フロントライン—「皮疹」は現場で起きている!

著者: 田口詩路麻

ページ範囲:P.2010 - P.2011

 「皮膚疾患は難しい」と研修医は嘆く.僕は「見ればわかるさ.こんなにスピーディーで安価な科はないよ」と嘯(うそぶ)く.
 内科医や研修医の皆さん,本誌を手に取っていただき,深謝いたします.本誌をたまたま購読されている方もいるかもしれませんが,本特集を読もうとしていただいているなかには「皮膚疾患が大好き!」という方はごく少数で,「皮膚科はよくわからない.外来・病棟で患者や看護師に相談されるものの,よくわからん」という消極的な理由も多いと推察いたします.

特集を読む前に あなたの理解度チェック!

ページ範囲:P.2012 - P.2016

●今月の特集執筆陣による出題です.皮膚疾患に関する理解度をチェックしてみましょう!

総論 皮膚科医に相談する「その前に」

皮膚科医の思考を先取りし,押さえるべき情報とは?—コンサルテーションでは7つのポイントが重要!

著者: 田口詩路麻

ページ範囲:P.2018 - P.2020

◆お詫び◆
弊誌60巻12号(2023年11月号)に掲載した本論文は,同じ執筆者による株式会社羊土社発行の『レジデントノート』20巻9号(2018年9月号)「皮膚トラブルが病棟でまた起きた! 研修医がよく遭遇する困りごとトップ9から行うべき対応と治療,コンサルトのコツを身につける!」に掲載された下記論文と同じ内容であり,無断転載であったことが発行後に判明いたしました.
・田口詩路麻:皮膚科医に相談するその前に.レジデントノート 20:1463-1471,2018
https://store.isho.jp/search/detail/productId/1804896750
 
株式会社羊土社および関係者の皆様,そして読者の皆様に大変ご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます.今後はこのような事態を防止するために,弊社制作過程における確認作業を徹底してまいります.
(株式会社医学書院)
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よいコンサルテーションをするうえで押さえておきたい7つのポイント
 皮膚科に相談した場合,皮膚科医はどのような点に注目し,診断・治療につなげているのか? 本稿では皮膚科医の思考を紐解き,内科医の先生方がコンサルテーションを依頼する際に最低限押さえておくべきポイントをお伝えする.
 皮膚科は眼科とともに,他科からのコンサルテーションが多い診療科である.そもそも皮膚は医療スタッフのみならず,患者本人からもよく見える箇所である.患者の皮膚に何か異常があれば,それが訴え・情報として担当医師に伝わり,皮膚科にコンサルテーションされることになる.また相談される側のわれわれも,多くの場合は視診のみで一定の助言もできるため,気軽に受けて対応できる強みもある.

皮膚科医に伝える! 研修医や他科の医師でも記載できる「皮疹」表現—5つの要素を踏まえて表現する

著者: 田口詩路麻

ページ範囲:P.2021 - P.2026

◆お詫び◆
弊誌60巻12号(2023年11月号)に掲載した本論文は,同じ執筆者による株式会社羊土社発行の『レジデントノート』20巻9号(2018年9月号)「皮膚トラブルが病棟でまた起きた! 研修医がよく遭遇する困りごとトップ9から行うべき対応と治療,コンサルトのコツを身につける!」に掲載された下記論文と同じ内容であり,無断転載であったことが発行後に判明いたしました.
・田口詩路麻:皮膚科医に相談するその前に.レジデントノート 20:1463-1471,2018
https://store.isho.jp/search/detail/productId/1804896750
 
株式会社羊土社および関係者の皆様,そして読者の皆様に大変ご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます.今後はこのような事態を防止するために,弊社制作過程における確認作業を徹底してまいります.
(株式会社医学書院)
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 筆者は研修医に指導するときに,皮疹の表現についてどう教えたらよいかいつも迷う.「皮疹の情報をうまく書いて伝えられるようになりたい」と言ってくれるのはとても嬉しいが,それは容易ではない.また「皮疹をしっかり伝えたい.正確に記載したい」という思いをもつ非専門医も多いだろう.経験が多少必要な部分もあるが,表現の種類が多いことや皮膚科特有の微妙なニュアンスがあることから,なかなか他科の先生には馴染めないところもあるのかもしれない.
 そこで本稿では「研修医や他科の医師がこれくらいできれば大丈夫」というラインを決め,覚える皮疹をある程度絞って「すべては無理だけど,これくらいはできるとカッコいい」と思える基本的な皮疹表現を学んでいただければと思う.

たかがステロイド外用薬,されどステロイド外用薬—どう使い分け,どう使用する?

著者: 田口詩路麻

ページ範囲:P.2027 - P.2030

◆お詫び◆
弊誌60巻12号(2023年11月号)に掲載した本論文は,同じ執筆者による株式会社羊土社発行の『レジデントノート』20巻9号(2018年9月号)「皮膚トラブルが病棟でまた起きた! 研修医がよく遭遇する困りごとトップ9から行うべき対応と治療,コンサルトのコツを身につける!」に掲載された下記論文と同じ内容であり,無断転載であったことが発行後に判明いたしました.
・田口詩路麻:研修医も知っておくべき! ステロイド外用薬.レジデントノート 20:1479-1487, 2018
https://store.isho.jp/search/detail/productId/1804896750
 
株式会社羊土社および関係者の皆様,そして読者の皆様に大変ご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます.今後はこのような事態を防止するために,弊社制作過程における確認作業を徹底してまいります.
(株式会社医学書院)
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 皮膚科治療の最も大きな柱,それは外用薬である.本稿では,特に使用疾患が広く内科医でも処方可能なステロイド外用薬について,皮膚科医でなくとも知っておくべき基本的知識と注意点をまとめた.
 ステロイド外用薬は優れた抗炎症作用をもち,アトピー性皮膚炎やかぶれなどの湿疹・皮膚炎群のみならず,虫刺されなどの小児が日常罹患する炎症性皮膚疾患の治療に広く用いられる.皮膚科医以外でも頻用する薬剤であるため,強さの分類(以下,ランク)や部位による使い分け,長期使用時に懸念される局所性副作用など,ステロイド外用薬特有の注意点を理解する必要がある.

Column 皮膚科部長の独り言

皮膚科に相談する前にしてもいいこと,ダメなこと① やけどの水疱は潰すべきだろうか? 何もしないほうがよいだろうか?

著者: 田口詩路麻

ページ範囲:P.2031 - P.2031

結論
 小さな水疱なら周囲をよく洗って清潔に保ち,水疱はそのままでよい.大きな水疱で痛みを伴っていたら,水疱は潰さずにシリンジと18G針を用いて内容液を除去するとよい.

皮膚科に相談する前にしてもいいこと,ダメなこと② 本当に「水虫」? 見た目で判断してもよい? 処方するならステロイド外用薬?

著者: 田口詩路麻

ページ範囲:P.2032 - P.2032

 夏場は「足が痒い」と訴える患者が増加する.そう,湿気が多い時期は「足白癬」,いわゆる「水虫」を発症する人が増える.
 水虫と判断する際に,以下のようなことがしばしば言われる.

実践ケーススタディ よく遭遇する皮膚の困りゴト

全身が赤くなった—季節の変わり目に増悪した紅皮症

著者: 市川彩夏 ,   山中恵一

ページ範囲:P.2033 - P.2036

症例情報 40代男性.幼少時より全身の湿疹を繰り返している.高血圧症,糖尿病のため近医内科に通院中.湿疹に対して,内科で漢方治療のみ行っている.X年12月に湿疹が増悪し,翌年3月に皮疹はさらに増悪を認め,紅皮症の状態となった(図1).皮疹のコントロールや他疾患の鑑別目的に,皮膚科専門医を紹介された.
検査値 WBC:12,500/μL(Eo:28.7%),LDH:604U/L,CRP:0.92mg/dL

全身が赤くなった—薬剤中止後も遷延する発熱と皮疹

著者: 水野雄斗 ,   渡邉裕子 ,   山口由衣

ページ範囲:P.2037 - P.2041

症例情報 60代女性.三叉神経痛に対して,カルバマゼピン(テグレトール®)の内服を開始した.その4週間後より,38℃台の発熱と腹部の紅斑が出現し,四肢体幹に拡大した.カルバマゼピンを中止したが,薬剤中止後も発熱が持続し皮疹が増悪するため,総合病院へ紹介となった.
初診時現症:体温38.5℃.顔面の浮腫と紅斑を認め,眼囲は蒼白であった(図1a).四肢体幹におろし金状のざらざらした紅斑を認めた(図1b,c).紅斑は癒合傾向を示し,一部紫斑が混じていた.皮膚に瘙痒や疼痛などの自覚症状なし.眼球結膜に軽度充血あり.口腔内や陰部にびらんや水疱形成なし.血液検査の結果は以下の通り.
検査値 WBC 12,700/μL(neu 47%,lymph 29.5%,aty-lym 15%,mono 7.0%,eos 16.5%,baso 0%),RBC 319×104/μL,Hb 13g/dL,plt 37.2×104/μL.TP 4.9g/dL,Alb 3.1g/dL,AST 74U/L,ALT 256U/L,ALP 509U/L,γ-GT 662U/L,総ビリルビン1.8mg/dL,直接ビリルビン1.0mg/dL,BUN 21mg/dL,Cr 0.42mg/dL,LDH 437U/L.

関節が痛くなった—爪甲の観察が重要

著者: 安田正人

ページ範囲:P.2043 - P.2046

症例情報 50代男性.2カ月前から出現した手指や足趾の疼痛を主訴に来院した.疼痛は起床時に強く,仕事をしていると徐々に改善してくる.痛みを伴う部位は変動する.受診時,右示指や中指のdistal interphalangeal(DIP)関節に軽度の発赤や腫脹,圧痛がみられた(図1).また,数年前から爪の変化も自覚していた.

下肢に「赤い発疹」が出た—先行して上気道症状がみられる

著者: 小西里沙 ,   沖山奈緒子

ページ範囲:P.2047 - P.2050

症例情報 50代男性.初診3週間前に上気道症状あり.初診1週間前より両下腿に紫斑や膝関節痛が出現した(図1).近医受診したところ,皮膚科を受診するように勧められた.
血液検査を行ったところ,結果は以下の通り.
検査値 WBC:8,800/μL,CRP:1.24mg/dL,IgA:440mg/dL,PR3-ANCA:<1.0U/mL,MPO-ANCA:<1.0U/mL,クリオグロブリン:陰性

四肢に「赤い発疹」が出た—上気道炎治療後に出現した両側下腿の発疹

著者: 松村裕

ページ範囲:P.2051 - P.2054

症例情報 40代女性.一般事務職.2週間前に感冒症状と38℃台の発熱があったためかかりつけ内科を受診したところ,上気道炎と診断され,解熱鎮痛薬と抗菌薬を処方された.1週間後の再診時には解熱し,上気道症状も改善したため内服を終了した.しかし,3日前より両側下腿に疼痛を伴う皮疹が出現し(図1),37℃台の発熱と関節痛も出現したため再診した.
検査値 WBC:9,460/μL(好中球75.6%),CRP:3.3mg/dL,抗ストレプトリジン-O抗体(ASLO):450U/mL,リウマトイド因子:陰性,A群溶血性レンサ球菌(初診時咽頭培養):陽性

水疱が出現した—多発する水疱やびらん,紅斑で何を想起する?

著者: 氏家英之

ページ範囲:P.2055 - P.2058

症例情報 40代男性.初診4カ月前から頭部に水疱・びらんが生じ,その後皮疹は前額部や前胸部,上背部,足趾に拡大した(図1).近医を受診し,抗菌薬内服で加療されるも症状改善せず,精査・加療目的に紹介受診した.
既往歴:2年前から2型糖尿病で治療中.

水疱が出現した—全身に小水疱が散在している

著者: 川内康弘

ページ範囲:P.2059 - P.2062

症例情報 50代男性.初診の5日前から左腰腹部に痛痒い感覚が出現し,4日前からは同部の紅斑と小水疱も生じた(図1).さらに38℃の発熱があり,痛みも増強してきたため,近医皮膚科を受診した.診察の結果,腰背部だけでなく全身に小水疱が散在しており,入院加療目的に当院を紹介受診した.
検査値 WBC:6,800/μL,CRP:4.2mg/dL,Cr:1.31mg/dL,eGFR:39.3mL/分/1.73m2

水疱が出現した—手掌足底がガサガサ赤くなって膿をもってきた

著者: 古田淳一

ページ範囲:P.2064 - P.2068

症例情報 40代女性.30代から手が荒れやすく,かかりつけ医が手湿疹としてステロイド外用薬で治療し,軽快していた.昨年から手掌の紅斑が広範囲となって過角化と膿疱を伴い,足底にも角化性紅斑を生じるようになった(図1).いずれも痛痒さを伴い,特に膿疱のできはじめに強く感じる.また,前胸部や臀部の広い範囲に痛みがあり,身体を動かすのがつらくなってきた.
検査値 CRP:1.5mg/dL,ASO・RF・抗CCP抗体・抗核抗体:陰性
画像所見 骨シンチグラフィー:胸鎖関節,胸肋関節,仙腸関節に異常集積(図2),骨盤MRI:仙腸関節付近の仙骨に高信号域〔冠状断,short TI inversion recovery(STIR)〕(図3)

全身が痒い—場所を変えて出現する膨疹

著者: 水野隼登

ページ範囲:P.2069 - P.2072

症例情報 36歳女性.1カ月前から特に誘因なく,瘙痒を伴う地図状の浮腫性紅斑,膨疹が躯幹・四肢に出没するようになった.紅斑は一度出現すると2時間程度で跡形もなく消褪するが,場所を変えて出現する(図1).特定の食物摂取との関連は思い当たるものがない.

全身が痒い—強い痒みを伴う発疹

著者: 神﨑美玲

ページ範囲:P.2073 - P.2076

症例情報 90代女性.老人介護保健施設に入所中.数週間前より,全身に痒みを伴う発疹が出現した(図1).ステロイド外用と抗ヒスタミン薬内服を行ったが改善せず,強い痒みで夜も眠れない.
検査値 肝・腎機能異常なし.

全身が痒い—全身に瘙痒と皮疹が出現した透析患者

著者: 大矢和正

ページ範囲:P.2077 - P.2080

症例情報 70代男性.既往に糖尿病があり,糖尿病性腎症による腎機能低下のため血液透析をしている.初診の数週間前から全身に瘙痒と皮疹(図1)が出現したため,かかりつけの糖尿病内科で相談したところ,皮膚科専門医を受診するように勧められた.

顔にニキビができた?—尋常性痤瘡,酒皶,酒皶様皮膚炎

著者: 林伸和

ページ範囲:P.2081 - P.2084

症例情報 20代女性.中高生からニキビができていたが,大学生になり軽快していた.大学を卒業して就職してから再びニキビができるようになり(図1),スキンケアには十分配慮して,睡眠もとるようにしている.近医でニキビの薬ももらって指示通り外用しているが,よくならないため,専門医を受診した.

顔にニキビができた?—抗がん薬治療中に出現した発疹

著者: 並川健二郎

ページ範囲:P.2085 - P.2087

症例情報 60代女性.主婦.初診2週間前から非小細胞肺がんに対してがん専門病院の呼吸器内科で抗がん薬治療が開始された.初診5日前より顔面や前胸部などに丘疹が出現し,徐々に増悪した(図1).呼吸器内科で外用抗菌薬を処方されたが改善せず,皮膚科専門医を受診するように勧められた.

発熱と発疹—下腿発赤に出現した紫斑や水疱

著者: 白築理恵 ,   山﨑修

ページ範囲:P.2089 - P.2092

症例情報 70代女性.施設入所中であり,2型糖尿病で内服治療中である.当院初診の3日前に左下腿の発赤が出現し,同日嘱託医により蜂窩織炎と診断され,抗菌薬の内服が開始された.治療開始後,左下腿の発赤は改善せず,紫斑や水疱が出現し,疼痛も増強したため,壊死性筋膜炎が疑われて当院を紹介受診した(図1).
初診時臨床所見:JCS(Japan Coma Scale)0,体温39.2℃,血圧94/56mmHg,心拍数92回/分.
血液検査 WBC 17,350/μL(Neuro 86.0%),Hb 8.1g/dL,PLT 21.0×104/μL,AST 28IU/L,ALT 22IU/L,Cr 0.78mg/dL,BUN 11.7mg/dL,Na 129mEq/L,K 4.5mEq/L,CK 80IU/L,CRP 12.5mg/dL,PCT 0.12ng/mL,血糖76mg/dL,HbA1c 5.4%,ASO 29IU/mL.

発熱と発疹—山歩き後に出現した全身の発疹

著者: 遠藤瑠璃子

ページ範囲:P.2093 - P.2096

症例情報 60代男性.初診17日前に山歩きをしていた.初診10日前に37℃後半の発熱があり,前医で感冒薬を処方されたが解熱しなかった.初診前日に前医を再度受診した際には全身の発疹を指摘され,皮膚科専門医を受診するように勧められた.
皮疹 体幹や四肢に5〜10mmの淡紅色の辺縁不整な紅斑が多発していた(図1a)1).全身をくまなく観察すると,左下腿内側に3cmの発赤を伴う黒色痂皮がみられた(図1b)1).体温37.3℃で,全身倦怠感がある.また,全身のリンパ節腫脹があった.血液検査の結果は以下の通り.
検査値 WBC:19,600/μL,CRP 16.6mg/dL,AST 58IU/L,ALT 50IU/L

各論 内科医が診る皮膚疾患:初期対応とコンサルテーション

皮膚筋炎—爪囲の所見をよく確認する!

著者: 藤本学

ページ範囲:P.2098 - P.2100

症例情報 70代男性.2カ月前から顔面や手,体幹,四肢に痒みを伴う紅斑が出現してきた(図1).1カ月前から倦怠感を自覚している.

強皮症—皮膚症状を手がかりに診断を進める

著者: 遠藤雪恵

ページ範囲:P.2101 - P.2104

症例情報 45歳女性.初診の6年前にRaynaud現象と手指の皮膚の硬化を自覚した.かかりつけ医を受診し経過観察の方針だったが,半年前より顔面の皮膚の硬化と口の開きにくさを自覚した.その後急速に皮膚硬化が悪化したため,当科を紹介受診した(図1).

円形脱毛症—診断のポイント

著者: 福山雅大 ,   大山学

ページ範囲:P.2105 - P.2108

症例情報 20歳男性.3カ月前に抜け毛の多さと脱毛斑を自覚した(図1).他院にてステロイド外用薬を処方されて塗布するも改善せず,当院皮膚科を受診した.

アトピー性皮膚炎—ステロイド外用薬を中心とした外用治療を基本に

著者: 石井良征 ,   乃村俊史

ページ範囲:P.2109 - P.2111

症例情報 30代男性.小学生の頃に四肢屈曲部に湿疹が出現した.その後も湿疹を繰り返していたが,1カ月前から仕事が多忙になり,皮疹が悪化したため受診した.皮膚の広範囲に色素沈着と苔癬化を認める(図1).

爪白癬・足白癬—確定診断できない場合には治療を行わずにコンサルト!

著者: 常深祐一郎

ページ範囲:P.2113 - P.2118

症例情報 症例1 57歳男性.糖尿病に罹患している.数年前より右足第1指の爪が濁ってきた(図1).最近,爪が分厚くなってきたので,糖尿病の主治医に相談した.
症例2 36歳男性.特に既往歴はない.スポーツジムに通っているが,最近足の裏に水ぶくれができ,皮膚が剝けてきた(図2)ので,水虫を心配して皮膚科を受診した.

梅毒—手掌や足底,体幹に散在する痒みのない紅斑

著者: 加藤雪彦

ページ範囲:P.2119 - P.2124

症例情報 20代男性.10日前から体幹に自覚症状のない紅斑が出現し(図1)1),増えてきたため来院した.

皮膚カンジダ症・脂漏性皮膚炎—間擦部位の紅斑なら前者,脂漏部位の紅斑なら後者を想起

著者: アマデアル亜琵

ページ範囲:P.2125 - P.2127

症例情報 症例1
82歳女性.1カ月前から足趾間の紅斑と瘙痒を自覚して皮膚科を受診した.右第1足趾間に浸軟した鱗屑を伴う紅斑があった(図1).検鏡にて多数の糸状菌と胞子の集塊を認め,皮膚カンジダ症と診断された.
症例2
66歳男性.1年前から顔の赤みと痒みを自覚して皮膚科を受診した.眉間〜両眉部,両鼻翼脇〜両頰に淡黄色の鱗屑を付す紅斑があった(図2).皮疹の分布と性状から,脂漏性皮膚炎と診断された.

巻き爪・陥入爪—短期的・中長期的な治療を分けて考える

著者: 桑原大樹

ページ範囲:P.2128 - P.2131

症例情報 50歳女性.2週間前から歩行時に右第1趾の疼痛を自覚した(図1).以前はアンカーテーピングで痛みは改善していたが,改善しないため当院受診となった.

皮膚悪性腫瘍(基底細胞癌)—母斑や脂漏性角化症,悪性黒色腫,尋常性疣贅,壊疽性膿皮症などとの鑑別を!

著者: 石月翔一郎

ページ範囲:P.2132 - P.2135

症例情報 85歳女性.7年前に右鼻翼に腫瘤を自覚し徐々に増大した.近医皮膚科を受診したところ,基底細胞癌が疑われ,当院皮膚科を紹介受診した.右鼻翼にドーム状に隆起した黒褐色腫瘤があり,デルマトスコープではlarge blue-gray ovoid nests(大型青灰色卵円形胞巣),multiple blue-gray globules(多発性青灰色小球),arborizing vessels(不規則に分岐する樹枝状血管)の所見を認めた(図1).

皮膚悪性腫瘍(悪性黒色腫)—疑ったら専門施設に紹介を!

著者: 藤澤康弘

ページ範囲:P.2136 - P.2140

症例情報 70歳男性.いつからかわからないが,足底の黒色斑を自覚した(図1).最近大きくなっているような気がして不安だと,血圧の治療を受けている内科クリニックで相談した.

皮膚悪性腫瘍(有棘細胞癌)—顔面に生じた難治性の結節

著者: 中村泰大 ,   森龍彦

ページ範囲:P.2141 - P.2143

症例情報 80歳女性.2カ月前より右頰部に紅色小結節が出現した(図1).徐々に増大してきたためかかりつけの近医内科を受診したところ,精査目的で当院皮膚科を紹介受診された.

褥瘡—DESIGN-R®でアセスメントし,治療選択する

著者: 安部正敏

ページ範囲:P.2144 - P.2147

症例情報 89歳男性.脳血管障害によりほぼ寝たきりである.半年前より仙骨部に紅色の皮膚病変が出現したが,抗生物質含有外用薬を塗布していた.しかし,病変は拡大し表面の色も灰白色から黒褐色に変化したため(図1),皮膚科に往診を依頼された.

熱傷—受傷部位,熱傷深度と熱傷面積から考える

著者: 伊藤周作

ページ範囲:P.2148 - P.2152

症例情報 70代女性.夜間に自宅で転倒し誤ってお湯をかぶり受傷(図1).翌朝に当科を受診した.

連載 ローテクでもここまでできる! おなかのフィジカル診断塾・19

—尿の色を見よう—黄疸のフィジカル

著者: 中野弘康

ページ範囲:P.2001 - P.2005

 前回は「便の色を見よう—消化管出血のフィジカル」“というタイトルでお届けしました.自分自身の経験をご紹介するのは少し恥ずかしかったです.今回は,尿の色からわかる黄疸のフィジカルをご紹介します.

目でみるトレーニング

問題1072・1073・1074

著者: 副島裕太郎 ,   森川昇 ,   藤本亜弓

ページ範囲:P.2154 - P.2160

ここが知りたい! 欲張り神経病巣診断・29

手が動かない!? 脳梗塞? 手の末梢神経障害③/手根管症候群の治療

著者: 難波雄亮

ページ範囲:P.2161 - P.2166

 ある日,寝て起きたら手首から先が動かない!?といった患者さんをみたことはあるでしょうか? 昨日までは大丈夫だったからwake-up strokeだ!とすぐに頭部の画像に飛びつきたくなります.でも待ってください.丁寧に病歴聴取と診察をすれば,実は末梢神経障害だったということもあります.今回はその1例を取り上げます.不要な画像検査をせずに,診断を詰められるようになりましょう.

ERの片隅で・8

サーフィン初心者の対麻痺

著者: 関根一朗

ページ範囲:P.2168 - P.2169

 日曜日の昼下がり、天気がよく病院の外はぽかぽかと暖かい。そんななか、ER内で救急搬送を告げるアナウンスが流れた。「10分後、救急車入ります。20歳女性、歩行困難。サーフィン中に腰痛と下肢脱力を生じ、歩けなくなったため救急要請。」
 ストレッチャーに載せられて搬入された女性は不安そうな表情をしている。「友だちと湘南の海に遊びに来ていました。サーフィンをやっているときに、腰が痛くなり浜辺に上がって休憩していました。その後、徐々に両足の感覚がおかしくなって、力も入らず歩けなくなりました。」

知らないとヤバい! リウマチ・膠原病のアレやコレ・3

RA治療中のヤバい病態 その③「頸椎病変」

著者: 猪飼浩樹

ページ範囲:P.2170 - P.2175

 今回は,関節リウマチ(rhematoid arthritis:RA)の経過中に注意すべき病態である「頸椎病変」について解説していきたい.前回まではメトトレキサート(MTX)毒性や間質性肺疾患を扱ってきたが,今回は長い罹病期間のリウマチ患者,コントロールに難渋しているリウマチ患者でより生じる可能性のある「頸椎病変」を扱う.随所に記載している「mini point」を認識しておき,以下に示す症例のような経過をたどる前に,早期に病態を認識できるケースが少しでもあることを願っている.

医学古書を紐解く・11【最終回】

Old-Fashioned Doctorからの助言—Fred HL. 『Looking Back(and Forth);Reflections of an Old-Fashioned Doctor』

著者: 須藤博

ページ範囲:P.2176 - P.2177

発端
 数年前のこと,現在『medicina』の巻頭で連載中の中野弘康先生から「素晴らしい本ですよ」と紹介され,彼のお勧めなら……と無条件で購入した本,それが『Looking Back(and Forth);Reflections of an Old-fashioned Doctor』1)である.著者のHerbert L. Fred先生(1929〜2018)は知る人ぞ知る,「Oslerianの正統な系譜の一人」である.本稿では本書とFred先生の言葉を紹介したい.
 出版は2003年,Fred先生は当時テキサス大学医学部の内科教授であった.内容は過去40年にわたるベッドサイド教育を通じて得たこと,感じたことを綴ったエッセイ集である.各章は独立した内容で,比較的短いので読みやすい.少し辛口で,しかもウィットに富んだ語り口の文章が続く.後ろのカバーには,あのSapiraが大絶賛の推薦文を書いている.やはり“達人は達人を知る”である.

明日から主治医! 外国人診療のススメ・8

多文化社会での周産期管理の工夫と課題:ネパール人の産科診療を中心に

著者: 古川誠志

ページ範囲:P.2178 - P.2182

CASE
以下は,妊娠糖尿病と診断されたネパール人妊婦と医師,通訳の産科外来での会話である.
医師)アニタさん,検査で妊娠糖尿病と診断されました.
通訳)तपाईलाईगर्भकालीनमधुमेहभएकोपत्तालागेकोथियो
アニタさん(ネパール人妊婦))मैलेकेगर्नुपर्छ?
通訳)「どうすればいいですか?」と言ってます.
医師)アニタさん,ご自身の血糖値を測りつつ,まずは食事の内容を見直しましょう.
通訳)तपाईंकोआफ्नैरगतमाचिनीमापनगर्दा, पहिलेतपाईंकोआहारकोसामग्रीसमीक्षागरौं

事例から学ぶ 糖尿病のコーチングマインド・4

目標設定〜目標達成に向けて共に考える〜

著者: 松澤陽子 ,   横尾英孝 ,   石井均

ページ範囲:P.2183 - P.2186

症例提示
40代女性,2型糖尿病.単純網膜症あり,腎症2期.神経障害・大血管障害なし.BMI 31.5kg/m2
現病歴:30代前半より健康診断で血糖高値を指摘される.X-5年より治療開始,X-4年A病院に教育入院しインスリン治療を開始したが,入院後もHbA1cは8%台で経過していた.X年4月,就職に伴い,通院に便利な当院へ転医した.

information

「ERアップデート2024 in 東京ベイ」開催のご案内

ページ範囲:P.2072 - P.2072

書評

—大塚 篤司 編—まるごとアトピー—アトピー性皮膚炎の病態から最新薬剤,患者コミュニケーションまで

著者: 福島聡

ページ範囲:P.2088 - P.2088

 羊の皮を被った狼のような本である.
 「羊の皮を被った狼」という言葉は,新約聖書からの出典で「羊のような身なりで近づいてくるが,その内は貪欲な狼のような者もいるから気をつけなさい」という警句である.そこから転じて,例えばクルマ好きの間では「見かけは平凡でも,中身はスポーツカー顔負けのクルマに対して,敬意をもって使われる言葉」となる.

—安部 正敏 著—ジェネラリストのためのこれだけは押さえておきたい皮膚外用療法

著者: 関根祐介

ページ範囲:P.2153 - P.2153

 外用療法の歴史は古く,人類が疾病を認識した時代より使用され続けています.直接患部へ投与量を調節しながら使用ができるため,利便性が高く,なじみ深いものと言えます.一方で,治療効果への不満や行為の不便さ,不快感,副作用への不安などの問題もあり,これらはアドヒアランスの低下につながるとされています.そのため,外用療法は,その特徴を理解し,適正使用を実施することが成功の鍵となります.
 本書は,ジェネラリストにとって「これだけは押さえておきたい」外用療法について,外用療法に用いられる製剤の特性や疾患別の使用方法などが,わかりやすくまとめられています.特にお薦めするポイントを以下にまとめます.

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目次

ページ範囲:P.2006 - P.2008

読者アンケート

ページ範囲:P.2187 - P.2187

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.2188 - P.2189

購読申し込み書

ページ範囲:P.2190 - P.2190

次号予告

ページ範囲:P.2191 - P.2191

奥付

ページ範囲:P.2192 - P.2192

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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バックナンバー

60巻13号(2023年12月発行)

特集 一般医家のための—DOAC時代の心房細動診療

60巻12号(2023年11月発行)

特集 内科医が遭遇する皮膚疾患フロントライン—「皮疹」は現場で起きている!

60巻11号(2023年10月発行)

増大号特集 患者さんの質問にどう答えますか?—言葉の意味を読み解きハートに響く返答集

60巻10号(2023年9月発行)

特集 ミミッカー症例からいかに学ぶか

60巻9号(2023年8月発行)

特集 症例から読み解く—高齢者診療ステップアップ

60巻8号(2023年7月発行)

特集 浮腫と脱水—Q&Aで学ぶジェネラリストのための体液量異常診療

60巻7号(2023年6月発行)

特集 整形外科プライマリ・ケア—内科医が知りたい整形外科疾患のすべて

60巻6号(2023年5月発行)

特集 Common diseaseの処方箋ファイル—臨床経過から学ぶ20症例

60巻5号(2023年4月発行)

特集 臨床医からみたPOCT

60巻4号(2023年4月発行)

増刊号 探求!マイナーエマージェンシー

60巻3号(2023年3月発行)

特集 令和の脳卒中ディベート10番勝負—脳卒中治療ガイドライン2021とその先を識る

60巻2号(2023年2月発行)

特集 慢性疾患診療のお悩みポイントまとめました—高血圧からヘルスメンテナンスまで

60巻1号(2023年1月発行)

特集 10年前の常識は非常識!?—イマドキ消化器診療にアップデート

59巻13号(2022年12月発行)

特集 令和の頭痛診療—プライマリ・ケア医のためのガイド

59巻12号(2022年11月発行)

特集 避けて通れない心不全診療—総合内科力・循環器力を鍛えよう!

59巻11号(2022年10月発行)

増大号特集 これからもスタンダード!—Quality Indicatorの診療への実装—生活習慣病を中心に

59巻10号(2022年9月発行)

特集 ちょっと待って,その痛み大丈夫?—“見逃してはいけない痛み”への安全なアプローチ

59巻9号(2022年8月発行)

特集 不安を自信に変える心電図トレーニング—専門医のtipsを詰め込んだ50問

59巻8号(2022年7月発行)

特集 日常診療に潜む臨床検査のピットフォールを回避せよ

59巻7号(2022年6月発行)

特集 抗菌薬の使い方—敵はコロナだけにあらず! 今こそ基本に立ち返る

59巻6号(2022年5月発行)

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特集 成人が必要とするワクチン—生涯を通した予防接種の重要性

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特集 意外と知らない? 外用薬・自己注射薬—外来診療での適“剤”適所

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特集 クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬—糖尿病治療の新しい潮流

56巻13号(2019年12月発行)

特集 プライマリ・ケアのための—ポリファーマシー「超」整理法

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特集 内科医が押さえておくべき—検査の考えかたと落とし穴

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特集 不明熱を不明にしないために—実践から考えるケーススタディ

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56巻9号(2019年8月発行)

特集 みんなが知っておきたい透析診療—透析のキホンと患者の診かた

56巻8号(2019年7月発行)

特集 一歩踏み込んだ—内科エマージェンシーのトリセツ

56巻7号(2019年6月発行)

特集 抗菌薬をアップデートせよ!—耐性菌に立ち向かう! 適正化の手法から新薬の使い分けまで

56巻6号(2019年5月発行)

特集 糖尿病診療の“Q”—現場の疑問に答えます

56巻5号(2019年4月発行)

特集 しまった!日常診療のリアルから学ぶ—エラー症例問題集

56巻4号(2019年4月発行)

増刊号 一人でも慌てない!—「こんなときどうする?」の処方箋85

56巻3号(2019年3月発行)

特集 TPOで読み解く心電図

56巻2号(2019年2月発行)

特集 抗血栓療法のジレンマ—予防すべきは血栓か,出血か?

56巻1号(2019年1月発行)

特集 枠組みとケースから考える—消化器薬の選び方・使い方

55巻13号(2018年12月発行)

特集 これからの心不全診療への最新アプローチ—予防からチーム医療・先進医療まで

55巻12号(2018年11月発行)

特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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