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特集 令和の脳卒中ディベート10番勝負—脳卒中治療ガイドライン2021とその先を識る ディベート・セクション 10番勝負 塞栓源不明の脳塞栓症(ESUS)の治療
編者からのコメント
著者: 平野照之1
所属機関: 1杏林大学医学部脳卒中医学教室
ページ範囲:P.527 - P.527
文献購入ページに移動 編者はESUSを「潜因性脳梗塞のうち直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)による初期治療が適する症例を抽出するための疾患概念」と捉えていた.ESUSか否かは来院から24時間(すなわちrt-PA投与後,抗血栓薬を開始する時点)までの諸検査で確定できる.DOACを開始したうえで,さらなる原因検索によってDOAC継続あるは抗血小板薬への変更を決定する,という流れである.しかしNAVIGATE-ESUS,RE-SPECT ESUS,ATTICUSの3試験によって,現行基準にDOAC適格例の抽出能力はないことが判明した.潜在性心房細動の関与は当初の予想より少なく,むしろ動脈硬化に起因する例(arteriogenic ESUS)が多かったのであろう.ESUS治療薬としてアスピリンを推奨することに異議はないが,心塞栓性機序による一群(cardiogenic ESUS)の存在に留意すべきである.編者は心房心筋症(atrial cardiopathy)の所見が複数あればワルファリンを選択している.
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