medicina60巻4号

2023年04月発行

増刊号 探求！マイナーエマージェンシー

Ⅲ．耳のエマージェンシー

打撲後，音がよく聞こえません—鼓膜損傷を見逃すな！

著者： 岡本昌之¹

所属機関： ¹福井大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲：P.82 - P.85

文献概要

POINT
●外傷性鼓膜穿孔の原因は，耳かきなどによる直達性外傷と，耳への平手打ちや打撲などによる介達性穿孔がある．
●穿孔は鼓膜下半分に生じることが多く，耳介を後上方に牽引して鼓膜下方をしっかり観察する．
●外傷性鼓膜穿孔は自然閉鎖することが多く，それに伴い聴力なども回復する．
●抗菌薬は内服による予防投与を行い，耳内に感染がある場合には点耳薬も併用する．
●自然閉鎖しない場合にはトラフェルミンを用いた鼓膜再生治療が保険適用となっている．

参考文献

1）Fazal I, et al：Incidence and characteristics of traumatic tympanic membrane perforation. Park J Med Sci 34：1099-1103, 2018

2）鈴木千晶，他：当科における外傷性鼓膜穿孔・耳小骨離断例の検討．頭頸部外科25：177-183，2015

3）山崎一春，他：外傷性鼓膜穿孔に関する臨床的検討．日耳鼻113：679-686，2010

4）Peng H, et al：Endoscopic observation of different repair patterns in human traumatic tympanic membrane perforations. Braz J otorhinolaryngolo 84：545-552, 2018

5）Serkan C, et al：Traumatic tympanic membrane perforation in children in the emergency department；Comparison of spontaneous closure and paper patch. Cures 12：e7697, 2020