medicina60巻7号

2023年06月発行

連載 ローテクでもここまでできる！　おなかのフィジカル診断塾・15

—おなかが膨満している その8—肝硬変のフィジカル—各論3　おなかばかりに気を取られてはならない！

著者： 中野弘康¹

所属機関： ¹大船中央病院内科

ページ範囲：P.967 - P.971

　これまで3回にわたり，アルコール性肝硬変の患者さんをもとに，全身所見・局所所見に分けて，診るべきポイントを述べました．そして，背景肝の線維化が高度な，門脈圧亢進症の強い患者さんで聴取される静脈性雑音，Cruveilhier-Baumgarten murmurs（C-B murmurs）についても紹介しました．
　今回は，厳密には腹部のフィジカルではありませんが，“肝硬変が内科医の病気である”ことを私自身がしみじみ感じた，忘れられない症例を紹介します．この患者さんとの出会いがきっかけで，肝硬変＝全身を診ることの大切さを認識できました．私にとっては忘れられない症例です．このエピソードは『総合診療』にも以前紹介する機会がありましたので，よろしければそちらもご笑覧いただければ幸いです^1）．
　
＊本論文中、関連する動画を見ることができます（公開期間：2025年6月30日まで公開）。

参考文献

1）中野弘康：アスクレピオスの杖-想い出の診療録17患者さんから学ぶ-一期一会の日々の中で．総合診療31：1166-1167, 2021

2）Cosmos CG, et al：The liver in heart failure. Clin Liver Dis 6：947-967, 2002

3）Byrd MD：Lateral systolic pulsation of the earlobe；A sign of tricuspid regurgitation. Am J Cardiol 54：244, 1984

4）平島　修：フィジカルクラブちゃんねる　頸静脈の波形，知れば知るほど面白い！：頸静脈JVPの診察（Part. 10）．　https://www.youtube.com/watch?v=E7lVaYN4-Ps＆list=PLxp0pF_WeVKFa_092i_VdqvBzhWVxHa8w＆index=10（2023年4月閲覧）