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連載 医学古書を紐解く・6
Sister Mary Joseph's NoduleとHamilton Bailey—Bailey H.『Demonstrations of Physical Signs in Clinical Surgery』
著者: 清田雅智1
所属機関: 1飯塚病院 総合診療科
ページ範囲:P.1148 - P.1149
文献購入ページに移動今回は,私が古書を収集し始めたきっかけになった逸話を紹介したい.
サパイラ(Joseph D. Sapira)の『Art & Science of Bedside Diagnosis』には,実はいくつか誤りがある.その1つがリンパ節の章にある「Paraumbilical Nodes(Sister Joseph Node)」という項目で,臍周囲に腫瘤を認めたら,それはがんの遠隔転移を示唆しているという所見である1).解剖学的に臍にリンパ節はないため,分類上の誤りがあると思うのだが,この項目に「カトリックの尼僧の名前に“Mary”と付ける伝統があるためか,しばしば“Sister Mary Joseph's nodule”と誤って呼ばれる」という主旨の一文があり,私はこれがどうにも頭に引っかかって,調べることにした.
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