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文献詳細

雑誌文献

medicina60巻8号

2023年07月発行

文献概要

連載 医学古書を紐解く・7

Cope's Phrenic shoulder painとJoseph Capps—Cope Z. 『Early diagnosis of the acute abdomen』, Capps JA.『An Experimental and Clinical Study of Pain in The Pleura, Pericardium and Peritoneum』

著者: 清田雅智1

所属機関: 1飯塚病院 総合診療科

ページ範囲:P.1340 - P.1341

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 今回は,私が恩師から勧められた“恩書”と言える本を紹介したい.1冊目は英国の医師Zachary Cope(1881〜1974年)の『Early diagnosis of the acute abdomen』で,彼は1921年にこの本の初版を40歳という若さで執筆したが,その後も同書を改訂し続け,最後に第14版を編集した際には91歳であった.私が一年次の研修医の頃に指導医の濱田裕久先生から1990年発行の第18版(William Silen編集)を勧められ,同期と輪読会をしてこの本からは実にいろいろと学ぶことがあった.
 この本の「急性腹症における診断の原則」という章では,横隔膜に刺激病変が生じると痛みが肩へ放散するphrenic shoulder painについて書かれている.初版ではこの臨床的重要性を示した一人がHiltonであることや,動物実験で横隔神経が上行性線維だけでなく下行性線維も有するとFergusonが証明したことが記述されている1).しかし,このことは私が研修医の頃に買った第18版では消えており,本連載の第5回(5月号)で紹介した“欄外の注釈”のように,初版本の価値を再認識させてくれるものであった.

参考文献

1)Cope Z:Early diagnosis of the acute abdomen, pp 12-13, Oxford Medical Publications, 1921
2)Cope Z:A clinical study of phrenic shoulder-pain;With special bearing on the diagnosis of acute abdominal disease. Br J Surg 10:192-201, 1922
3)Capps JA:An experimental study of the pain sense in the pleural membranes. Arch Intern Med 8:717-733, 1911
4)Capps JA, et al:An Experimental and Clinical Study of Pain in The Pleura, Pericardium and Peritoneum. Macmillian Company, New York, 1932
5)清田雅智,他:胸痛.Medicina 35(増刊号):161-163, 1998
6)MacBryde CM, Blacklow RS:MacBryde's Signs and Symptoms;Applied pathologic physiology and clinical interpretation(6th ed), pp139-164, JB Lippincott Company, Philadelphia, 1983

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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