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特集 症例から読み解く—高齢者診療ステップアップ
扉
著者: 木村琢磨12
所属機関: 1東京医科歯科大学総合診療科 2東京医科歯科大学介護・在宅医療連携システム開発学講座
ページ範囲:P.1364 - P.1365
文献購入ページに移動さて,この“高齢者”とは,そもそも誰なのであろう? 日本老年学会・日本老年医学会の「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ」は,現行の基準による高齢者(65歳以上)の身体機能や認知機能が10〜20年前に比べて,客観的に5〜10歳は若返っていることを報告している1).実際,臨床現場には,現行の高齢者の基準(65歳以上)をはるかに上回る年齢であっても若壮年者と同様のアプローチをすることが妥当であるように考えられる患者がいる.一方,65歳を超えたばかりなのにさまざまな衰えがあり,いわゆる高齢者の特徴を踏まえた診療をする必要がある患者も経験し,個人差が大きいことを痛感する.その判断には,高齢者総合機能評価(comprehensive geriatric assessment:CGA)を当然行う必要があるが,生活の状況や社会的な役割,活動度を含め,いくら緻密なCGAを行なっても,その人が「“高齢者”であるか否か」は明確にはならないのである.ただし,例えば85歳の集団は,90歳の集団と比較して何らかの機能が低下している可能性は確率として上がると考えられ,社会保障制度などの兼ね合いで高齢者の基準(65歳以上など)を決める必要はあるのであろう.
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