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文献詳細

雑誌文献

medicina60巻9号

2023年08月発行

文献概要

特集 症例から読み解く—高齢者診療ステップアップ 外来で可能な機能評価アップグレード

高齢ドライバーに対する外来での認知機能評価

著者: 朴啓彰1

所属機関: 1愛宕病院・脳神経センター(自動車運転外来)

ページ範囲:P.1396 - P.1400

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Point
◎電解質・甲状腺ホルモンなど,代謝性認知機能低下を診断できる血液検査は必須である.
◎脳出血や正常圧水頭症などの認知機能低下につながる頭蓋内疾患(treatable dementia in the brain)の有無をMRIで調べる.また白質病変の広がりがあれば,生活習慣病治療,特に軽度の高血圧に対して降圧薬の服用による厳格な血圧管理が必要である.
◎ミニメンタルステート検査(MMSE)などの認知機能検査に加えて,ドライビングシミュレータ(DS)やドライブレコーダ(DR)を用いて多角的に安全運転能力を評価することが望ましい.
◎認知症の診断や免許返納が難しい場合には,認知リハビリテーションの介入を考慮すべきである.

参考文献

1)日本作業療法士協会:作業療法ガイドライン 認知症,2019
2)Ball K, et al:Cognitive training decreases motor vehicle collision involvement of older drivers. J Am Geriatr Soc 58, 2107-2113, 2010
3)沖田 学,他:軽度認知障害の高齢運転者のための自動車運転外来の役割と展望.第16回ITSシンポジウム,2018
4)島田裕之:現代生活と密接な関係をもつ運転の問題を社会全体で考える—運転寿命延伸プロジェクトで議論の準備を.Geriatr Med 55:201-206, 2017
5)朴 啓彰:認知症が疑われる高齢ドライバーを対象にしたリハビリテーション介入による免許継続・返納の判定基準構築.2020年度タカタ財団助成研究論文,2020
6)Takenoshita S, et al: Validation of Addenbrooke's cognitive examination Ⅲ for detecting mild cognitive impairment and dementia in Japan. BMC Geriatr 19:123, 2019
7)日本文化科学社:MMSE-J(精神状態短時間検査-日本版)テクニカルレポート#3. https://www.nichibun.co.jp/documents/kensa/technicalreport/mmse_tech_3.pdf(2023年3月閲覧)
8)Oba H, et al:Parietal and occipital leukoaraiosis due to cerebral ischaemic lesions decrease the driving safety performance of healthy older adults. Scientific Reports 12:21436, 2023
9)Park K, et al:Cerebral white matter hyperintensity as a healthcare quotient. J Clin Med 8:1823, 2019
10)日本医師会:かかりつけ医向け 認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き—改定版. https://www.med.or.jp/dL-med/doctor/ninmen/20220513kaigo_tebiki.pdf(2023年3月閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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