文献詳細
文献概要
連載 医学古書を紐解く・8
時を超えて偉人を側に感じる古書の魅力—Heberden W. 『Commentaries on The History and Cure of Diseases』
著者: 陶山恭博1
所属機関: 1NTT東日本関東病院 リウマチ膠原病科
ページ範囲:P.1530 - P.1533
文献購入ページに移動私がWilliam Heberdenの『Commentaries on The History and Cure of Diseases』1)と出合ったきっかけは,医学書院の『総合診療』誌からの“好きなエポニムについて執筆してください”という依頼だった.ある日,「あぁ,これはHeberden結節ですね」と説明していた診察中,ふと「Heberden先生って,どんな人なんだろう」と興味が湧いた.調べ始めたところ,“リウマチ学の父”と呼ばれる偉人であったことを知り,ぜひシェアしたいと思い執筆したのが,「Heberden結節 関節炎の分類の礎となった身体所見」である2).
欧州リウマチ学会の機関誌である『Annals of Rheumatic Diseases』は,1962年にHeberdenの伝記を掲載している3).そこにはWilliam OslerがHeberdenについて「英国のCelsus(ラテン語で“至高”の意)」と讃えていたこと4)などが記されている.さらにシェークスピア全集などをまとめた巨匠であるSamuel Johnson博士からは「ultimus Romanorum, the last of our learned physicians(最後のローマ人,当代随一の学究的臨床医)」と賞賛されていたとも書かれており,これはHeberdenが彼の主治医であり,また日々のノートをすべてラテン語で記載していたことに由来する.
参考文献
掲載誌情報