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文献詳細

雑誌文献

medicina61巻1号

2024年01月発行

文献概要

連載 明日から主治医! 外国人診療のススメ・10

外国人を診るときに注意すべき感染症「HIVなど」

著者: 沢田貴志1

所属機関: 1神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所

ページ範囲:P.169 - P.173

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CASE
総合診療科の研修医(大樹)と指導医(朋子)が外来で…
大樹)先生,咳と血痰で来院した東南アジア出身の女性,左肺に腫瘤影があります.まだ32歳ですから,肺がんではないと思うのですが.
朋子)なるほど.そしたら何だと思うのかしら?
大樹)よく見ると結節状の陰影の周囲に少し散布影があって,これは結核腫ではないでしょうか.
朋子)ふーん,先月の『medicina』でちゃんと勉強したのね.では,3日続けて喀痰塗抹・培養検査をやっておきましょう.でも,何だか変だわ.
大樹)はい.「白血球が正常でCRP軽度上昇」は結核で説明がつきますが,好酸球が16%もあるんですよ.もう10年,母国には帰っていないそうで,寄生虫症は考えにくいですよね.便虫卵出しますか?
朋子)もちろん.集卵法でね.私が引っかかったのはそこじゃなくて,病変の分布よ.結節は左肺なのに,胸水は右肺に出ているわね.これ,ただの結核じゃないかも.面談して血液検査の追加をしましょう.帯状疱疹や肺炎の既往も聞いておいてね.

参考文献

1)UNAIDS:Global HIV & AIDS statistics—Fact sheet. 2022 https://www.unaids.org/en/resources/fact-sheet(2023年10月閲覧)
2)UNAIDS: The path that ends AIDS; UNAIDS Global AIDS Update 2023. 2023 https://www.unaids.org/sites/default/files/media_asset/2023-unaids-global-aids-update_en.pdf(2023年11月閲覧)
3)HIV検査相談マップ www.hivkensa.com/(2023年10月閲覧)
4)沢田貴志,他:日本におけるHIV陽性外国人の受療を阻害する要因に関する研究.日エイズ会誌22:172-181, 2020
5)国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター:ニューモシスチス肺炎(PCP).2022 https://www.acc.ncgm.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no27.html(2023年10月閲覧)
6)厚生労働科学研究費補助金エイズ対策政策研究事業HIV検査受検勧奨に関する研究班:保健所等におけるHIV即日検査のガイドライン.2019 https://api-net.jfap.or.jp/manual/data/pdf/guideline_v4.pdf(2023年10月閲覧)
7)移住者と連帯する全国ネットワーク(編):外国人の医療・福祉・社会保障 相談ハンドブック,明石書店,p 72, 2019
8)厚生労働省エイズ動向委員会:令和4(2022)年エイズ発生動向年報(1月1日〜12月31日).2023 https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/nenpo.html(2023年10月閲覧)
9)国立感染症研究所:わが国における肺吸虫症の発生現況.2013 https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2406-related-articles/related-articles-446/7214-446r05.html(2023年10月閲覧)
10)宮入慶之助記念館:住血吸虫症の現状. https://miyairikinenkan.com/seiatsu/jyuketsukyuchixyusyonogenjyo/(2023年10月閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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