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連載 明日から主治医! 外国人診療のススメ・10
外国人を診るときに注意すべき感染症「HIVなど」
著者: 沢田貴志1
所属機関: 1神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所
ページ範囲:P.169 - P.173
文献購入ページに移動総合診療科の研修医(大樹)と指導医(朋子)が外来で…
大樹)先生,咳と血痰で来院した東南アジア出身の女性,左肺に腫瘤影があります.まだ32歳ですから,肺がんではないと思うのですが.
朋子)なるほど.そしたら何だと思うのかしら?
大樹)よく見ると結節状の陰影の周囲に少し散布影があって,これは結核腫ではないでしょうか.
朋子)ふーん,先月の『medicina』でちゃんと勉強したのね.では,3日続けて喀痰塗抹・培養検査をやっておきましょう.でも,何だか変だわ.
大樹)はい.「白血球が正常でCRP軽度上昇」は結核で説明がつきますが,好酸球が16%もあるんですよ.もう10年,母国には帰っていないそうで,寄生虫症は考えにくいですよね.便虫卵出しますか?
朋子)もちろん.集卵法でね.私が引っかかったのはそこじゃなくて,病変の分布よ.結節は左肺なのに,胸水は右肺に出ているわね.これ,ただの結核じゃないかも.面談して血液検査の追加をしましょう.帯状疱疹や肺炎の既往も聞いておいてね.
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