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雑誌目次

雑誌文献

medicina61巻10号

2024年09月発行

雑誌目次

特集 内科医が知っておくべきICU・ERでの薬の使い方

特集にあたって

著者: 神宮司成弘 ,   岩田充永

ページ範囲:P.1586 - P.1587

 内科診療では,あらゆるセッティングにおいて急変が起こり得ます.限られた医療資源しかない状況で突然のショックや心筋梗塞など重篤な疾患の初期対応を迫られたり,一般病棟でICU並みの管理を要する重症病態や,open ICUで主治医として集学的治療を迫られたりする場面も珍しくありません.
 筆者(神宮司)自身も,ERやICUがない急性期病院での管理,大学病院のICUでの希少疾患の管理など,さまざまなセッティングでの重症管理の困難さを経験してきました.これらの経験から,適切な生命維持と迅速な診断,根治的治療の早期導入がいかに重要かを痛感しています.特に,急変時には限られた時間と情報のなかで最善の判断を下し,適切な治療を開始することが予後に直結します.このような緊迫した状況下で,使い慣れていない薬剤を使用することは非常に大きなストレスを伴い,診療の迅速さにも影響を及ぼします.

特集を読む前に あなたの理解度チェック!

ページ範囲:P.1588 - P.1591

●今月の特集執筆陣による出題です.ICU・ERでの薬の使い方に関する理解度をチェックしてみましょう!

循環

心肺蘇生中に使用する薬剤

著者: 松山匡

ページ範囲:P.1592 - P.1597

Point
◎アドレナリンは心停止患者のキードラッグであり,主にαおよびβ受容体に対する強力な刺激作用を期待して使用されている.
◎アミオダロンとリドカインは抗不整脈薬として有効であり,生存退院率の改善に寄与する.
◎リドカインは最新のガイドラインにおいてアミオダロンと同格の扱いとされた.
◎心停止後症候群(PCAS)は,多系統にわたる病態であり,神経学的障害や心機能障害が含まれ,個々の患者に応じた適切な管理が重要である.

ショック—敗血症性ショックを中心に

著者: 中野秀比古 ,   土井研人

ページ範囲:P.1598 - P.1602

Point
◎敗血症性ショックでは初期輸液で不十分な場合にノルアドレナリンを第一選択,必要ならバソプレシンを追加する.
◎相対的副腎不全に対してステロイド投与も考慮する.
◎心原性ショックを併発した場合は強心薬を追加する.

高血圧緊急症

著者: 風間信吾

ページ範囲:P.1603 - P.1607

Point
◎ニカルジピンはほぼすべての高血圧緊急症で使用可能であり,効果発現も早く使用しやすいため高血圧緊急症治療の中心的薬剤である.
◎ニトログリセリンは静脈拡張により心臓の前負荷を軽減させるため,うっ血性心不全が良い適応である.長期使用に伴う耐性が生じ得る.
◎ランジオロールは陰性変時作用を有し心拍数コントロールを要する患者に使用する.単独使用での降圧効果は小さいため他剤との併用を考慮する.
◎フェントラミンは使用頻度こそ低いが,褐色細胞腫クリーゼの際に重要な薬剤となる.フェントラミン投与後にβ遮断薬の併用について考慮する必要がある.

抗不整脈薬

著者: 出口慧人 ,   若林禎正

ページ範囲:P.1608 - P.1612

Point
◎不整脈が二次性に惹起されている可能性を常に考慮する.
◎抗不整脈薬を使用する際には,病態生理と薬理作用,特に催不整脈作用や副作用を考慮したうえで選択を行う.
◎頻脈性不整脈に対してはβ遮断薬,アミオダロン,Ca拮抗薬などが治療の選択肢となる.
◎アトロピンは迷走神経依存性の徐脈に対して効果をもたらす.

神経

緊急気管挿管時の薬剤選択

著者: 後藤縁

ページ範囲:P.1613 - P.1616

Point
◎緊急気管挿管のスタンダードは迅速導入気管挿管(rapid sequence intubation:RSI)であり,鎮静薬に続けて筋弛緩薬を投与する.
◎RSIは初回挿管成功率を上げ,かつ挿管に関連した有害事象の発生率を下げる.
◎鎮静薬は,気管挿管(特にRSI)の実施に不可欠である.短時間作用型で静脈投与が可能なミダゾラム,ケタミン,プロポフォールなどが使用できる.
◎筋弛緩薬は,RSIに際し挿管条件を最適化するために重要である.ロクロニウム,スキサメトニウムが代表的な薬剤である.

人工呼吸管理中の鎮静薬・鎮痛薬の選択

著者: 尾崎将之

ページ範囲:P.1617 - P.1622

Point
◎人工呼吸管理中の患者の苦痛を軽減し,呼吸循環に悪影響を与えないようにするために適切な鎮静・鎮痛が必要である.
◎フェンタニル,ミダゾラム,プロポフォール,デクスメデトミジンなどの薬剤を,それぞれの特性に応じて適切に使い分ける.
◎患者の苦痛や鎮静の深度の評価にはBehavioral Pain Scale(BPS)やRichmond Agitation-Sedation Scale(RASS)が有用である.
◎鎮静薬・鎮痛薬がせん妄を誘発する可能性があるため,薬剤の適切な選択と早期リハビリテーションが重要である.

てんかん重積状態の治療薬選択

著者: 安藤宏明 ,   道勇学

ページ範囲:P.1623 - P.1627

Point
◎てんかん重積状態への対応では,発作持続時間で「早期てんかん重積状態」,「確定したてんかん重積状態」,「難治てんかん重積状態」の3ステージに分け,それぞれのステージに応じた静注抗てんかん発作薬を速やかに投与して,一刻も早いてんかん重積状態の解除を目指す.
◎てんかん重積状態は長期化するほど後遺障害のリスクを高めるため,セカンドライン治療の静注抗てんかん発作薬でてんかん発作がコントロールできない,あるいは舌根沈下・気道分泌物などにより気道閉塞が切迫している場合は,サードライン治療として速やかに全身麻酔薬を用いて鎮静し,気管挿管を行い人工呼吸器管理とする.

不眠・せん妄

著者: 新垣大智

ページ範囲:P.1628 - P.1632

Point
◎入院患者の管理において,不眠やせん妄への対応は必須である.特に当直中など不眠やせん妄の対応を迫られる場面はしばしば経験される.
◎睡眠補助薬を処方する際には,ベンゾジアゼピン系を避けることが重要である.
◎内科病棟においてもせん妄はよくみられる病態であり,その対応としていくつかの薬剤の使用方法や副作用を熟知しておく必要がある.
◎重症患者において原疾患の治療と並行して,鎮静が必要になることは一般的である.

脳梗塞急性期の治療

著者: 星野岳郎

ページ範囲:P.1633 - P.1639

Point
◎発症4.5時間以内のすべての病型の脳梗塞は血栓溶解療法の適応がある.
◎発症時刻が不明であっても,MRIでDWI/FLAIRミスマッチを認める症例では,血栓溶解療法を考慮する.
◎治療にあたって禁忌項目がないか確実にチェックする必要がある.
◎血栓溶解療法後24時間はほかの抗血栓薬は使用せず,神経症状や血圧を注意深くモニタリングする.

呼吸

気管支喘息発作・COPD増悪に用いる薬剤

著者: 谷直樹

ページ範囲:P.1640 - P.1643

Point
◎喘息,慢性閉塞性肺疾患(COPD)増悪に対してステロイドを使用する際には,アスピリン喘息かどうかを評価する.
◎吸入薬にはデバイスごとに特徴がある.患者の特性を考慮してデバイスを選択する.吸入薬処方時には吸入指導は必須である.
◎喘息,COPD増悪時の治療の中心は,ステロイド,短時間作用型β2刺激薬であるが,効果不十分なときは,短時間作用型抗コリン薬,マグネシウム点滴,アドレナリン皮下注などの使用を考慮する.

腎臓・電解質

利尿薬

著者: 梅田良祐 ,   林宏樹

ページ範囲:P.1645 - P.1650

Point
◎利尿薬は,尿細管の各セグメントにおけるナトリウムや水などを通す細胞膜にあるトンネル(チャネル/トランスポーター)に作用する.
◎体液量の是正が必要な急性心不全患者には,速やかに,かつその患者の病態に合った投与方法でループ利尿薬を開始し,治療反応性に応じ早期から別の機序の利尿薬も併用する.
◎腎の微小循環を念頭に置き,過降圧・過除水に陥らぬよう管理する.

輸液製剤の使い分け

著者: 須網和也

ページ範囲:P.1651 - P.1656

Point
◎敗血症や急性膵炎など大量輸液を要する場合は晶質液を用いる.
◎輸液の益と害を理解し,組織灌流の評価・輸液反応性の予測を行い,不要な輸液を減らす.
◎自由水補充は高ナトリウム血症に対して行う.
◎輸液の種類は組織灌流の低下を認める場合は細胞外液を,そうでなければ5%ブドウ糖液を補充する.

低ナトリウム血症

著者: 五島隆宏

ページ範囲:P.1657 - P.1665

Point
◎低ナトリウム(Na)血症は自由水摂取量が排泄能力を上回ることで発症する.
◎高張食塩水による初期治療は脳浮腫や脳ヘルニアを防ぐことを目的としている.重症度(血清Naの値)と緊急度(脳浮腫を疑う症状)のみにより決定し,低Na血症をきたす病態によらない.
◎浸透圧性脱髄症候群(ODS)のリスクや発症経過から補正速度を設定する.
◎尿量や尿Na,尿カリウム(K),尿浸透圧などの所見から水利尿状態の変化を意識する.

重篤なカリウム異常での薬剤選択

著者: 村島美穂

ページ範囲:P.1666 - P.1669

Point
◎高カリウム血症,低カリウム血症ともに致死性不整脈の原因になる.
◎高カリウム血症では心電図異常があれば,まずグルコン酸カルシウムを投与する.
◎低カリウム血症で心電図変化を伴う場合には,点滴静注でカリウム投与を行うが,カリウムの濃度と点滴速度に注意が必要である.

内分泌・血糖

副腎不全

著者: 岩立拓子 ,   上田剛士

ページ範囲:P.1670 - P.1673

Point
◎重症関連コルチコステロイド障害(CIRCI)の診断において,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)負荷試験やランダム血漿コルチゾール測定も選択肢となるが,重症患者ではこれらの検査の確実性が低いため臨床判断が重要である.
◎難治性のショックに対するステロイド治療としてヒドロコルチゾンを1日200〜300 mg,分割投与または持続投与する方法が挙げられている.敗血症性ショックでは有効だが,軽症例での使用は推奨されない.
◎CIRCIにおいてフルドロコルチゾンの追加は一部の研究ではヒドロコルチゾン単独投与と比較して差がないことから,必ずしも推奨されていないが,一部では併用が行われている.
◎手術の種類に応じてステロイドの増量が必要とされる.特に,長期間高用量のステロイドを使用している患者は視床下部-下垂体-副腎軸(HPA axis)の抑制があるため,手術前に評価を行い適切なステロイドカバーを提供する.

甲状腺クリーゼ

著者: 増田陽平 ,   則末泰博

ページ範囲:P.1674 - P.1679

Point
◎甲状腺クリーゼは甲状腺中毒症の増悪によって急激に多臓器不全が進行する内分泌緊急疾患である.
◎甲状腺クリーゼの治療の基本は甲状腺中毒症の治療ならびに全身管理,そしてクリーゼの誘因となった病態の治療から成る集学的治療である.
◎再発予防のためには患者への疾患教育や甲状腺機能亢進症に対する根治治療などの介入が重要である.

高血糖緊急症のマネジメント

著者: 冨永聡

ページ範囲:P.1680 - P.1684

Point
◎高血糖緊急症は糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と高血糖高浸透圧症候群(HHS)を指す.
◎治療において水や電解質の欠乏の程度がどの程度かを知っておく.
◎血清カリウム値を確認してから速効型インスリンの投与を検討する.
◎血糖値が目標値まで低下したらインスリンの投与量を減量し,5%ブドウ糖を投与して血糖値を安定させる.
◎血糖正常のケトアシドーシスではインスリン投与による低血糖に注意する.

血液

輸血製剤

著者: 本多純太

ページ範囲:P.1685 - P.1691

Point
◎出血性ショックを認識した時点で大量輸血プロトコル(MTP)発動の可能性も含め,輸血部に緊急輸血が必要になる旨を伝えておく.
◎収縮期血圧80〜90 mmHgを目標に輸血量の調整を行う.止血術が完了し,安定したら病態ごとの目標値と予測上昇値を参考に輸血投与量を決定する.
◎アルブミン製剤は日常臨床でさまざまな用途に幅広く使用されているが,患者の転帰を改善するために使用する根拠は限られている.
◎敗血症性ショック,腹水を伴う肝硬変,重症熱傷,また血管外水分除去の領域で管理に難渋することが予想される場合,限定的にアルブミン製剤を使用することを検討する.
◎新生児や小児,腎機能障害患者に対して赤血球製剤を使用する場合は高K血症に,新鮮凍結血漿(FFP)やアルブミン製剤を大量に使用する場合はNa負荷に注意が必要である.

止血製剤

著者: 山元良

ページ範囲:P.1692 - P.1695

Point
◎プロトロンビン複合体はビタミンK拮抗薬の抗凝固作用を抑制する目的として使用され,少ない容量負荷で迅速な効果発現が可能である.
◎プロトロンビン複合体はワルファリン服用中の急性重篤出血あるいは緊急手術・処置を行う際に保険適用となるが,容量負荷を避けたい患者や迅速な凝固能の回復が望ましい場面に良い適応となる.
◎イダルシズマブとアンデキサネット アルファは直接経口抗凝固薬(DOAC)の拮抗薬であるが,イダルシズマブはダビガトランのみ,アンデキサネット アルファはリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンに対して有効である.
◎トラネキサム酸は外傷患者や周術期での効果が示されてきた止血薬剤であるが,消化管出血などの内科領域の出血性疾患ではその効果は確立していない.

重症患者診療における抗凝固薬・抗凝固療法

著者: 石塚紀貴

ページ範囲:P.1696 - P.1700

Point
◎本邦の特に内因性疾患に関しては多くの状況で未分画ヘパリンによる抗凝固療法が行われる.
◎プロトコルに基づいた抗凝固療法を基本とし,ヘパリン抵抗性や血小板減少に注意しながら症例ごとに個別化する.
◎静脈血栓塞栓症予防を行う際には,塞栓リスクが高い症例を抽出したうえで出血リスクが低ければ薬理学的予防(予防的抗凝固療法)を行う.
◎ヘパリン使用における重要な有害事象であるヘパリン起因性血小板減少症は臨床所見と抗体検査から診断し,治療のために抗凝固薬をアルガトロバンへ変更する.
◎軽症出血において抗凝固薬を中止するかどうかは出血の程度や血栓リスク,抗凝固薬中止以外の介入手段,症例の全身状態を吟味して判断する.

消化器

ストレス潰瘍の予防

著者: 田邊翔太

ページ範囲:P.1702 - P.1706

Point
◎ストレス潰瘍からの消化管出血は予後を悪化させる.
◎ストレス,循環障害,胃内環境,凝固障害の4つがリスク因子となる.
◎予防の主体はプロトンポンプ阻害薬(PPI)である.
◎予防を漫然と継続せず,適応がなくなれば中止する.

栄養

経腸栄養剤

著者: 佐々木雅也 ,   栗原美香

ページ範囲:P.1707 - P.1711

Point
◎ICUの重症患者における早期経腸栄養は感染性合併症対策として有用性が高い.腸が使用できれば,24〜48時間以内に経腸栄養を開始する.
◎ペプチドを窒素源とし,食物繊維を含まない消化態栄養剤は,重症患者の経腸栄養導入に有用である.
◎ICUの重症患者に対する経腸栄養では,消化器系合併症をきたしやすいので,十分な対策をとりながら経腸栄養を導入し,増量する.
◎早期経腸栄養を実施するにあたっては,各施設でプロトコールを作成することが望ましい.

ビタミン剤(B1,C)

著者: 坂本壮

ページ範囲:P.1712 - P.1715

Point
◎患者背景,症状から疑い対応しよう!
◎高齢者,特にフレイル+利尿薬内服患者ではビタミンB1欠乏を常に意識しよう!
◎ビタミン欠乏は重複しうることを意識しよう!

アレルギー

アナフィラキシーへの対応

著者: 増田博明 ,   北野夕佳

ページ範囲:P.1716 - P.1719

Point
◎アナフィラキシーは重篤な全身性の過敏反応であり,判断の遅れが生命予後に大きくかかわる疾患である.
◎有効な根本治療はアドレナリンの筋肉内注射のみであり,アナフィラキシー診療においてアドレナリンの絶対的禁忌は存在しない.
◎β遮断薬内服中の患者ではアドレナリンが無効の場合があり,その際はグルカゴンの静脈内注射を検討する.
◎二相性反応は6〜12時間で発症することが多く,発症した際は初回と同様にアドレナリン投与を検討する.

感染

薬剤耐性グラム陰性桿菌を想定した抗菌薬選択

著者: 黒田浩一

ページ範囲:P.1720 - P.1726

Point
◎本邦のICUで比較的検出頻度の高い薬剤耐性グラム陰性桿菌は,ESBL産生腸内細菌目細菌,AmpC産生腸内細菌目細菌,薬剤耐性緑膿菌である.
◎ESBL産生腸内細菌目細菌による感染症の第1選択薬は,カルバペネム系抗菌薬であるが,重症度や感染部位によって,タゾバクタム/ピペラシリンやセフメタゾールの使用が検討できる.
◎AmpC産生腸内細菌目細菌による感染症の第1選択薬は,セフェピムである.
◎緑膿菌感染症の標的治療は,感受性検査結果と耐性機序から判断する.既存のβ-ラクタム系抗菌薬にすべて耐性の場合,新規β-ラクタム系抗菌薬の使用が検討される.

侵襲性カンジダ感染症:カンジダ血症

著者: 川本雄也

ページ範囲:P.1727 - P.1730

Point
◎カンジダ血症は時に致死的な経過を辿ることから,診断確定前の治療開始が必要になることがある.経験的治療のタイミングを逸しないように,各種ガイドラインの推奨,カンジダ感染症のリスク因子を知っておく必要がある.
◎カンジダ感染症では菌種や感染巣に応じて複数の抗真菌薬を使い分けることが求められる.薬剤ごとに副作用,注意点が存在するため,臨床医はこれらを熟知しておく必要がある.
◎カンジダ血症では眼内炎の有無,菌種から適切な薬剤を選択する必要がある.ここが腕の見せ所であり,薬剤の眼内移行性,菌種ごとの薬剤耐性を理解しておく必要がある.

アスペルギルス感染症

著者: 川本雄也

ページ範囲:P.1732 - P.1737

Point
◎アスペルギルス感染症の臨床像は患者背景・免疫能に応じて幅があることを理解する.
◎検査の限界を知る必要がある.臨床医が適切に検査前確率を判断しなければ,検査結果に振り回されることになる.
◎アスペルギルス感染症の診断において最も重要なことは,患者背景を踏まえて臨床医が正しく検査前確率を見積もることである.

その他

炭酸水素ナトリウム(メイロン®)の使いどころ

著者: 鈴木裕之

ページ範囲:P.1738 - P.1740

Point
◎重篤なショックでは,動脈血ガスのpHが7.10未満の場合,代謝性アシドーシスの補正目的に炭酸水素ナトリウム(メイロン®)を投与するが,ショックの原因を突き止め根本治療を行うことが最も重要である.
◎急性腎障害(AKI)では,動脈血ガスのpHが7.20未満の場合,代謝性アシドーシスを補正し腎代替療法を先延ばしにする目的にメイロン® を投与する.
◎薬物中毒による心毒性では,不整脈や心電図異常がみられた場合,それらが改善するまでメイロン® を繰り返し投与し,動脈血ガスのpHを7.50〜7.55に維持する.
◎メイロン® の主な副作用には逆説的細胞内アシドーシス,細胞外液量の増加,高ナトリウム血症がある.

連載 日常診療で役立つ 皮膚科治療薬の選びかた・使いかた・9

保湿剤③ 保湿剤の効果と使いかた

著者: 松田光弘

ページ範囲:P.1577 - P.1582

Q問題
図11)の皮疹に保湿剤を使う理由と1日の使用回数は?

ここが知りたい! 欲張り神経病巣診断・39

指がおかしい,物がつまめない! 前腕領域の稀な神経障害①/帯状疱疹の症状や病型

著者: 難波雄亮

ページ範囲:P.1741 - P.1745

 手指は正中神経・尺骨神経・橈骨神経により動きが調整されます.今回はたまに遭遇することがある,「指で物がつまめない」ときに考えるべき神経の障害について検討します.知っていないとなかなか診断が難しいですが,その一例を一緒に勉強していきましょう!

ケースでみる 心理学×医療コミュニケーション!・4

行動の生起・維持のための支援—患者さんの言葉をヒントに変える

著者: 五十嵐友里

ページ範囲:P.1746 - P.1749

これまでのおさらい
 これまで,「広義の認知行動療法」における患者理解が医療コミュニケーションに役立つことを説明し,そのキーポイントとして,①ミクロな問題理解,②マクロな問題理解,③協働的経験主義を挙げました.私たち医療者は患者さんの問題を解決するために,“行動”の生起と維持を患者さんに求めています.そのため,第3回では①ミクロな問題理解において,行動分析を用いて“行動”のしくみを理解したうえで,具体的な目標行動を設定する流れを紹介しました.それに引き続いて本稿では,設定した目標行動の振り返りをするときに,行動分析をどのように用い,それが何をもたらしてくれるのかについて話を進めます.

知らないとヤバい! リウマチ・膠原病のアレやコレ・10

その股関節の痛み,本当に大丈夫? X線ではわかりにくい大腿骨頭壊死のアレやコレ—お薬手帳もきちんと見よう!

著者: 猪飼浩樹

ページ範囲:P.1750 - P.1755

 この連載では,リウマチ・膠原病診療における緊急病態,知っておかないと重篤な状態となりうる事象について取り扱う.リウマチ・膠原病診療は専門性が高い面もあるが,専門医に必ずしも受診していない患者も多い.その背景には,専門医が少ない地域性の問題や,高齢などの理由で専門医への通院が困難であるなどの多くの要因がある.関節リウマチや膠原病を併存症としてもっている患者を診る機会のあるすべての医師において注意すべき見逃したくない,ヤバい病態について学ぶ連載である.

目でみるトレーニング

問題1102・1103・1104

著者: 樋口大 ,   二村明德 ,   岡屋秀一 ,   伊東完

ページ範囲:P.1756 - P.1762

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目次

ページ範囲:P.1583 - P.1585

読者アンケート

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バックナンバーのご案内

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購読申し込み書

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次号予告

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奥付

ページ範囲:P.1768 - P.1768

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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56巻11号(2019年10月発行)

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特集 抗血栓療法のジレンマ—予防すべきは血栓か,出血か?

56巻1号(2019年1月発行)

特集 枠組みとケースから考える—消化器薬の選び方・使い方

55巻13号(2018年12月発行)

特集 これからの心不全診療への最新アプローチ—予防からチーム医療・先進医療まで

55巻12号(2018年11月発行)

特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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