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雑誌目次

雑誌文献

medicina61巻4号

2024年04月発行

雑誌目次

増刊号 内科医のための臨床問題集

著者: 長門直

ページ範囲:P.5 - P.5

 医師は医師免許を取得することがゴールではなく,生涯教育によるupdateを常に求められる職業です.本邦も諸外国同様に高齢化が進行し,複数の疾患を抱えている患者も増加しており,検薬すると大量の薬剤を服用していることにしばしば遭遇します.ポリファーマシー対策の重要性も指摘されており,系統立った診療を行い,適切な薬剤を最小限投与することが必要な時代となっています.いわゆる“総合診療医”が求められる時代になったと言えるでしょう.
 そのような状況にもかかわらず,内科領域においても専門志向が続いており,系統立った内科診療ができる医師が減ってきたと実感することが多くあります.日本内科学会もそのような状況に危機感を覚えて,新内科専門医制度を発足させ,内科研修期間の延長による内科全般の研修を必須としました.

症例問題

呼吸器—Question1〜13

著者: 長尾大志 ,   宮下修行 ,   尾形誠 ,   福田直樹 ,   矢村明久 ,   永井英明 ,   倉原優 ,   皿谷健 ,   長門直 ,   中島啓

ページ範囲:P.7 - P.36

Question1 85歳女性.主訴「発熱,咳,倦怠感」
現病歴 元々飲み込みが悪くむせることが多かったが,自宅で生活していた.2週間前,遊びに来た曾孫(8カ月)が風邪気味であった.その後咳が出だしたため,3日前整形外科受診時に訴え,咳に対してカルボシステイン(ムコダイン®),アンブロキソール(ムコソルバン®)を処方された.昨日京都へ墓参りをした際に体の不調を訴えており,娘によると歩くのがかなり辛そうであった.帰宅後は横になっていた.夜間39℃の発熱,咳や痰を認め,本日救急外来を受診した.胸部画像などから肺炎と診断し加療された.鼻汁(−),咽頭痛(−),咳(+),痰(+),関節痛(−).食欲あり,食事はしっかり摂れている.下痢(−),腹痛(−).
既往歴 急性骨髄性白血病(M2・寛解),関節リウマチ〔エタネルセプト(エンブレル®),メトトレキサート(メトジェクト®)〕,間質性肺炎.ミカファンギン(ファンガード®)に対するアレルギー歴あり.

感染症—Question14〜22

著者: 佐藤淳一 ,   長門直 ,   中村造 ,   落合佑典 ,   浅井信博 ,   三鴨廣繁 ,   末松寛之 ,   羽田野義郎

ページ範囲:P.37 - P.55

Question14 20歳男性.主訴「悪心・水様性下痢」
現病歴 本日から悪心,水様性下痢が始まった.下痢が止まらず,悪心も改善しないため救急外来を受診した.海外渡航歴はなく,抗菌薬使用歴はなし.昨日生カキを食べ,家族にも同様症状者がいるとのこと.
既往歴 特記すべきことなし.

アレルギー—Question23〜29

著者: 小澤廣記 ,   二村恭子 ,   出光俊郎 ,   梅本尚可 ,   長門直

ページ範囲:P.57 - P.73

Question23 42歳男性.主訴「ハチ刺され後の呼吸苦」
現病歴 日中に農作業を行っていたところ,スズメバチに左前腕を刺された.刺されたところが腫れ,ふらつきも感じてきたため,近くにあるかかりつけの一般内科外来を受診した.今までにもスズメバチに刺されたことはあるが,アレルギー症状を起こしたことはなかった.
既往歴 高血圧症,2型糖尿病.

膠原病—Question30〜41

著者: 髙梨敏史 ,   金子祐子 ,   白井悠一郎 ,   桑名正隆 ,   陶山恭博 ,   石黒賢志 ,   杉原毅彦 ,   南木敏宏 ,   中西研輔 ,   金城光代 ,   田巻弘道

ページ範囲:P.75 - P.100

Question30 30歳女性.主訴「多関節痛」
現病歴 生来健康.3カ月前から,起床時に60分続く両手指のこわばりを自覚するようになった.2カ月前から両手首,手指の関節の痛みが出現するようになり,受診した.先行する感染はなし.経過中,発熱や体重減少,皮疹などは認めていない.将来の挙児希望はあるが,現在予定はない.
既往歴・家族歴 特記すべきことなし.

腎臓—Question42〜51

著者: 奥田拓史 ,   原口総一郎 ,   矢島隆宏 ,   鈴木みなみ ,   鈴木淳司

ページ範囲:P.101 - P.122

Question42 18歳女性.主訴「健診異常」
現病歴 学校の健康診断で,顕微鏡的血尿を指摘され,精査のために来院した.
既往歴 特記すべきことなし.

内分泌—Question52〜61

著者: 大町侑香 ,   福岡秀規 ,   宮田崇 ,   有馬寛 ,   向笠浩司 ,   田辺晶代 ,   沖隆 ,   田上哲也

ページ範囲:P.123 - P.143

Question52 54歳女性.主訴「なし(血糖コントロール目的)」
現病歴 30歳頃から手の浮腫を感じていた.ここ数十年は健康診断を受けていないが,食事や運動量,体重変化は特に認めなかった.X年1月,歯科治療前の血液検査で糖尿病と診断され,精査加療目的で紹介となった.
既往歴・家族歴 特記すべきことなし.

代謝—Question62〜68

著者: 五島大祐 ,   赤司朋之 ,   竹内靖博 ,   藤原和哉 ,   喜瀬高庸

ページ範囲:P.145 - P.160

Question62 71歳女性.主訴「複視」
現病歴 10年以上の病歴の2型糖尿病で,近医で経口血糖降下薬(メトホルミン2,000mg/日,テネリグリプチン20mg/日)およびインスリン(インスリンアスパルト各食直前4単位,インスリングラルギン眠前6単位)を処方されていたが,血糖コントロールは目標未達成が続いていた.来院4日前,起床時に複視を自覚したため近医を受診し,脳神経外科に紹介され頭部MRIを撮像されたが動脈瘤,脳血管障害の所見はなく,当院眼科を紹介受診した.血糖コントロール目標未達成であったため,当科紹介受診となった.
身体所見 身長154cm,体重62.9kg.脈拍86/分.血圧146/84mmHg.右眼瞼下垂,右方視による複視(右眼内転障害)を認めた.舌偏位,顔面神経麻痺,構音障害は認めず,Barré徴候,finger-nose試験に異常を認めなかった.

消化管—Question69〜77

著者: 大林友彦 ,   出口隆造 ,   酒井加奈 ,   伊藤公訓 ,   三原弘 ,   酒見亮介 ,   光山慶一 ,   梶原祐策

ページ範囲:P.161 - P.179

Question69 78歳女性.主訴「胸やけ」
現病歴 以前より就寝前に胸やけ症状を認めていたが,最近になり呑酸感も生じてきたため,外来を受診した.
既往歴 高血圧症,骨粗鬆症.

肝胆膵—Question78〜90

著者: 福島範子 ,   清水慎一 ,   万波智彦 ,   江口有一郎 ,   横江正道 ,   丸山昭洋 ,   野々垣浩二 ,   白井邦博 ,   粂潔 ,   千葉和朗

ページ範囲:P.181 - P.209

Question78 68歳女性.主訴「倦怠感」
現病歴 倦怠感を主訴に受診し,肝機能異常を指摘された.20歳台で献血時にHBs抗原陽性を指摘され,25歳で出産時もHBs抗原陽性を指摘されたがその後は放置していた.
既往歴 2年前に左乳癌の手術施行.

血液—Question91〜100

著者: 牛島洋子 ,   石川裕一 ,   藤島直仁 ,   横山泰久 ,   北尾章人 ,   高橋直樹 ,   加藤恒

ページ範囲:P.211 - P.232

Question91 60歳男性.主訴「倦怠感,紫斑」
現病歴 倦怠感と紫斑のために受診した前医で血小板減少を指摘され,当院入院となった.
既往歴 高血圧症,脂質異常症.

循環器—Question101〜113

著者: 森下健太郎 ,   山崎直仁 ,   西淳一郎 ,   西崎公貴 ,   奥村貴裕 ,   渡邉将央 ,   泉家康宏 ,   鈴木崇文 ,   志水太郎

ページ範囲:P.233 - P.262

Question101 55歳男性.主訴「労作時息切れ」
現病歴 以前から近医にて高血圧症,脂質異常症に対して内服治療中であった.また2年前から心雑音を聴取されるも放置していた.2カ月前から自宅での階段昇降時に息切れ症状が出現し,徐々に増悪するようになったため,近医より総合病院へ紹介された.
既往歴 肺炎.

神経—Question114〜133

著者: 大石真莉子 ,   神谷雄己 ,   竹川英宏 ,   津久井大介 ,   五十嵐晴紀 ,   佐藤健朗 ,   井口保之 ,   山口啓二 ,   武田景敏 ,   菊井祥二 ,   星山栄成 ,   国分則人 ,   北﨑佑樹 ,   井川正道 ,   吉村元

ページ範囲:P.263 - P.304

Question114 63歳男性.主訴「指がジンジンする」
現病歴 約2年前から右環指尺側から小指にかけてジンジンする感じが出現した.次第にジンジン感は常時出現するようになり,指で物をつかみにくくなったため,外来受診した.
既往歴 2型糖尿病.

総合内科・救急—Question134〜143

著者: 柏木秀行 ,   加藤秀隆 ,   植西憲達 ,   鶴田良介 ,   石丸裕康 ,   国枝武重 ,   冨永聡 ,   岩田充永

ページ範囲:P.305 - P.325

Question134 本邦における死亡順位
 図1は本邦におけるおもな死因別にみた死亡率(人口10万人対)の年次推移である.

一般問題

一般問題—Question1〜68

著者: 永井英明 ,   中島啓 ,   皿谷健 ,   長門直 ,   浅井信博 ,   三鴨廣繁 ,   羽田野義郎 ,   落合佑典 ,   二村恭子 ,   田巻弘道 ,   髙梨敏史 ,   金子祐子 ,   白井悠一郎 ,   桑名正隆 ,   中西研輔 ,   金城光代 ,   矢島隆宏 ,   鈴木淳司 ,   鈴木みなみ ,   大町侑香 ,   福岡秀規 ,   宮田崇 ,   有馬寛 ,   向笠浩司 ,   田辺晶代 ,   沖隆 ,   田上哲也 ,   赤司朋之 ,   五島大祐 ,   竹内靖博 ,   藤原和哉 ,   出口隆造 ,   三原弘 ,   梶原祐策 ,   福島範子 ,   万波智彦 ,   丸山昭洋 ,   野々垣浩二 ,   牛島洋子 ,   石川裕一 ,   横山泰久 ,   高橋直樹 ,   藤島直仁 ,   北尾章人 ,   泉家康宏 ,   森下健太郎 ,   奥村貴裕 ,   渡邉将央 ,   西淳一郎 ,   佐藤健朗 ,   井口保之 ,   竹川英宏 ,   津久井大介 ,   五十嵐晴紀 ,   山口啓二 ,   神谷雄己 ,   北﨑佑樹 ,   井川正道 ,   吉村元 ,   柏木秀行 ,   丹羽成彦 ,   植西憲達 ,   石丸裕康

ページ範囲:P.327 - P.366

呼吸器
Question1
肺結核患者に濃厚接触した医療従事者に対して最初に行うべき検査を1つ選べ.

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目次

ページ範囲:P.2 - P.3

購読申し込み書

ページ範囲:P.368 - P.368

次号予告

ページ範囲:P.369 - P.369

奥付

ページ範囲:P.370 - P.370

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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