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雑誌目次

雑誌文献

medicina61巻6号

2024年05月発行

雑誌目次

特集 睡眠にまつわる疑問にすべて答えます!—あなたの患者の睡眠中に何かが起きているかもしれない

特集にあたって

著者: 河合真

ページ範囲:P.818 - P.819

 私にとって医学は2つに大別することができます.「睡眠医学」と「それ以外の医学」です.
 「おいこら,何言ってるのだ!」とおっしゃる方も多いと思います.まず,睡眠医学という科が存在しない医学部や病院のほうが多いですし,睡眠医学を専門にしている医師と話す機会も少ないと思いますので,ピンとこない方も多いでしょう.さらに,睡眠医学は医学を分類するときに通常用いられる臓器別やシステム別(循環器,呼吸器など)では分類できません.多くの読者の皆様が所属している診療科を定義している分類に合わない超絶マイナー科の分際で,「睡眠医学か,それ以外か」などという物言いは傲岸不遜を通り越して(関西風に言いますと)「アホかいな」で片付けられてしまいます.
 
*本論文中、関連する動画を見ることができます(公開期間:2028年1月26日まで公開)。

特集を読む前に あなたの理解度チェック!

ページ範囲:P.820 - P.824

●今月の特集執筆陣による出題です.睡眠医学に関する理解度をチェックしてみましょう!

睡眠に関する総論

「眠れない」という訴えを聞いたときに考えるべきこと—「眠れない→不眠症」ではない!

著者: 河合真

ページ範囲:P.826 - P.829

Point
◎「眠れない→不眠症」という単純思考はまず捨てる.
◎就寝時間,起床時間,入眠潜時の情報を得る.
◎睡眠時間不足の除外は必ず行う.
◎不眠症は要因に分けて考える.

「眠い」という訴えを聞いたときに考えるべきこと—眠気は多因子であることを理解する

著者: 大倉睦美

ページ範囲:P.830 - P.834

Point
◎眠い=閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)ではない.
◎眠気の原因は多岐にわたる.1人の患者でいくつかの因子が関与していることが多い.
◎眠気をきたす因子,疾患を知っていれば,問診するポイントを押さえやすい.
◎患者は眠いという症状で困っていることを常に考える.
◎睡眠関連疾患は合併が多いことを念頭に置き,詳しい問診を行う必要がある.

睡眠薬の種類と治療戦略—不眠に対する薬物治療の限界を念頭に置く

著者: 三原丈直

ページ範囲:P.836 - P.840

Point
◎睡眠薬の種類については睡眠と覚醒のしくみで理解する.
◎不眠に対する薬物治療はそれのみで完結するものではなく,不眠治療の全体のなかで考える.

薬物投与のタイミングと24時間薬理学の考え方—時計遺伝子に基づく時間薬物治療

著者: 大戸茂弘

ページ範囲:P.841 - P.845

Point
◎体内時計の本体は,視神経が交差する視交叉上核(suprachiasmatic nucleus:SCN)に位置し,時計遺伝子により制御されている.
◎睡眠関連疾患,循環器疾患,メタボリックシンドロームなどの発症リスクにも時計遺伝子が深く関与している.
◎医薬品の添付文書などには服薬時刻が明示されている.
◎生体機能や疾患症状に日周リズムが存在するため,投薬時刻により薬物の効き方が異なる(時間薬理学:chronopharmacology).
◎本稿では体内時計の分子機構の側面から,時計遺伝子の役割や時計遺伝子を基盤にした時間薬物治療について紹介する.

慢性不眠症に対する睡眠薬以外の治療戦略—不眠の認知行動療法(CBTi)を中心に

著者: 谷口充孝

ページ範囲:P.846 - P.849

Point
◎睡眠薬による不眠の改善は一時的であり,慢性不眠の治療の第一選択は認知行動療法である.
◎慢性不眠には睡眠恒常性,体内時計,過覚醒の3つの要因が関与し,認知行動療法はこれらの要因に働きかける.
◎不眠の認知行動療法(CBTi)では,睡眠日誌を基に睡眠衛生(スリープヘルス)や臥床時間の制限などを行う.

夜間の異常行動の訴えを聞いたときに考えるべきこと—眠っているはずなのに,急に叫んだり動いたりするんですけど…先生,何の病気ですか!?

著者: 小栗卓也

ページ範囲:P.850 - P.853

Point
◎夜間異常行動は睡眠中やその前後のあらゆる段階から生じる.
◎病歴は異常行動だけでなく睡眠習慣についても聴取する.
◎スマートフォンでの動画撮影は異常行動把握の強力なツールである.
◎患者の心理状態にも配慮して対応する.

中枢神経刺激薬について知っておくべきこと—処方対象となる疾患と処方できる医師

著者: 立花直子

ページ範囲:P.854 - P.858

Point
◎中枢神経刺激薬は,主にドパミンとノルアドレナリン神経系の活性亢進を介して作用する.
◎中枢神経刺激薬が処方される疾患は,中枢性過眠症(ナルコレプシーと特発性過眠症)と注意欠如多動症(ADHD)である.
◎中枢性過眠症に対して処方可能な中枢神経刺激薬は,麻薬及び向精神薬取締法の対象である.
◎中枢神経刺激薬の多くは,一定の資格をもった処方医師登録制になっている.
◎処方医師登録制は乱用や依存を防ぐためには役立っているが,中枢性過眠症患者には社会的不利益をもたらしている.

睡眠検査の種類と検査レポートの注目点—各検査の記録項目と特徴を理解する

著者: 村木久恵

ページ範囲:P.860 - P.865

Point
◎睡眠検査の種類はどのようなものがあるか.
◎検査の記録項目とその特徴,レポートで着目する点について理解する.
◎どのような検査結果の場合に睡眠専門施設への紹介を検討するか.

睡眠医学における日本語の用語の混乱—「睡眠障害」とは何を意味する用語なのか

著者: 紀戸恵介

ページ範囲:P.866 - P.870

Point
◎「睡眠障害」を用いることで生じる弊害を論じる.
◎「睡眠障害」が使われてきた経緯を明らかとし,考察する.
◎「睡眠障害」に代わる用語を正しく選択し,睡眠医学に対する理解を深める.

臨床におけるシチュエーション

commonな精神疾患の患者の睡眠について知っておくべきこと—不眠をどう考え,治療するか?

著者: 杉田尚子

ページ範囲:P.871 - P.877

Point
◎気分障害圏,神経症圏および統合失調症圏などのcommonな精神疾患に共通する主な睡眠の問題は不眠である.
◎不眠症状は,発症初期から寛解後まで続くことが多く,予後にも関わる因子である.
◎向精神薬は,転倒リスク,依存・耐性,せん妄,中毒,睡眠構築の変化などさまざまな影響がある.
◎不眠の薬物治療に睡眠薬以外の向精神薬も使用されることがある.

若年者のメンタルヘルスと睡眠の関係で内科医が知っておくべきこと—睡眠不足症候群(ISS)と睡眠・覚醒相後退障害(DSWPD)を漏らさず鑑別に考える

著者: 丸谷典子 ,   足立浩祥

ページ範囲:P.878 - P.881

Point
◎睡眠の問題を感じている若年者は多い.
◎若年者の睡眠に関する訴えを聞いたとき,睡眠不足症候群(ISS)と睡眠・覚醒相後退障害(DSWPD)を漏らすことなく鑑別に考える.
◎精神疾患の合併や,その他の睡眠関連疾患の可能性もある.
◎まずは睡眠日誌で本人の生活習慣の確認を!

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)を鑑別に入れるべき状況—OSASの多彩な表現型を押さえる

著者: 杉山華子

ページ範囲:P.882 - P.885

Point
◎成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)で多くみられる主訴を押さえる.症候としては,眠気や非回復性の睡眠,疲労感や不眠などである.
◎OSASが疑われたときには,睡眠に関する問診や終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)などの生理検査を検討する.
◎各専門領域の診療で,疾患影響因子としてのOSAS評価,OSAS治療には有益性がある.

高齢者の入院における睡眠で注意すべきこと—薬物処方は必要最小限・最短期間で!

著者: 木村格

ページ範囲:P.886 - P.889

Point
◎入院は非日常であることを念頭に置く.
◎入院した患者には,身体症状の観察・把握を十分に行う.
◎不眠症状やせん妄の対応は,原因因子の除去に努める.
◎薬物処方は,必要最小限・最短期間とすることを忘れずに.

認知症患者の睡眠について知っておくべきこと—不眠患者1,500万人時代に向けて

著者: 江川斉宏

ページ範囲:P.890 - P.892

Point
◎高齢者は眠れないのが一般的である.
◎Alzheimer型認知症(AD)患者は夜間に眠らない.
◎Lewy小体型認知症(DLB)患者は,昼夜違わず眠気が強い.
◎AD患者の睡眠問題の解決は,患者・介護者の睡眠環境の改善のみならず,進行予防にも効果的である可能性があり,一石三鳥である.

各科で見かける睡眠関連疾患

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の診かた—内科医が知っておくべき診療のポイント

著者: 田中春仁

ページ範囲:P.893 - P.899

Point
◎閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の診療は,公的医療保険の規定にしたがい,診療ガイドラインに準ずる.
◎診断は,家族歴や現病歴を詳細に取得する.身体所見や既往歴も考慮し,簡易検査や終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を実施する.
◎各種の精神・身体疾患,特に甲状腺機能や咽喉頭占拠性病変にも注意する.
◎治療方針は生活指導から持続陽圧呼吸療法(CPAP)や口腔歯科装具(OA),手術などを検討する.治療効果の継続的なモニタリングが重要である.

呼吸器疾患患者における睡眠について知っておくべきこと—慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息,Ⅱ型呼吸不全の睡眠時の診療アセスメント

著者: 山内基雄

ページ範囲:P.900 - P.903

Point
◎睡眠時と覚醒時における呼吸生理の理解は重要である.
◎呼吸器疾患では覚醒時と睡眠時とで呼吸動態が大きく変わることが多い.
◎特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)では睡眠時における呼吸の評価が重要である.
◎気管支喘息の夜間症状が閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の症状と混同されることが多い.
◎呼吸不全,とりわけⅡ型呼吸不全では睡眠時の呼吸異常を伴うことが多い.

睡眠とホルモンの関係—なぜ内分泌疾患を考えるときに睡眠を考えねばならないのか?

著者: 門野真由子

ページ範囲:P.904 - P.909

Point
◎内分泌検査は患者の病態,症状に加え,体位,食事,運動,ストレス,概日リズム,睡眠などの多様な因子を吟味しつつ,ホルモン測定値の結果を解釈する必要がある.
◎睡眠とホルモン分泌動態は双方的に影響をもたらす.
◎内分泌疾患は不眠,閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)を含む睡眠関連疾患を合併しやすい.
◎合併する睡眠関連疾患の早期治療介入は,内分泌疾患そのものの予後改善につながる.

透析患者の睡眠関連疾患をどう考えるか?—透析患者では難治性になりやすい

著者: 小池茂文

ページ範囲:P.910 - P.915

Point
◎透析患者の睡眠関連疾患には,不眠症やレストレスレッグズ症候群(RLS)のように患者が自覚しやすいものと,睡眠時無呼吸症候群(SAS)や周期性四肢運動障害(PLMD)のように自覚しにくいものがある.
◎RLSは入眠困難,熟眠障害を起こす.
◎SASやPLMDは,睡眠維持困難,熟眠障害,早朝覚醒を起こす.
◎不眠症状の背景疾患には,高血圧症・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病やうつ状態・うつ病などが隠れている.
◎サイコネフロロジーを重要視するあまり,基本的確認事項であるSASの除外を怠ったり,睡眠衛生不良の除外は忘れたりしてはならない.

てんかんと睡眠の関係—てんかん患者の睡眠に影響を及ぼす因子

著者: 神一敬

ページ範囲:P.916 - P.919

Point
◎てんかんと睡眠は互いに影響し合う密接な関係にある.
◎てんかん患者の睡眠に影響を及ぼす因子として,発作,抗てんかん発作薬(ASM),睡眠関連疾患を含む併存症がある.
◎てんかん患者に合併する睡眠関連疾患のなかで最も頻度が高いのは,閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)である.
◎てんかんとOSASが合併した場合,両者が互いの増悪因子となり得る.

内科疾患と睡眠関連疾患—見逃されがちな両者の関わり

著者: 茶谷裕

ページ範囲:P.920 - P.924

Point
◎睡眠呼吸異常症(SDB)は,メジャーな内科疾患である高血圧症,糖尿病,慢性腎臓病(CKD)の発症や増悪に関係がある.
◎SDBは高尿酸血症や胃食道逆流症(GERD),二次性多血症とも関連がある.
◎レストレスレッグズ症候群(RLS)はフェリチン低下と関連する.
◎小児のRLSの症状は,成人の典型例とは異なっていたり,低年齢では適切に症状を説明できない可能性があったりするため,注意が必要である.

循環器内科患者の睡眠関連疾患をどう考えるか?—睡眠時無呼吸症候群(SAS)と循環器疾患との深いつながり

著者: 阪野勝久

ページ範囲:P.926 - P.930

Point
◎睡眠時無呼吸症候群(SAS)は低酸素血症,交感神経の活性化などを引き起こし,高血圧症,虚血性心疾患,心不全,不整脈の発症に密接に関わっている.
◎心房細動の発症リスクを上げる要因としてSASがあり,SASへの治療介入は心房細動の発生の抑制および再発防止に対して有用である.
◎心不全患者では,閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)のみならず中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)のリスクも高く,これらの睡眠関連疾患の併発は予後不良のサインである.

耳鼻咽喉科とアレルギー・睡眠—アレルギー性鼻炎が睡眠に及ぼす影響

著者: 河内理咲 ,   鈴木雅明

ページ範囲:P.931 - P.935

Point
◎アレルギー性鼻炎の重症度と睡眠の質の低下には強い相関関係がある.
◎アレルギー症状のなかでも,特に鼻閉が睡眠関連呼吸障害と関連するとされる.
◎アレルギー性鼻炎の病態生理は睡眠に影響を及ぼしている.
◎概日時計システムを応用し,アレルギーを治療する時間薬物療法の可能性が期待されている.

睡眠と歯科の関わりで内科医が知っておくべきポイント—医科と歯科が連携して行う歯科的アプローチ

著者: 津田緩子

ページ範囲:P.936 - P.940

Point
◎歯科においては睡眠時ブラキシズム(SB)が臨床上,身近で重要な睡眠関連疾患である.
◎本邦における口腔内装置(OA)は,保険制度の違いにより優位性や課題が海外とは大きく異なる.
◎閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者は,歯周病をはじめとする歯科疾患の罹患率が高い.
◎矯正治療をはじめとするOA以外の歯科的アプローチにはエビデンスが不足している.
◎OSASの歯科的アプローチには円滑な医科歯科連携が不可欠である.

よく聞かれる睡眠に関する諸問題

ウェアラブルから得られる情報をどのように考えるべきか?—長所と短所を踏まえ,何を測定しているかを理解する

著者: 河合真

ページ範囲:P.941 - P.944

Point
◎ウェアラブルの長所と短所を理解する.
◎ウェアラブルが何を測定しているかを知る.
◎ウェアラブルがゴールドスタンダードと比較してどの程度正確かを知る.
◎ウェアラブルデータを示してくる患者の動機と問題を理解する.

医師の睡眠について研修医,若手医師が知っておくべきこと—睡眠時間確保のための方策

著者: 井上令一 ,   河合真

ページ範囲:P.945 - P.949

Point
◎バーンアウトによる医療ミスを防ぐには,労働時間の削減とともに睡眠時間の増加が必要である.
◎睡眠時間を確保するため,予定を見直す.
◎午睡/仮眠で眠気対策とヘルプを求める勇気が必要である.

小児から成人にかけての睡眠の変化について内科医が知っておくべきこと—睡眠不足の患者を前にしたら,心の健康にも目を向ける

著者: 今村壽宏

ページ範囲:P.950 - P.953

Point
◎睡眠は成長に伴い大きく変化するが,思春期では特に睡眠覚醒相の後退が起こる.
◎思春期は社会心理的要因を含めた複雑な理由から睡眠不足になりやすい.
◎思春期の子どもの睡眠不足はうつ病や自殺念慮と強く関係している.

超過勤務や睡眠不全関連事故のニュースを聞いたときに何を考えるか?—睡眠医学的エビデンスの重要性

著者: 高橋正也

ページ範囲:P.954 - P.957

Point
◎労働災害や自動車事故をよく理解するには睡眠医学的知識が必要である.
◎睡眠不全関連事故(睡眠の不足や質的低下に伴う事故)の背景は多様である.
◎睡眠不全関連事故は複数の観点から捉えるべきである.
◎メディアからの取材対応やSNSでの発信には十分な注意が求められる.

嗜好品による睡眠への影響をどう考えて,どう伝えるか?—カフェインやアルコールなどの摂取から考える

著者: 服部菜穂

ページ範囲:P.958 - P.962

Point
◎さまざまなものに含まれているカフェインの中枢神経刺激作用を理解する.摂取に関しては,問診も重要である.
◎アルコールの催眠作用やメカニズムを理解する.徐波睡眠の重要性も忘れてはならない.
◎大麻草には主にテトラヒドロカンナビノール(THC)とカンナビジオール(CBD)の成分があることを理解する.精神活性作用をほとんどもたないCBDに関しては,高いエビデンスレベルの研究が望まれる.
◎変化のステージを踏まえたアプローチを心がけ,患者が眠りの波にうまく乗れるように導く.

睡眠について医師が知っておくべき知識をどう学び,どう教えるのか?—統合的な睡眠の学修と教育

著者: 堀有行

ページ範囲:P.963 - P.967

Point
◎睡眠に関連した医療に従事しようとする医師が到達すべきアウトカム(学修成果)を明確にしなければならない.
◎成人学修理論に基づいた問題基盤型学修は有用である.
◎教育者が自身の診療場面に学修者を同伴させ,初診の医療面接から治療開始後の一連の診療プロセスを見せることは,きわめて教育効果が高い.
◎睡眠に関する診療を担当する医師は,プライマリ・ケアとしての神経学的診察,頭頸部診察,胸部診察,精神科的医療面接の各技能を身につけることが望ましい.
◎解釈モデルの確認により,患者が考える病状,症状の経過と想定している治療,その後に期待することが見えてくる.

連載 日常診療で役立つ 皮膚科治療薬の選びかた・使いかた・5

抗ヒスタミン薬① 有効な疾患の見分けかた

著者: 松田光弘

ページ範囲:P.809 - P.813

Q問題
抗ヒスタミン薬が効きやすい紅斑は図1aとb1)のどちらでしょうか?

知らないとヤバい! リウマチ・膠原病のアレやコレ・8

「抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎」—その肺炎は大丈夫な肺炎ですか?

著者: 猪飼浩樹

ページ範囲:P.968 - P.975

 本連載では,リウマチ・膠原病診療における緊急病態,知っておかないとヤバい状態となりうる事象について取り扱う.これまで関節リウマチ治療中のヤバい病態としてさまざまなこと(血球減少,間質性肺炎,頸椎病変,単関節炎など)を取り扱ってきた.
 今後も出合う頻度の高い関節リウマチ関連の話題は扱っていくが,今回はプライマリ・ケアの現場や非専門医の診察室から専門医のもとまで“全速力で”たどりついてほしい疾患「抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎」を取り上げる.

目でみるトレーニング

問題1090・1091・1092

著者: 森川昇 ,   鈴木康倫 ,   北村淳史

ページ範囲:P.976 - P.981

ここが知りたい! 欲張り神経病巣診断・35

背中が痛い! これも神経障害? 腹壁の神経障害②/腰痛・上臀皮神経障害の臨床

著者: 難波雄亮

ページ範囲:P.982 - P.987

 前回はお腹の痛みが実は絞扼性神経障害である話をしました.「背中が痛い!」と言われれば,筋性の腰痛症やヘルニアなどを真っ先に考えると思います.しかし,背中の痛みにも末梢神経障害をきたす疾患があります.単なる腰痛と診断されて,鎮痛薬のみで長年経過をみられている人もいます.それでは,その一例を一緒に勉強していきましょう!

明日から主治医! 外国人診療のススメ・14

外国人における新生児医療

著者: 豊島勝昭

ページ範囲:P.988 - P.993

CASE
小児科研修医(翔太)が「サクラ病院」の新生児集中治療室(NICU)で,新生児科医の指導医(戸田)と…
翔太)2週間前に出生体重1,400gで生まれたネパール人の赤ちゃん,複雑な先天性心疾患,著明な脳室拡大を伴う脳形成異常,腎臓低形成などがあります.染色体検査で染色体異常もわかりました.経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)を続けていますが,呼吸状態もよくなりません.日本語と英語で,ご家族に挿管人工呼吸器管理や心臓病の手術の可能性を伝えたところ,これ以上の集中治療は希望したくないようです.医療ネグレクトとして児童相談所に連絡すべきでしょうか?
戸田)妊娠や出産の文化,早産や病気・障害のある赤ちゃんたちの医療や福祉は国によって大きく異なるよ.ご家族が治療を望まない理由を,医療通訳を交えてしっかり話し合いましょう.

書評

—長澤 将 著—Dr. 長澤印 輸液・水電解質ドリル

著者: 小松康宏

ページ範囲:P.925 - P.925

 本書を手に取り読み始めると,数ページごとに「うわー」,「うわー」と感嘆してしまう.輸液・水電解質の基本と臨床の実際とを,著者の深い知識と経験の下に,それを気付かせないようなさらりとした文体で,読者にとってわかりやすいように書かれている.学生や研修医は気軽に読めるだろうし,指導医クラスは,行間に埋もれている腎生理学に気付くとともに,自らの経験を思い返して納得することであろう.
 私は学生時代から輸液・水電解質に関心をもちつづけてきた.臨床実習で提出したレポートは「麻酔と電解質異常」で,卒後,医師になってからも輸液・水電解質の勉強は楽しかった.いくつかの解説書も出版させていただいたが,今回,長澤将先生の書かれた本書を読み,もう私の出番はないなと感じた次第である.

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目次

ページ範囲:P.814 - P.817

読者アンケート

ページ範囲:P.995 - P.995

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.996 - P.997

購読申し込み書

ページ範囲:P.998 - P.998

次号予告

ページ範囲:P.999 - P.999

奥付

ページ範囲:P.1000 - P.1000

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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55巻13号(2018年12月発行)

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55巻12号(2018年11月発行)

特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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